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時ありて の商品レビュー

3.3

12件のお客様レビュー

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2024/06/30

古書ディーラーの「私」がゴミ箱の上に積み上がった古本のなかから拾い上げた詩集には、一通の古い手紙が挟まっていた。戦地で恋文を交わす同性カップルの来歴を調べるうち、彼らは時を超えて遍在することが明らかになる。一冊の本との出会いから始まるタイムトラベルSF。 道具立てはクラシカル...

古書ディーラーの「私」がゴミ箱の上に積み上がった古本のなかから拾い上げた詩集には、一通の古い手紙が挟まっていた。戦地で恋文を交わす同性カップルの来歴を調べるうち、彼らは時を超えて遍在することが明らかになる。一冊の本との出会いから始まるタイムトラベルSF。 道具立てはクラシカルだけど、うだつのあがらない語り手の現代パートは完全に今っぽい口調。インターネット時代だからこそ可能になった情報の探索と、古本へのノスタルジーが矛盾しながら同居する、古書オタクが書いた夢小説みたいな側面もある。 パリの古書店は二人のことを知っていて(伝承していて?)『時ありて』を保有しているのか、タイムトラベラーとなったELが根回しした結果なのかという辺りがよくわからなかった。不確定性部隊を組んでた軍部の目論見にもあまり突っ込まないし、英軍内部に二人を追う機関が生まれてないのかとか気になることが多い。 まぁ、そういうところよりロマンスに重きを置いた作品だとはわかっている。ゲイの物理学者が不確定性の世界に取り憑かれ、カップルで時空を超え、戦地で幾度となく出会いなおす。彼らが時の旅にでてから地球から戦火が消えたことがないということも表しているんだろう。現代パートではかなり世俗的な語り手が、ここからトム少年に影響を与えるほどの詩人になるって考えるとそこが一番ドラマティックなのかも。 帯や訳者のあらすじ紹介では、同性愛小説だということがネタバレ要素であるかのように伏せられているけど、そういう扱いをされる物語構造ではないと思う。「相方」っていう訳語も(元がわからないけど)適切なのか少し引っかかったなぁ。

Posted byブクログ

2024/05/05

構成が分かりにくいのは翻訳のせいなのかどうなのか? 我慢して最後まで読んだが、訳者が補足なり補注なりを入れても良かったのでは?と思う。地名、人名、固有名詞も多すぎて訳が分からなくなる事がしばしば 「火星夜想曲」は確か名作だったと思うのだが・・・

Posted byブクログ

2023/08/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

主人公たちが写真の年代や人物たちの年齢を「××年には」「××歳にはなっていたはず」などと推定する場面で、アレッなんでそんな計算になるのかな、その年号はどこから出て来たの、と不思議な箇所があったが、それらも訳者あとがきにある《作品内の年号や日付が史実と異なっている場合でも、この作品がフィクションであるという前提に則って、それらは変更していない》うちに含まれるのだろうか。自分の読み落としかと思って多少は遡って見直したけれどもよくわからないままだった。とは言え、読み落としというよりも読めていないところはいっぱいありそう。読み終わってみればべつに似てはいないんだ(ろう)けど、読み始めてしばらくのち(自分の乏しい読書経験の範囲から)思い出したのはA.S.バイアット『抱擁』だった。

Posted byブクログ

2023/07/30

たぶんあまりわかってない。でも、もっと自分に理解力があってちゃんと読めてたら、話の類型的にはかなりすきになりそうだと思った。 未来にむかっての移動しかできないと思っていたので、種明かしは驚いた。 もうちょっと理解力のあるときにまた読みたい。

Posted byブクログ

2023/05/05

イギリスのSF作家、イアン・マクドナルドが2018年に発表したSFミステリー。待望の邦訳ということで、氏の作品を初めて手に取ってみた。 古書ディーラーのエメット・リーは、閉店する書店の在庫から『時ありて』というタイトルの古びた詩集を手にする。その詩集にはトムとベン、二人の男性が...

