手で見るぼくの世界は の商品レビュー
五歳のときの病気で目が見えなくなった佑(たすく)は、視覚支援学校の小学部から双葉に助けてもらってきた。双葉は生まれつき目が見えないが、なんでも自分でできるし、できると教えてくれた女の子だ。 二人は入試を経て、寮のある中学部1年生になったところだ。だが双葉は学校に来ていない。 ...
五歳のときの病気で目が見えなくなった佑(たすく)は、視覚支援学校の小学部から双葉に助けてもらってきた。双葉は生まれつき目が見えないが、なんでも自分でできるし、できると教えてくれた女の子だ。 二人は入試を経て、寮のある中学部1年生になったところだ。だが双葉は学校に来ていない。 外出中に歩行者にぶつかって 「目がみえねえのに、ひとりで歩いてんじゃねえよ」と怒鳴られたことをきっかけに、家から出られなくなってしまったのだ。 佑は新しい仲間と馴染んでいくうち、嫌だった白状訓練に新しい目標ができる。 双葉の方は、母に誘われて「伴歩・伴走クラブ」を知り、いつしか一歩を踏み出していく。 見えない恐怖や不便さ、晴眼者への複雑な気持ちにはハッとし、実際にあった路上での仕打ちには怒りを覚える。 仲間それぞれの成長や友情、周りの大人たちの優しい眼差しがあり、視覚支援学校の授業の取り組みも興味深かった。 上記の暴言は、本当にあったことという。 中高生向けにも、大人にも、多くの人に薦めたい。
Posted by
視覚障害者が見ている世界はこういうふうなんだ。白杖で歩くのもすごく大変そうだ。青眼者は見えているのに見えないふりをするというセリフはグサッときたな〜誰だって見たくないものは見えないふりをするし、見ない。かと思えば人の不幸も面白おかしく見たりする。見るってなんだろう?と改めて思う一...
視覚障害者が見ている世界はこういうふうなんだ。白杖で歩くのもすごく大変そうだ。青眼者は見えているのに見えないふりをするというセリフはグサッときたな〜誰だって見たくないものは見えないふりをするし、見ない。かと思えば人の不幸も面白おかしく見たりする。見るってなんだろう?と改めて思う一冊。
Posted by
視覚障害者が外を歩けるようになるまでの過程が細やかに描かれている。耳から聴こえてくる音だけの世界が晴眼者にも伝わる。電車の乗り換えや道を歩いている時、白杖を持つ人を見かけたら声をかけてみようと思わずにはいられない爽やかな読後感。
Posted by
資格支援学校の中学部に通う佑は、友達の双葉のためにできる事がないか考え続けている。 双葉は、白杖での外出中に路上で暴言と暴行を受けたショックで閉じこもってしまったのだ。 佑が視覚以外の全てで見ている世界がリアルに描写されているので、想像しながら読んでみてください。同じ中...
資格支援学校の中学部に通う佑は、友達の双葉のためにできる事がないか考え続けている。 双葉は、白杖での外出中に路上で暴言と暴行を受けたショックで閉じこもってしまったのだ。 佑が視覚以外の全てで見ている世界がリアルに描写されているので、想像しながら読んでみてください。同じ中学生だけど彼らは違う存在?それとも似ている所がある? 佑も双葉も世界を『両手で』見ながら1歩ずつ外へ踏み出して行きます。その姿に勇気をもらえる爽やかな物語です。
Posted by
視覚支援学校に通う佑は、幼いときの病気がきっかけで失明した中途視覚障害者。佑の小学部からの同級生・双葉は生まれつきの全盲で、佑にとっては活発な双葉が道しるべのような存在だった。 そんな双葉が、小学部卒業間近のある事件をきっかけに学校に来なくなり、中学部に進学した佑...
視覚支援学校に通う佑は、幼いときの病気がきっかけで失明した中途視覚障害者。佑の小学部からの同級生・双葉は生まれつきの全盲で、佑にとっては活発な双葉が道しるべのような存在だった。 そんな双葉が、小学部卒業間近のある事件をきっかけに学校に来なくなり、中学部に進学した佑は双葉のことが気がかりだったり新たなクラスメイトたちと馴染めなかったりと、悶々とした新生活をスタートしている。 佑と双葉という2人の主人公の両者の視点によって各章が描かれていく。 佑たちが抱える"視覚障害者として外出することの不安""生活のなかで感じる理不尽さ""晴眼者への不信"などが伝わってくる。 佑や双葉など、視覚障害をもつ子どもたちにとって、目が見えないこと以上に暴言を吐いたり危害を加えてきたりする"いい人でない"晴眼者や、『かわいそうおばさん』『第三の目おじさん』などと彼らが呼ぶ、余計なことを言ってくる晴眼者こそが生活を送るうえで障害・負担になっているんだなと考えさせられた。 特に、ある事件で不登校になってしまった双葉。"いい人でない"晴眼者のせいで、外に出るのが怖いという状況に追い込まれたことがやるせない。もやもやとした。 そんななかでも、周囲にいる晴眼者によって何とか佑たちが気持ちを持ち直したりする様子に救われた。最後は希望も感じられるラストでホッとした。
Posted by
視覚障害、支援学校、白杖歩行、ブラインドマラソン、視覚障害者と晴眼者を隔てる何か。 支援学校中等部に通う中途視覚障害の少年・佑と、生まれつき全盲の同級生・双葉の視点から視覚障害の視点が追体験できるような小説になっている。 わたし自身は仕事で視覚障害の方と関わる機会が多く、視覚...
