死刑のある国で生きる の商品レビュー
死刑について、諸外国と日本との現状を徹底的に取材したのが本書です。死刑は人権侵害にあたるからと死刑を廃止した国がある一方、死刑はあったほうがいいと国民の8割が感じているのが日本です。 全体を通して感じたのは、被害者遺族の取材があまりできていなかったのかな…加害者家族に対して...
死刑について、諸外国と日本との現状を徹底的に取材したのが本書です。死刑は人権侵害にあたるからと死刑を廃止した国がある一方、死刑はあったほうがいいと国民の8割が感じているのが日本です。 全体を通して感じたのは、被害者遺族の取材があまりできていなかったのかな…加害者家族に対しての取材は結構できているのに…と。被害者遺族が大事な家族を殺害された事件を思い出しジャーナリストに語るのは難しいし、それだけ心の傷が深いんでしょうね…。本書で取り上げた事件の加害者は、罪を認め受け入れてしかも悔いている加害者ばかり…しかも、事件前も大きな問題もなかったのに…と、加害者に筆者が肩入れしているかのようにとれてしまいました。 でも、数は少ないんですが取材に応じてくれた被害者家族もいて、その悲しみはとても大きなものでした…。死刑というより、死刑に至るまでの期間、苦しみ抜いてほしい…そのために死刑は必要、そこが日本と欧米との違いなんでしょうね。ここまで宮下洋一さんの著書を読んできて、とっても重い気持ちになりました…。でも、知らなければ知らないままで過ぎていたでしょう…。そう思うと、こいうことも知ることができたこと、良かったと思いました。
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アメリカ、フランス、スペイン、日本等世界の死刑囚、遺族、死刑制度関係者を取材する事で制度そのものを問いかける本。国は違えど長期刑よりは早く処される方が良いと考える囚人も何人かいて興味深い。 人を殺して8年で出所して遺族の近所に住む事を受け入れる村もあったが、自分としては死刑囚に長...
アメリカ、フランス、スペイン、日本等世界の死刑囚、遺族、死刑制度関係者を取材する事で制度そのものを問いかける本。国は違えど長期刑よりは早く処される方が良いと考える囚人も何人かいて興味深い。 人を殺して8年で出所して遺族の近所に住む事を受け入れる村もあったが、自分としては死刑囚に長く苦しんでもらいたいという日本の遺族の方の言葉が偽りのない心情だと思う。フランスの有名な爺さんが死刑制度を否定されていたが著者が指摘する様に死刑制度の無い代わりに現場で射殺されまくったり、犯罪が増加するのは果たして如何。 本書とは関係ないが、日本の女子高生コンクリート殺人事件で加害者達は少年だったため今は娑婆に出てきて人生を送っている。死刑制度を無くした場合に償ったとはいえこの様な方々が更に娑婆に戻ってくるだろう。「納得」ができるのか非常に疑問と言わざるを得ない。 冤罪問題があるし被害者が殺されても仕方の無いなような奴とか例外もあるだろうから当分決着がつかない気もする。過激ではあるが1秒たりとも精神状態が落ち着かない様な苦しむシステムとか死刑制度に変わるモノが無いと遺族は納得しないだろうし。
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面白かった。 死刑を何を目的に行うべきかがちゃんと問われていて、考えさせられる。それゆえに、自分としても死刑には反対も賛成も出せないなと。
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ヨーロッパで暮らす筆者が、アメリカ、日本、そしてフランスやスペインで、死刑囚本人やその家族、被害者やその遺族、司法関係者等、思いつく限りの対象者に取材を試みたもの。 途中、死刑に対する疑念を語る場面も多かったが、筆者の本書での最終結論は、日本という国における制度としての死刑に意...
