最後のひと の商品レビュー
76歳が86歳に恋をする、という内容は、前代未聞。高い知性を持つ大人同士が恋に落ちていくプロセス、会話を通じてお互い好きになり、お互いの不安や孤独を埋めながら体の関係や魂の関係に発展することも、お互いを運命だと信じきっているところも、若い世代と変わらない。 が、遺産目当てという...
76歳が86歳に恋をする、という内容は、前代未聞。高い知性を持つ大人同士が恋に落ちていくプロセス、会話を通じてお互い好きになり、お互いの不安や孤独を埋めながら体の関係や魂の関係に発展することも、お互いを運命だと信じきっているところも、若い世代と変わらない。 が、遺産目当てという偏見、老人同士の性愛が気持ち悪いという偏見、相手の過去の重たさ(妻と60年連れ添い、不倫30年)、相手の老害的側面、介護、相手や自分の寿命という制限と戦いながらの恋愛。 自分の中に事実とは異なる偏見があることに気づいた点、高齢になっても恋ができるという可能性があると気づいた点で、この本には希望と価値がある。
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老老介護、とか老はなぜかとてもネガティヴになってしまう影響もある漢字。この作品はそんな老人の2人がとてもロマンチックで冷静に素敵な恋愛をするお話。恋をしている2人がお互いのために自分を変えていく流れをみているのがとても心地よかっあ。前作『疼くひと』からの流れを見ていて、ここまで考...
老老介護、とか老はなぜかとてもネガティヴになってしまう影響もある漢字。この作品はそんな老人の2人がとてもロマンチックで冷静に素敵な恋愛をするお話。恋をしている2人がお互いのために自分を変えていく流れをみているのがとても心地よかっあ。前作『疼くひと』からの流れを見ていて、ここまで考えて1作品となっているのかと考えた。 p.217 「お疲れさまでした」 その声に、はっとしたように振り返った理一郎が、子の肩に手を置いて言った。 「ありがとう、子。あなたは、大変なことをしてくれたね」「え?どういうこと?」 「こんなことは、あなたでなくては、できなかった」「あら、私がしたの?本を捨てたのは、先生よ」見上げる燿子を、理一郎が抱きしめる。 そして、耳元で囁いた。 「古本屋や回収業者の仕事を見守っているあいだは、どうしてあんなに感傷的な気分になったんだろう。恥ずかしくなるほどセンチメンタルな気分だったよ。それがいまは、抜けるような爽快感を味わっている」 「爽快感?」 「そうだ。こんな解放感が待っていてくれたなんて、思いもしなかった」「後悔は、してないのね?」 「もちろんだよ。僕は長いことあれらの本を、ときには自分の拠り所とし、ときには存在証明のようにして縋ってきたけど、それらの思いはすべて幻想に過ぎなかった。自己満足的な妄執だったと気がついたんだ。子のおかげだよ。ほんとにありがとう」
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お互いに信頼できると感じ合えるのは若い時よりも利害がないからだろうか?打算がないからだろうか? 気持ちが先で、そこから体に触れたくなる。嫉妬や不安も若い時と変わらず。尊敬がなかったら、好きと思える要素が出てこなかったらわざわざ老齢になってリスク取らないよね。入院、手術の承諾という...
お互いに信頼できると感じ合えるのは若い時よりも利害がないからだろうか?打算がないからだろうか? 気持ちが先で、そこから体に触れたくなる。嫉妬や不安も若い時と変わらず。尊敬がなかったら、好きと思える要素が出てこなかったらわざわざ老齢になってリスク取らないよね。入院、手術の承諾という点では夫婦じゃないと不可能だけど、どうなんだろ。
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75歳で86歳の人を好きになること自体は、すごく素敵なことだなと思うのだけど、性愛の部分が今の自分にはあまりにも想像できなくて…。認知症になって封印してた性欲が爆発してしまう方もいると聞いたことがあるし、今作にもチラッと登場していたけど、それは嫌だなと思ってしまう。 「最後の人」...
