ある行旅死亡人の物語 の商品レビュー
故人のプライバシーを掘り返すことの是非を思いつつ(勝手)読み始めたものの、ワックワクの担当弁護士さんの勢いでその辺すぐ消え、ドラマになりそうな濃い人物たちに濃い手掛かりにと一気に読みました。面白い真相や陰謀を期待してしまうことへの自戒はちゃんとうかがえた。
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ミステリー小説のようなスッキリ感を求めてる人には向かない、わかったこともあれば、謎のままのこともある、リアル 実際の取材の細かさや、どんな切り口から調べていくのかを知ることができて面白かった
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毎日ニュースで消費され続ける人の死。そんな死の一つ一つが当然のことながら、しっかりと重量を持ったものであると再認識させられる。 大きな謎は結局謎のままだったけれど、どんな些細なことも見逃さず、緻密に丹念に事実を積み重ね、警察も探偵も見出せなかった千津子さんの素性に辿りつくまでの過程には、記者魂を感じるとともに、一緒に辿っているような臨場感と緊張感を味わった。 社会から隔絶した生活を送っていた田中千津子さんが残していた「沖宗」という印鑑(「田中」では無理だったに違いない)、専売公社の博物館に、なぜか一冊だけ残された定期昇給内申書の束に見つけた「沖宗千津子」の名、同級生の川岡さんがインタビュー後まもなく亡くなったことなど、何か見えない不思議な力が援護しているかのごとき印象。狭いアパートで一人なくなった孤独な老女の姿と、親戚や姉妹、同僚が語る若かりし頃の千津子さんの姿が代わる代わる浮かんでは、自分の今後に思いを馳せ切ない気分にさせられる。
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おもしろかった。 結末がどうなるのか、ドキドキしながら読んだ。 記者の一つ一つの可能性や疑問を確認して潰していくマメさに、感服した。 情報の得られる人との出会いが有ったのは、記者の持つ雰囲気や人柄もあったのかなと思った。 謎は残っているが、身元が分かったのは良かった。
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全ての謎が解き明かされず、読み終わった直後はモヤモヤした気分になった。けれども、時が立つにつれてこれがリアルか、という実感が徐々に湧いてきた。 女性の人生に何があったか分からないけれど、社会との縁を切ってからもずっと姪や甥の写真を持ち続けていたことから、家族に対しての思いがあった...
全ての謎が解き明かされず、読み終わった直後はモヤモヤした気分になった。けれども、時が立つにつれてこれがリアルか、という実感が徐々に湧いてきた。 女性の人生に何があったか分からないけれど、社会との縁を切ってからもずっと姪や甥の写真を持ち続けていたことから、家族に対しての思いがあったのではないだろうか。記者さんが丁寧に取材し身元が判明できたお陰で、女性は家族の元に帰ることができて良かったと思う。 行旅死亡人という言葉は初めて知った。年間に600人〜700人もが公表されているということも。やはり、なんだか寂しい。社会としてはこいう人が少しでも少なくなる世の中になることを願っている。
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記者ってこんなふうに物事を調べていくのかぁと、スキルと熱意に感心し、また、 その熱に惹かれて、あっという間に読んでしまった。 結局、すべてがはっきりと分かったわけではないけれど、 例えば私が孤独死して、千津子さんみたいに几帳面ではなく、油断だらけの遺品を大量に残したとして、わたしが最後どんな気持ちで、ほんとうはどんな人だったかなんて、他の人にわかりはしないだろうなどとも思った。交流していた人がいたとて、その人に全て本心を話しているとは限らない。 「振り返ると、すべてがぎりぎりのタイミングだった。面影は真夏に食べるアイスクリームのよう。もたもたしていると、食べ切る前に溶けてなくなってしまう。」 取材した方々が高齢の方ばかり。話を聞いた中の1人(千津子さんが中学時代に仲良くしていた女性)がその後一年足らずのうちに亡くなったことを聞かされた時の著者の言葉は印象的。 自分自身のことにも言える。いつ死ぬのかは選べない。はやくアイスクリームを食べ始めなくては。
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記者に謎を解決されたことって、警察の面目丸潰れで、その記者自身が警察署に取材来たの嫌だったろうなぁ。 全ての謎が解決すると思って読み進めてたの反省。これこそリアル。
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ちょっと期待値が高すぎたのか、思ったほどではなかった。いやでも、もちろん面白かった。 『行旅死亡人』、この本を読んで初めて知った言葉だ。警察もそうだけど、記者も大変だ。調べていく過程は興味深かった。身元がわかって、その他の謎も全て明らかになるのかと勝手に思ってしまっていたので、そ...
ちょっと期待値が高すぎたのか、思ったほどではなかった。いやでも、もちろん面白かった。 『行旅死亡人』、この本を読んで初めて知った言葉だ。警察もそうだけど、記者も大変だ。調べていく過程は興味深かった。身元がわかって、その他の謎も全て明らかになるのかと勝手に思ってしまっていたので、そこは謎のままなのが少し残念だった。 でもノンフィクションなんだから、仕方ない。 自分もいつか死ぬし、その時どういう環境にいるのか、もしくはどうなっていたいのか、漠然と不安になってしまった。
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身元不明で亡くなった女性のナゾに迫るルポタージュ。 身元は明らかになったものの、実際に彼女が何を思いなぜそういう行動を取ったのかは明らかにならず、遺された多額の現金の出所、いたかもしれない夫や子供さんのことはなぞのままだ。 そこがルポタージュならではというところでもあり、でももや...
身元不明で亡くなった女性のナゾに迫るルポタージュ。 身元は明らかになったものの、実際に彼女が何を思いなぜそういう行動を取ったのかは明らかにならず、遺された多額の現金の出所、いたかもしれない夫や子供さんのことはなぞのままだ。 そこがルポタージュならではというところでもあり、でももやもや感が残るのがどうにもよろしくないといえばそうでもある。 しかしひっそりと市井に暮らしていた女性に、そんなミステリアスな背景があるとは誰も気付かなかっただろう。自分の顔見知りも誰かも、思いもよらない何かを抱えている人がいないとも限らない。人の数だけ人生があるとはまさにこのことだ。
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事実は小説より奇なり。その謎がスッキリ明らかにならないのもまた事実。 残されたベビーベッドやぬいぐるみが切ない。
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