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コード・ブレーカー(下) の商品レビュー

4.6

15件のお客様レビュー

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2024/07/06

下巻が特に面白いのは、世界で初めてゲノム編集赤ちゃんを作り出した中国の賀建奎を巡って人間がその領域に手を伸ばす事の是非を巡る論争。同氏はゲノム編集により双子の赤ちゃんを誕生させたが、倫理的な観点から国際的な非難を受けた。また、バイオハッカーと呼ばれる元NASAの生化学者、ジョサイ...

下巻が特に面白いのは、世界で初めてゲノム編集赤ちゃんを作り出した中国の賀建奎を巡って人間がその領域に手を伸ばす事の是非を巡る論争。同氏はゲノム編集により双子の赤ちゃんを誕生させたが、倫理的な観点から国際的な非難を受けた。また、バイオハッカーと呼ばれる元NASAの生化学者、ジョサイア・ゼイナーも登場する。自分の遺伝子を変化させるために遺伝子編集ツール「CRISPR」を使用した最初の生体人間となった。 鎌状赤血球貧血症は赤血球に関わる疾患であり、赤血球を生産する幹細胞は、容易に患者から採取して、再び患者の体内に戻すことができる。この病気は、ヒトDNAの30億以上ある塩基対の1文字が変異しヘモグロビンタンパク質が変形することで発症する。ビル&メリンダゲイツ財団と国立衛生研究所と連携し、鎌状赤血球貧血症治療イニシアチブを立ち上げた。これは骨髄を取り出すことなく、患者の体内で鎌状赤血球の原因を編集する方法を見つけることを目標としており、一つの可能性としては骨髄内の造血幹細胞へと導くアドレスラベルをつけたゲノム編集分子を患者の血液に注入することが考えられる。最大の課題は、患者の免疫系を刺激しない配送メカニズムを見つけること。 論点は、釜状赤血球貧血症は遺伝性疾患であり、主にアフリカ系アメリカ人やアフリカ人患者である事だ。白人に多い嚢胞性線維症の研究にはその8倍もの資金が投入されているが、ゲノム編集は富裕層と貧困層の健康格差をさらに広げる恐れもある。ゲノム編集の是非は、選択的にスーパーマンを作り出すことだけではなく、それが選択できないものとの格差を齎す事にまで及ぶ。 先天的疾患があるなら、それを取り除く事には私は賛成だ。後々、その病気を自らの個性として本人が受け容れる人生があったとしても、それは受容の結果でしかなく、最初から疾患が無いのならば起こりえない過程だからだ。一方で、能力値を操作する行為は許されるべきか否か。男女の産み分けはOKか。能力値を弄らず産まれた現人類の肉体改造と共に、許される範囲について、考えさせられる内容だった。

Posted byブクログ

2024/05/19

コロナウイルスのワクチンの仕組みと既存のものとの違いについて、かなり詳しく理解できた。本書のテーマは専門的で難しいかもしれないと思っていたが、RNAとその役割について分かりやすく説明してくれており、素人でも読みやすかった。 以下、本書よりメモ書き コロナウイルスの特徴として、そ...

コロナウイルスのワクチンの仕組みと既存のものとの違いについて、かなり詳しく理解できた。本書のテーマは専門的で難しいかもしれないと思っていたが、RNAとその役割について分かりやすく説明してくれており、素人でも読みやすかった。 以下、本書よりメモ書き コロナウイルスの特徴として、その形状が挙げられる。コロナウイルスの殻の外側にあるタンパク質はスパイクのような形をしていて、スパイクタンパク質と呼ばれる。電子顕微鏡で見ると王冠のように見えることからコロナと名付けられたことは周知の事実。 下記のシノバック、ジョンソン&ジョンソン、アストラゼネカは伝統的な手法で作られたワクチンで、ビオンテック、ファイザー、モデルナは人類の新たな試みとなる遺伝子ワクチンである。 - シノバック 殺したウィルスを使用し、生きたウィルスとの戦い方を免疫システムに教える。 - ジョンソン&ジョンソン ヒトアデノウイルスをベクター(遺伝子の運び屋)にして、スパイクタンパク質の一部を作る遺伝子を運ばせる。それを受けたヒト細胞はスパイクタンパク質を多く生成し、免疫システムを刺激して抗体を作る。 - アストラゼネカ 上記のジョンソン&ジョンソンと同じだが、ヒトアデノウイルスの代わりにアデノウイルス(チンパンジーの風邪を引き起こす)をベクターとする。 - ビオンテック、ファイザー RNAワクチンを製造。スパイクタンパク質の作り方をmRNAに運ばせる。mRNAが細胞の核内にあるDNAの遺伝子情報を転写し、それを核の外のタンパク質を生成する領域(細胞質)に運び、タンパク質生成を指示する。 - モデルナ ワクチンの製造で難しい点は細胞への配送メカニズムの構築である。モデルナは10年前から脂質ナノ粒子と呼ばれる小さな油性カプセルの開発に取り組んできた。これがビオンテック/ファイザーに勝る利点となった。脂質ナノ粒子でmRNAを運べる。安定性が高く、極低温で保存する必要がない。