75歳で86歳の人を好きになること自体は、すごく素敵なことだなと思うのだけど、性愛の部分が今の自分にはあまりにも想像できなくて…。認知症になって封印してた性欲が爆発してしまう方もいると聞いたことがあるし、今作にもチラッと登場していたけど、それは嫌だなと思ってしまう。 「最後の人」と思えるような人との出会いは、何歳であっても奇跡のようなものだと思うし、ラストはよかった。
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高齢者の恋愛と性愛をとりあげた作品。こちらの前日譚「疼くひと」を読んでないため、主人公の燿子に対して少し歪んだ見方になっているかもしれないけれど、作中の「75歳になって、86歳のひとを好きになって、何が悪いの」という燿子の言葉について、誰も悪いと言ってないのに言い出すのは、燿子の...
高齢者の恋愛と性愛をとりあげた作品。こちらの前日譚「疼くひと」を読んでないため、主人公の燿子に対して少し歪んだ見方になっているかもしれないけれど、作中の「75歳になって、86歳のひとを好きになって、何が悪いの」という燿子の言葉について、誰も悪いと言ってないのに言い出すのは、燿子の中に罪悪感めいたものがあるのかなぁと感じた。理一郎も優しいというより、弱々しいと感じる箇所もあった。(逆に老いてくリアリティも感じたけれど) いくつになっても、恋愛はありだけどバックグラウンド(元教授や脚本家)に親近感がなくいろんなものを持てるがゆえの悩みのようで登場人物への共感派低かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
先にご本人のインタビュー記事を読んでたので、あらましは知ってるつもりだった。私小説ではないけど、どうしても作者と重ねてしまうことがあるのは否めない。 ただ、男性側からの視点が描かれている部分もあり、そこにきてようやくフィクションであることを再認識した。 ただ同時代を描いているとするなら、コロナ禍における出来事に矛盾もある気がした。これもフィクションと捉えた方がいいのかな? あと、ちょっとした部分(筆跡の話)にも少し引っかかりを感じたり…。 まぁでも老齢の男女の物語を描くというのは、超高齢化社会の現代にとって、とても重要だと思う。今後、この作者が書かれるかわからないけど、他にもいろんな作品が生まれれば良い。
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誰かを好きになるという感情は、何歳になっても、わいてくるが、年を重ねることに、愛と好きが入り混じり、無償の愛となっていく。
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なにはともあれ、ハッピーエンドでよかった。 「疼くひと」のように悲しい別れがあるのではないか、とハラハラしていたので。 年齢的には、何があってもおかしくない。 だからこそ、希望があるところまで読めれば、読者としては満足。 この本で、同居する91歳の義父(認知症進行中)の胸中を、...
なにはともあれ、ハッピーエンドでよかった。 「疼くひと」のように悲しい別れがあるのではないか、とハラハラしていたので。 年齢的には、何があってもおかしくない。 だからこそ、希望があるところまで読めれば、読者としては満足。 この本で、同居する91歳の義父(認知症進行中)の胸中を、わずかではあるが察することができたかも。
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見た目やステイタスで 人に惹かれ恋に落ちるのは当たり前ですが その人の『生きて来た生き方』や『考え方』に 惹かれていくのは とても新鮮な感情だと思いました。 この年齢になるまで見つけられなかったととるか この年齢だから出会えたととるかは本人次第。 最後まで添い遂げられる相手が...
見た目やステイタスで 人に惹かれ恋に落ちるのは当たり前ですが その人の『生きて来た生き方』や『考え方』に 惹かれていくのは とても新鮮な感情だと思いました。 この年齢になるまで見つけられなかったととるか この年齢だから出会えたととるかは本人次第。 最後まで添い遂げられる相手がいる事が 最大の幸せだと思わせてくれました。
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私には想像もつかない内容の本でした。これが実際と言うことなのでびっくりです。この2人素敵な人生だなと思います
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