寒い国のラーゲリで父は死んだ の商品レビュー
皆を励ましていた山本幡男氏を息子からみた父親としての姿は「頑固」で「怖い」怖いというものだった。映画や『収容所から来た遺書』とはまた違った視点でシベリア抑留を知ることができる。ただ一点、山本顕一さんの記憶違いや脚色が入っているという可能性は頭に入れながら読む必要がある。
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先にラーゲリより愛を込めてを読んでいました。 それからこちらの本を読みました。 どんなお父様だったのか。どんな息子様なのか。 人間味に溢れていて、味わい深い本でした。 自分の人生を語るとき、こんなにも心の中をスーっと透明に、また言葉を紡ぎ出しながら、表現されていて、人としての芯の...
先にラーゲリより愛を込めてを読んでいました。 それからこちらの本を読みました。 どんなお父様だったのか。どんな息子様なのか。 人間味に溢れていて、味わい深い本でした。 自分の人生を語るとき、こんなにも心の中をスーっと透明に、また言葉を紡ぎ出しながら、表現されていて、人としての芯の温かさも感じました。
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「ラーゲリから来た遺書」から流れ着きました。同書のスピンオフ的な内容を期待して。そういう意味では少し期待外れではあったんですが、残された山本ファミリーの人生がとても興味深くて、面白かったです。 歴史であまり語られることのない満州国の生活、難民さながらの引揚げ…大変ご苦労された方々...
「ラーゲリから来た遺書」から流れ着きました。同書のスピンオフ的な内容を期待して。そういう意味では少し期待外れではあったんですが、残された山本ファミリーの人生がとても興味深くて、面白かったです。 歴史であまり語られることのない満州国の生活、難民さながらの引揚げ…大変ご苦労された方々に失礼かもしれませんが、「こんな時代があったとは!」とドキドキしてしまった。 そして、ご自身の恥部も包み隠さず書かれる姿に、ガンジーの息子のハリラールを思い出してしまった。他者から映る父の姿と、自分の見る父の姿がまったく違って見える、という点で。 ただ、ハリラールと顕一さんの一番の違いは、山本幡男氏が生きていたら、きっと顕一さんを誇りに思っていたであろう点。ご自身は立派な生き方ができていないとご謙遜されているが、十分だと思います。 山本モジミさんの生き方には特に感銘を受けました。素晴らしい行動力!この夫にしてこの妻あり、そしてお子さんたちあり!といった具合です。 夫の不在中、なんとか自分が家を守らなければ!という気迫がすごいです。生きていくためなら、今川焼も焼く、魚の行商もする、教員として希望の赴任地にいける努力も惜しまない。 「元祖ワーママ」とでも言いましょうか。家電のない時代に、よくもまぁここまで頑張られたことと思います。本当に頭が下がる思いです。家電あり、夫あり、子一人でヒーヒー言っている自分が恥ずかしくなるくらいでした。 北溟子の俳句をまとめて読めたのは良かったです。 この本の中で紹介されている「極光のかげに」、装丁画に使用されている香月泰男など、まだしばらくシベリア抑留ものを調べ読み漁る日が続きそうです! 山本幡男氏の遺書は、私のような凡人の心も打ちました。人類の幸福の増進のため、勉強する日々を続けます!
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映画の関連著書として、興味を惹かれて手に取った。ラーゲリと呼ばれる収容所で、帰国を望みながら亡くなった著者の父親。その父親のシベリアでの抑留生活の悲惨な様子が、これでもかというくらいに、出てくるのかな?と、緊張しながら読み始めたのだが、多くの部分が、残された著者をはじめとする家族...
映画の関連著書として、興味を惹かれて手に取った。ラーゲリと呼ばれる収容所で、帰国を望みながら亡くなった著者の父親。その父親のシベリアでの抑留生活の悲惨な様子が、これでもかというくらいに、出てくるのかな?と、緊張しながら読み始めたのだが、多くの部分が、残された著者をはじめとする家族の歴史にページがさかれていた。結構、赤裸々、率直な生活史が語られていて、まずはそこに驚いた。 夫の帰国を心の支えに、ひたすら子供たちのために、歯を食いしばって苦労を重ねてきた、著者の母の心情は察して余りある。それに対して、あまりに淡白な著者に呆れたり。父親に対しても、出征までの生活の中では、あまりいい思い出がないらしく、執着がなさすぎ。母子家庭となり、姑小姑も同居して、経済的に豊かでもないのに、子供たちは、大学院まで進学することに躊躇いもなさそうで(責めてるわけではないが)あまりに無頓着に見えて、いたたまれない。まして、夫の死を知り、嘆く母親の姿を、見苦しいとまで感じたことを書いてる著者が、赤裸々すぎて引いた。 とはいえ、戦後の家族史として、心動かされるものが多くあった。 ラーゲリで亡くなった父の生き様は、最後の章で触れており、そこは感銘を受けた。遺書まつわるエピソード(紙としては持ち帰れないから、分担して暗記し、遺族に伝えた)も、遺書そのものも、迫力あり胸が震えた。 改めて、戦争の酷さを痛感。多くの人に、知ってほしい中身だった。
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原作本や映画では描かれたなかった主人公・山本幡男さんの家族の物語。息子の山本顕一さんから見た父親の姿は、本や映画では想像がつかないほど厳格で時に乱暴な印象であった。けれど、山本幡男さんの遺書にあったように"道義"を貫いた人であることは、家族の物語からも伝わって...
原作本や映画では描かれたなかった主人公・山本幡男さんの家族の物語。息子の山本顕一さんから見た父親の姿は、本や映画では想像がつかないほど厳格で時に乱暴な印象であった。けれど、山本幡男さんの遺書にあったように"道義"を貫いた人であることは、家族の物語からも伝わってきた。時に厳しくても、常に家族のことや周りの人のことを考えて生きた山本幡男さんの凄さを改めて感じた。寒い国シベリアの地で亡くなった父親になかなか会いに行けなかった顕一さんが、様々な葛藤を乗り越え無事に再会できたことが嬉しく涙が出た。
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