視覚障害、支援学校、白杖歩行、ブラインドマラソン、視覚障害者と晴眼者を隔てる何か。 支援学校中等部に通う中途視覚障害の少年・佑と、生まれつき全盲の同級生・双葉の視点から視覚障害の視点が追体験できるような小説になっている。 わたし自身は仕事で視覚障害の方と関わる機会が多く、視覚障害のことについて世間の多くの人よりは知っていると思っていた。 そんな中わたしが特に印象的だったのは白杖歩行訓練の大変さ。 白杖の使い方は知っていても、それを外出の度に持つ使用者の気持ちや、実際に使う時の困難、また晴眼者に怪我をさせないためにされている使用時の配慮なんかは全然イメージできてなかったんだな、と知った。 血の通った視覚障害理解のためには子ども大人問わず読んでほしい1冊。 フィクション(小説)の強みはこういうことだよなあと思った。
Posted by
目の不自由な人のこと、なんとなく知ってるつもりでいたけど、全然知らなかったな、と思った。 白杖を使っての歩き方、見えない世界の感じ方、伴走という関わり。新しく知ること、気付かされたことがいろいろあった。 晴眼者(目のみえるひとをこう呼ぶらしい)として視覚障害の人たちに知らず知らず...
目の不自由な人のこと、なんとなく知ってるつもりでいたけど、全然知らなかったな、と思った。 白杖を使っての歩き方、見えない世界の感じ方、伴走という関わり。新しく知ること、気付かされたことがいろいろあった。 晴眼者(目のみえるひとをこう呼ぶらしい)として視覚障害の人たちに知らず知らず怖い思いをさせていないか、考えてみないとな。
Posted by
佑(たすく)は視覚支援学校の中学部一年。小学部からの同級生が歩行者とぶつかり転倒、相手が「目が見えねえのに、ひとりで歩いてんじゃねえよ」と暴言を吐いたうえ、白状を放り投げてその場から立ち去るという事件の後、不登校になったことをきっかけに気鬱になっている。中学部になってほかの地域か...
佑(たすく)は視覚支援学校の中学部一年。小学部からの同級生が歩行者とぶつかり転倒、相手が「目が見えねえのに、ひとりで歩いてんじゃねえよ」と暴言を吐いたうえ、白状を放り投げてその場から立ち去るという事件の後、不登校になったことをきっかけに気鬱になっている。中学部になってほかの地域からの入学者もいたり、寄宿が始まり、これまで持っていなかった白状を使う練習をしていくことも佑の気を滅入らせていた。 話の筋がワクワクドキドキびっくり展開がないのは残念なものの、その代わりにこんなにも目が見えない人の生活を追体験させてくれた小説はなかったかも。佑がこれからどんどん外の世界で動けるようになる過程の本だからかもしれません。 小中学生で出会って読んでほしい一冊です。
Posted by
視覚障害をもつ中学生が「目が見えない自分たちは、外を歩いてはいけないのか」と、駅で浴びせられた青眼者(健常者)の言葉から悩み、疑い、葛藤し、自分なりの今の答えを見つけていく物語。 フィクションだけれども、実際にあった事件や新聞記事を取り入れて描かれているため、ノンフィクションの...
視覚障害をもつ中学生が「目が見えない自分たちは、外を歩いてはいけないのか」と、駅で浴びせられた青眼者(健常者)の言葉から悩み、疑い、葛藤し、自分なりの今の答えを見つけていく物語。 フィクションだけれども、実際にあった事件や新聞記事を取り入れて描かれているため、ノンフィクションのような雰囲気の物語となっている。 視覚障害を持つ中学生二人の成長を通して、街で、白杖を突きながら歩く人たちが、あのようにスムーズに歩けるようになるには、とても時間がかかっていることもわかる作品だった。丁寧な取材が行われたのだろうと思う。 なかなかない視点を持つ作品なので、中学生にはぜひ読んでもらいたい作品である。
Posted by
視覚支援学校に通う佑は、5歳のときに罹った病気が原因で視力を失った。 小学校で親しくなった双葉と中学でも一緒に通うことを楽しみにしていたのだが…。 勇気もあって元気な双葉が、学校に来なくなる。 原因は、点字ブロックの上を歩いていたときに歩行者とぶつかり転倒したこと。 その際、「目...
視覚支援学校に通う佑は、5歳のときに罹った病気が原因で視力を失った。 小学校で親しくなった双葉と中学でも一緒に通うことを楽しみにしていたのだが…。 勇気もあって元気な双葉が、学校に来なくなる。 原因は、点字ブロックの上を歩いていたときに歩行者とぶつかり転倒したこと。 その際、「目が見えねえのに、ひとりで歩いてんじゃねえよ」と暴言をはかれて白杖を放り投げられた。 この事件もあり、何度も気になって連絡していた佑だったが、双葉からは返事もなく、何もかもやる気が失せてきていた。 新たな仲間とも積極的に関わることができないでいた佑だったが…。 仲間たちとの繋がりや先生との信頼関係、挫折や失敗を繰り返しがながら、いつしか双葉が教えてくれたことが蘇ってきた。 ひとつ、何かできるようになったら、黒くて重たいものがちょっとだけ消えること。 何でもひとりでできるようになったら、全部消えてる。 できないことは、たくさんあるけれど諦めないで、努力して楽しいことを増やしていこうとする思い。 それが伝わってきた。
Posted by
- 1
- 2