ヨーロッパで暮らす筆者が、アメリカ、日本、そしてフランスやスペインで、死刑囚本人やその家族、被害者やその遺族、司法関係者等、思いつく限りの対象者に取材を試みたもの。 途中、死刑に対する疑念を語る場面も多かったが、筆者の本書での最終結論は、日本という国における制度としての死刑に意義を見いだすものだった。 筆者個人の意見なので、それがダメだとかどうとかいうものではないが、私としては「ああ、そっちへ行っちゃうのか」という感じ。 私個人は、死刑は廃止した方がいいという立場。身内や友人を理不尽に殺害されたという経験がないため、自分が被害者遺族となってもそう言えるのか、と問われれば、それはわからないとしか答えられない。でも、じゃあ犯人を死刑にしたら遺族は満足なのかといえば、犯人にどんな刑罰が与えられても、満足できるなんていうことは絶対にないのだろうと思う。遺族が満足できるとすれば、亡くなった被害者を生き返らせる、それに尽きるだろう。ただ残念ながら、それは不可能だ。 死刑が執行されれば、遺族は、恨みをぶつける相手すらなくしてしまう。犯人が後悔や贖罪の思いを抱き続けることもできない。本書内でも、執行されても利益を得る者は一人としてなく、むしろ不利益を被る者の方が多いのでは、という記述さえある。だとすれば、たとえ殺人者であろうと、その命を奪うことのどこに意義を見いだせばよいのだろう、そう思えてしまう。 死刑については、関わりのある書籍をいくつか読んでいて、いろいろと思うところがある。 本書にも、阿部恭子氏の『家族が誰かを殺しても』でも取り上げられた奥本死刑囚や、『弟を殺した彼と、僕。』の原田正治氏に関する記述も出てくる。本書巻末には、私が過去に読んだ書籍が、参考文献として複数載っている。筆者と同じ本を読んで、筆者の取材記録を読んでいる。同じものに触れているのに、導き出す答えが違っているところに、この問題の難しさがあるのかもしれないと思う。 そもそも、国民が死刑という刑罰について、しっかりと考えるために必要な情報が公開されず、誰のため、何のための刑罰なのか、その議論がなされないままに存置され続けていることが一番の問題のように思う。
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借本。先進国で死刑があるのは、アメリカの一部の州と、日本だけ。海を渡って、各国の死刑との向き合い方、考え方が分かって良かった。海外のルポタージュと違って、わりと個人的な体当たり取材を感じる読み口も合った。
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この人は相変わらず日本人の民族性では現状を変えるのは難しいという立場が変わらんなあ。外国で育ったということもあるのだろうが。できれば死刑反対の立場として社会の責任という立場から論じても欲しかった。北欧にも取材に行ってくれると違ったのではというのが正直な感想である。
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死刑制度を存置しているアメリカと日本、廃止したフランスとスペインを主な取材先とした骨太なノンフィクション。 宮下さんの著作を読むのは「安楽死」をテーマにした2作以来だが、取材対象者の言い分に振り回されず、自分の考えを押し付けるでもなく、とても冷静に書かれていて読みやすかった。 犯...
死刑制度を存置しているアメリカと日本、廃止したフランスとスペインを主な取材先とした骨太なノンフィクション。 宮下さんの著作を読むのは「安楽死」をテーマにした2作以来だが、取材対象者の言い分に振り回されず、自分の考えを押し付けるでもなく、とても冷静に書かれていて読みやすかった。 犯罪抑止力としての効果や遺族感情として極刑を望むのはわかるが、人が人を裁けるのかという疑問は残る。執行に直接関わる方の負担も気になるところだ。最近では「死刑になりたかった」とほざく馬鹿もいるし、冤罪の可能性も否定できない。 宗教や死生観も絡み簡単に答えは出せないが、「外圧で廃止」はなしにしてほしい。
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2022/12/20リクエスト 1 アメリカの死刑囚、ジョン・ウィリアム・ハメルが最初の章に出てくる。彼は3人を殺害、放火した罪で死刑宣告され、執行を待つ身だった。 そんな時に、宮下氏は、面会する。 あまりに澄んだ目をして、刑を受け入れる覚悟が見えたハメルに、かなりの部分、肩入...
2022/12/20リクエスト 1 アメリカの死刑囚、ジョン・ウィリアム・ハメルが最初の章に出てくる。彼は3人を殺害、放火した罪で死刑宣告され、執行を待つ身だった。 そんな時に、宮下氏は、面会する。 あまりに澄んだ目をして、刑を受け入れる覚悟が見えたハメルに、かなりの部分、肩入れしているように感じなくもなかったが、他の死刑囚、周りの人々のインタビューを読み進めると、それも仕方ないように思う。 もちろんジャーナリストとして宮下氏が一番残念に思ったであろうが、ハメルの最期のときに立ち会うことができなかったのは、読者としても、消化不良な気持ちだった。 死刑を徹底的にオープンにするアメリカ。死刑囚の一覧表をネットで見ることができる。なんと執行予定日まで。 死刑を廃止した為に加害者と被害者遺族が同じ町に暮らすスペイン。 そして新たな形の死刑、とでも言う警官の銃の発砲が注目を集めるフランス。 死生観、宗教など、死刑は、法律だけで決められるものではない。 死刑囚や未決囚、加害者家族、被害者遺族の声から死刑の意味をあらゆる角度から考える。 何度も、中立の立場で考えたい、と書き記しているのは、それほど、この取材は、自分の根本から覆るほどの様々の考えが流入してきて、プロである氏も心が揺れ動いたのでは、と失礼なことも考えてしまった。 宮下氏は、有名な人達にたくさんのインタビューをしているが、御本人は至って偉ぶることなく、一般人の側に立って話しかけるように伝えている。 コロナ禍で取材もままならなかっただろう。 そんな中でも、なんとかやりくりして、取材、国境超え。さらに、マスクで口もとが見えない中で、どんなにか大変だっただろう。 今回のこの本も、自分にとっては、考えさせられる本であり、宮下氏の本を楽しみに待っていたが、今回も充分に満足させられる内容だった。 安楽死を遂げるまで、などの著書もとても良かったが、この本も私にとって、何度も読み返したい本になると思う。 語学堪能な宮下氏の、これからのますますの精力的な取材、著書に期待してます。
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