イギリスのSF作家、イアン・マクドナルドが2018年に発表したSFミステリー。待望の邦訳ということで、氏の作品を初めて手に取ってみた。 古書ディーラーのエメット・リーは、閉店する書店の在庫から『時ありて』というタイトルの古びた詩集を手にする。その詩集にはトムとベン、二人の男性が第二次世界大戦中に行っていた秘密のメッセージの遣り取り、その一通が挟まっていた。手紙に隠された真相を追求するエメットは、彼らの「時をかけた物語」を目の当たりにする―――。 一冊の古書、一通の手紙から始まるタイムトラベル・ロマンス。話の大枠自体は捉えることが出来たが、それだけ。明かされる真相が、それまでの展開で読み手を魅了させる対象となっていないため、盛り上がるべきところで盛り上がらないし、内容も中途半端で不完全燃焼感が強い。テキストも合わず、寝落ちすることも度々。残念ながら、私には合わなかったようだ。

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2023/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

雰囲気が良い。映画向きだと思う。 詩を意識しているのか、単語の羅列や意味深な言い回しが多くて想像が難しい。 SF部分も結局はっきりわからない。実験に巻き込まれて時間旅行者にならざるを得なかったって感じ。 ラブストーリーさも物足りない。語られないところにあったと思うが、そこを語れよって感じ。恩田陸の「ライオンハート」のほうが好きかな。 ELの正体もだろうな、というか、まあ同性愛以外普通のあるあるSF。 雰囲気と現代イギリスと、この手紙の主は誰だ?という謎解きの雰囲気が面白いかな。不死者かな?という可能性に最初に行くのが面白い。親子とか兄弟とかと思わないのかな……。

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2023/03/03

古書店主の主人公が、古本の間に挟まれていた手紙を見つけることから始まる物語。 戦時中に出会った二人の間で交わされていた手紙 その男性パートと二人がどうなったのかを追う古書店主パートが交互に進む。 雰囲気がある文体なのだけど、状況がわかりづらく感じてしまった。 ところどころ何回...

古書店主の主人公が、古本の間に挟まれていた手紙を見つけることから始まる物語。 戦時中に出会った二人の間で交わされていた手紙 その男性パートと二人がどうなったのかを追う古書店主パートが交互に進む。 雰囲気がある文体なのだけど、状況がわかりづらく感じてしまった。 ところどころ何回か読んでようやくどういうことかがわかる(何とも情けない…) 話自体は面白かったのだけど、語り始めているのが何についてなのかを追うのに苦労して 満喫できたのかが微妙でした。 途中までSFだってことをわすれていた。 時間の揺らぎと自分の存在の揺らぎ、話全体の揺らぎのリンクする点は見事だった。 あとは文体に慣れるかどうか

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2023/02/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

古書店のエメットリーが手に入れた本「時ありて」に挟まっていた手紙から物語は始まる。トムからベンに宛てた恋文。その二人を探すこと、歴史の流れ、隠された史実、そして時間旅行者へたどり着く。量子力学が登場しグッと科学的になるが、なかなか共に過ごせない恋人同士の悲哀もあって、美しい物語になっている。

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2023/02/09

イギリスの古書専門ディーラーのエメットが主人公。偶然手にした詩集に挟まっていた手紙を追う形で綴られるSF小説。手にする言葉の端々に過去に生きて来た個人が蘇る。少し退屈だったが、最後の最後に、、素晴らしかった。

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2023/01/22

短い言葉で説明するのが難しい小説である. 帯に「英国SF協会賞受賞」とあるが,SFという語で乱暴に括れる小説ではない.この10年ほどで読んだ小説では,クリストファー・プリーストに一番テイストが近いなあ,と思ったが,そういえばプリーストもイギリス人だ. 幻想的なファンタジーに,SF...

短い言葉で説明するのが難しい小説である. 帯に「英国SF協会賞受賞」とあるが,SFという語で乱暴に括れる小説ではない.この10年ほどで読んだ小説では,クリストファー・プリーストに一番テイストが近いなあ,と思ったが,そういえばプリーストもイギリス人だ. 幻想的なファンタジーに,SFを組み合わせている感じか.

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