笑犬楼vs.偽伯爵 の商品レビュー
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7/16読了。 筒井康隆先生と蓮實重彦先生の対談と批評、そして書簡。 対談は「同時代の大江健三郎」。不勉強な為、大江健三郎先生の本を(そして蓮實重彦先生の本も)まだ読んでいないので、雰囲気と半世紀以上年上の方はどのように話すのか、感じるのか、味わうように読みました。タイトル通り大江先生の話をしているのですが、まるでファンボーイのような生き生きとした対談。言っている内容は何もわからないのにこちらも嬉しくなりました。「世の中次第にブラックユーモアが許容されない世の中になってきている」という筒井先生の書簡のフレーズが1番目を引きました。確かに。そして改めてですが筒井先生はブラックユーモアを書いているのだなと…(まだ先生の本は2冊しか読んでいない身分であれですが)
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筒井康隆x蓮實重彦「笑犬楼vs.偽伯爵」毒舌ふたりの対談&往復書簡は、予想外に優雅なやり取りだった。が内容はやはり辛辣で大江の褒め殺しがおもしろい。ふたりとも嫌味の感じとか品の方向が、英が米を小馬鹿にするのに似てる。戦前生まれの真の知識階級。知性あってこその罵詈雑言という...
筒井康隆x蓮實重彦「笑犬楼vs.偽伯爵」毒舌ふたりの対談&往復書簡は、予想外に優雅なやり取りだった。が内容はやはり辛辣で大江の褒め殺しがおもしろい。ふたりとも嫌味の感じとか品の方向が、英が米を小馬鹿にするのに似てる。戦前生まれの真の知識階級。知性あってこその罵詈雑言というよいお手本。
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口の汚い頑固な爺さん2人の罵り合いを期待していたのに、見事にうらぎられる! 互いに気を遣い合うかの如き美辞麗句の数々! それにしても、蓮實さんが「◯◯させていただく」表現を連発していることに、ガッカリしました…。
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お互い尊敬し合う表現者。 過去の芸術作品に関する広範な記憶と繋ぎ合わせられる連想力。 喫煙と一人息子の逝去。 違うと思ったら意見をぶつける自分への率直さ。
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筒井康隆と蓮實重彦の対談・往復書簡。蓮實氏の書籍を読んだことは無いのだが、なかなか面白そう。 二人とも大江健三郎を非常に高く評価しており、筒井氏が自分は民主主義が嫌いなのだが、その大江が戦後民主主義を擁護している理由が判らないと云い、蓮實氏にその理由を聞く場面がある。その中で民主...
筒井康隆と蓮實重彦の対談・往復書簡。蓮實氏の書籍を読んだことは無いのだが、なかなか面白そう。 二人とも大江健三郎を非常に高く評価しており、筒井氏が自分は民主主義が嫌いなのだが、その大江が戦後民主主義を擁護している理由が判らないと云い、蓮實氏にその理由を聞く場面がある。その中で民主主義というものを最低限のものとして受け入れはするけれど、本当に民主主義を好きだという人がいたら、是非とも会ってみたいと嫌味を言っていた。私も日本は民主主義をきちんと運営出来ないのではないかと、しばしばブクログにも書いてきたこともあり、民主主義にはモヤモヤしていた。 この最低限受け入れるが好きではないというのには実にしっくり来たものだった。 また蓮實氏は体育会系なのだが、三島由紀夫の仮面の告白を読み、みずから病弱であることを全く隠そうとしないばかりか、かえってそれを誇っているかのような姿勢を軽蔑し、こうした弱弱しい連中に任していたのでは文学に未来は無いと感じ、不愉快でたまらなかったとの事。三島の運動神経の不在についてはなお軽蔑の対象であり、三島に太宰を軽蔑する資格など有りはしないと言っている。(判っているから三島も肉体改造したのだが) あと筒井氏が世の中ブラックユーモアを強要しない世界になってきたことを憂慮していることが心に残った。なんでも著作を2社から出版を断られた。どんどん残念な世の中に… 両先生からの判る人には分かる替え歌 天に金槌釘を打つチュウチュウ鼠の運動会 誓って故郷を出たからは手柄立てずに支那料理 海ゆ馬鹿、水漬く馬鹿奴・・・大君の屁にこそ死なめ、ブーブー
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すこし驚いたのが、筒井が最近「二件の出版社に断られた」と書いてた部分。コンプラが厳しいといった文脈だったが、筒井康隆の小説でも断られるんだといった感じ。 内容の半分近くは大江健三郎の話が占める。 年寄りのふたりなので内容も戦前から最近まで幅広く、固有名詞も多いが、わからなくても...
すこし驚いたのが、筒井が最近「二件の出版社に断られた」と書いてた部分。コンプラが厳しいといった文脈だったが、筒井康隆の小説でも断られるんだといった感じ。 内容の半分近くは大江健三郎の話が占める。 年寄りのふたりなので内容も戦前から最近まで幅広く、固有名詞も多いが、わからなくても語り口が軽快で口語調なので、年寄りの呑気な話を盗み聞きしてるような気分で、なんとなく読める。
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図書館の新着コーナーで目にして迷わず手に取った。 まさにおふたりの老獪さ、といってもその対照的な老獪さが大変興味深い。まさに毒は毒を持って制すだ。一方、お互い同時代を生きてきて、ここでどこか共通点を見つけようと、お互いが応える素直さは高齢者アルアルだ。 でも、日本を代表する研究者であり文筆家である元気な後期高齢者の毒(ウィット)に富んだこんなやりとりはまねしたくてもまねできるものではないなぁ。 そんなおふたりの大江健三郎氏へのリスペクトは間違いないようだ。
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文芸誌の『新潮』で連載していた往復書簡が目当てで。色々刺激を受け何冊が積んである大江健三郎と蓮實重彦の『伯爵夫人』を読もうと思った。
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