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2024/02/09

物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。 東大OPACには登録されていません。 貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください 返却:物性研図書室へ返却してください

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2023/10/21

上巻はダウドナ先生中心の情緒的な話題が多くつまらなかったが下巻面白い。ヒトのゲノム編集の是非は読み応えあり考えさせる。コロナへの対応については内容少なめ。

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2023/08/20

クリスパーキャス9の発明者の、発明に至る経緯と、特許紛争の実情等の、激しい開発競争の状況が明らかにされる。 中国のデザイナーベビー誕生が話題となったが、その状況についても詳しく書かれており興味深い。 今後もこの技術の活用が進んでいき、病気との戦いには明るい未来が見える。一方で、デ...

クリスパーキャス9の発明者の、発明に至る経緯と、特許紛争の実情等の、激しい開発競争の状況が明らかにされる。 中国のデザイナーベビー誕生が話題となったが、その状況についても詳しく書かれており興味深い。 今後もこの技術の活用が進んでいき、病気との戦いには明るい未来が見える。一方で、デザイナーベビーの問題や、何が病気なのかなど、倫理的な問題は残り、自主規制のような枠組みで本当に大丈夫なのか、リスクの高さからもっと強力な規制の仕組みが必要だと感じる。

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2023/07/24

特許だったか会社関係の話がちょっと長い、もちろんそこも歴史的には重要なドラマなんだけど、個人的には科学的発見の過程をもっと読みたかった それは上巻で出尽くしたのか?

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2023/07/16

ゲノム編集について特に興味を持った。 病気や遺伝的異常を取り除ければ、とても優れた特徴であるが、生殖細胞系列のゲノム編集については考えさせられる。

Posted byブクログ

2023/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ジェットコースターのような展開がとてもスリリングで読み飽きない。下巻はいよいよクリスパー(CRISPR)が実装されていくステージに入る。プレーヤーもバイオハッカーのザイナーやクリスパーベビーを誕生させたフー・ジェンクイらが登場してくる。 クリスパーに代表されるテクノロジーは「滑りやすい坂道」に例えられている。クリスパーベビーのテーマは批判するのは簡単かもしれないが重い。この後に出てくる第41章「思考実験」、および第42章「誰が決めるべきか?」は生命倫理を扱うテーマだけに、これだけでもじっくり読む価値がある。ここのパートがあるので後半のダウドナらの行動についても理解が追いつくようになる。 最後はダウドナとシャルパンティエの2人がノーベル賞を受賞して大団円となる。でも受賞したのは彼女たちだけではない。そこまでに多様な人種、国籍、集団、組織、理念をもつ科学者たちがいて、オープン化された科学者たちのネットワークとその歴史があってこそ。フランクリンの苦労もそこで報われたともいえる。 エピローグにあるアイザックソンの言葉がとてもよかったので抜粋します。 「わたしたちは導き手として、科学者だけでなく人道主義者を必要とするだろう。そして何よりも、ジェニファー・ダウドナのように、その両方の世界に馴染んでいる人を必要とするだろう。 だからこそ、わたしたちが足を踏み入れようとしているこのミステリアスだが希望に満ちた新しい部屋を、すべての人が理解しようとすることが有益なのだと、わたしは考えている。 今すぐすべてを決める必要はない。子どもたちにどんな世界を残したいか自問するところから始めよう。そして、手探りで一歩ずつ、願わくは手に手を携えて進んでいこう。」

Posted byブクログ

2023/02/27

書評は上下通じて上巻の方に記載。 https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4163916245 いつも思うのだが、出版社の都合(売上最大化)で不必要に上下巻に分けるのは勘弁してほしい。 少なくとも電子書籍では上下巻通して読める...

書評は上下通じて上巻の方に記載。 https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4163916245 いつも思うのだが、出版社の都合(売上最大化)で不必要に上下巻に分けるのは勘弁してほしい。 少なくとも電子書籍では上下巻通して読めるようにしてほしい。 また、誰も読まない参照文献は紙の無駄なので、Webにリストとして乗っけてほしい。

Posted byブクログ

2023/02/26

スティーブジョブスの伝記を書いたアイザックソンの著作ということで、期待をしていたが、その期待以上の筆致で唸らされた。(上)はこの本の主人公であるダウドナが、化学の道を選び、RNAの研究者としてクリスパーキャス9システムのメカニズムを解き明かしていくまでが時系列で丁寧に描かれている...

スティーブジョブスの伝記を書いたアイザックソンの著作ということで、期待をしていたが、その期待以上の筆致で唸らされた。(上)はこの本の主人公であるダウドナが、化学の道を選び、RNAの研究者としてクリスパーキャス9システムのメカニズムを解き明かしていくまでが時系列で丁寧に描かれている。 (下)はもっとスコープを広げてバイオテクノロジー分野に関わる人たちの物語という感じで、(上)(下)別の物語として楽しめる。(上)だけでも完結した価値で楽しめるけれど、(上)(下)通して読んだほうが絶対によい!

Posted byブクログ