罪の轍 の商品レビュー
誘拐事件が起きるまでが長く感じたが、その後はジワジワと真実に迫っていく感じで、続きが気になり一気に読み切ってしまった。 日本が戦争から立ち直り景気も良くなり翌年には東京オリンピックがあり、皆が明るい未来に向かっているそんな時代背景だったり、今では忘れかけていた不便さがはがゆくも...
誘拐事件が起きるまでが長く感じたが、その後はジワジワと真実に迫っていく感じで、続きが気になり一気に読み切ってしまった。 日本が戦争から立ち直り景気も良くなり翌年には東京オリンピックがあり、皆が明るい未来に向かっているそんな時代背景だったり、今では忘れかけていた不便さがはがゆくもあり読んでいて懐かしかった。 ただ実際にあった事件を元にしているというのが頭にあり、半分ノンフィクションを読んでいる様な気分にもなり読み終わった後には辛さが残ってしまった。
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刑事と被疑者、ほかの登場人物の視点で描かれ、飽きなく、また実話をモチーフに誘拐というテーマなので さらに緊迫感もあり、先が気になりどんどん読めました。「砂の器」を思い出します。 でも本作は事件についてより、当時の描写にすごく興味を持ちました。(事件については尻すぼみ感が、) こ...
刑事と被疑者、ほかの登場人物の視点で描かれ、飽きなく、また実話をモチーフに誘拐というテーマなので さらに緊迫感もあり、先が気になりどんどん読めました。「砂の器」を思い出します。 でも本作は事件についてより、当時の描写にすごく興味を持ちました。(事件については尻すぼみ感が、) これまでは感情移入しやすかったり親近感持てる、その時その時の時代設定の本を好んで読んでいて あまり時代設定の違う作品は、これというもの以外読んでこなく、なんで書くのかなって思っていたくらい。 電話やテレビの登場で事件が混乱って、実は今のSNSに置き換えると同じなんだと。 歴史は繰り返すってほんとだなと思いました。 ちょっと読書の趣味嗜好の幅が広がった本になりました。 それにしても、東京から礼文島に着くまで二日後って、、技術の進歩も感じます。
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東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年。 浅草で男児誘拐事件が発生し、日本中を恐怖と怒りの渦に叩き込んだ。 事件を担当する捜査一課の落合昌夫は、子供達から「莫迦」と呼ばれる北国訛りの男の噂を聞く――。 世間から置き去りにされた人間の孤独 とても評判が良かったけど 最後まで読んで表抜け。 最初はせいぜい生きるために 盗みをするくらいの莫迦な子悪党が 人から利用されて 罪を着せられてる話かと思ったら 行き当たりばったりで 大した理由もなく人を殺してしまう。 長編で引っ張るから どんでん返しでもあるのかと期待したけど そういうこともなく。 私の読解力のなさか? 実際の事件をベースにしているそうで 子供が亡くなった以上 すっきり解決するわけもないのだが それにしても不完全燃焼感しか残らない。 最後に思いついたように 義父に復讐しようとする 義父のやったことは間違いなく虐待だが 殺人まで手に染める 悪党になったことまでは 義父のせいじゃないでしょう
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二連続で奥田英朗の積本消化。 クライマックスに向かって、だんだんと力が抜けていくようで、なんとも残念。 序盤は、本当にコイツが犯人なのか?と、吉田修一の「怒り」の雰囲気があり、ミステリーを醸し出していた。 それが中盤から犯人視点のロードムービーになり、特に謎がないという...
二連続で奥田英朗の積本消化。 クライマックスに向かって、だんだんと力が抜けていくようで、なんとも残念。 序盤は、本当にコイツが犯人なのか?と、吉田修一の「怒り」の雰囲気があり、ミステリーを醸し出していた。 それが中盤から犯人視点のロードムービーになり、特に謎がないというのが尻すぼみだった。 オリンピック直前の街の様子の描写は特筆もの。 刷新されていく東京の裏の山谷のドヤ街、国鉄や都電の乗換など、60年前の光景が見える。 事件を追う装置になるのが、当時の国鉄だ。 数十分ごとに上野から仙台行きや、青森行きの急行が出ていたのは今からでは考えられない。 当時の緻密な描写の反面、ストーリー展開が物足りない。 ニシン漁で栄えた礼文島は、昭和三十年の不漁を境にかつての賑わいは見る影もない。 幼少期の事件が原因で脳障害を持つ宇野寛治は、唆されて網元の番屋に火をつけて島を脱出して行方をくらませる。 数か月後、東京では強盗殺人が発生した。 連続する空き巣、賽銭泥棒の線を捜査一課の落合が当たっていくと、林野庁の標章を付けた作業服の男が浮かび上がってくる。 そして起きる小学生の誘拐事件。 警察の失態で犯人を取り逃したが、その捜査の過程で挙げられた人物が宇野寛治だった。 幼少期に継父に当たり屋をやらされて残った記憶障害は、宇野寛治の罪に対する意識の欠落を招いた。 生きるほどに、罪の轍が深くなる。
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誘拐事件が起きて犯人が分かるまでは長かったですが、結末が気になってどんどん読めました!最後のオチも納得です。残念ながら罪の轍は途切れませんでした。。
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奥田さんの小説が好きです。伊良部さんではあんなに笑わせてくれるのに、これはただただ重い…でも気になってやめられない。実話をもとにしてるという感想があって、それにも驚きました。本当にあったと思うとさらにただただ辛い。 この犯人には犯人であってほしくなかったし、どこかで幸せになってほしいとも思ってたけど、ただの自分勝手だなと思った。警察には色んな人がいるけど、犯人逮捕のための執念はすごい。
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1つの大きな事件が、どうやって起きてどう解決されていくのか、ヒリヒリとリアルな描写は、ずっと手に汗握る。 ページ数は多いが、全く飽きることなく、常に展開があって、事件が転がり続ける。 高度経済成長期の日本の温度感や、警察の古い体質がとてもリアルに伝わってくる。 最後に大きな展開は無いが、どうすれば時間は防げたのか、考えてしまう。
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空き巣、殺人、誘拐と立て続けに事件が起きるが、その全てに、ある一人の男の関与が透けて窺える。 一方で警察は、なかなか事件の尻尾を掴めずに翻弄され……という内容。 実話をもとにしているとのこと。 久々に読み応えのある警察小説だった。
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素晴らしい作品でした。実話ベースですが、ミステリー作品としてのエンタメ要素もしっかりとあり、とても楽しめました。とにかく、現代から見れば、その当時の時代ならではの障害、障壁が如何に犯罪捜査を困難なものとしていたかがわかります。電話ひとつとってしてもそう、北海道と東京の行き来とって...
素晴らしい作品でした。実話ベースですが、ミステリー作品としてのエンタメ要素もしっかりとあり、とても楽しめました。とにかく、現代から見れば、その当時の時代ならではの障害、障壁が如何に犯罪捜査を困難なものとしていたかがわかります。電話ひとつとってしてもそう、北海道と東京の行き来とってしてもそう。そんな中、奮闘する刑事達の感情やら組織論やらが非常にわかりやすく描かれています。また、舞台となる礼文、南千住山谷や上野、浅草等の、如何にもといった街々の状況や特性も情景伝わりやすく描かれており惹き込まれます。そして、宇野寛治の人生。ここまでの事件となってしまわないよう、どこかで防ぐポイントは無かっただろうか、、宇野の苦悩、負の誘発とその連鎖といったところでしょうか。ページ数も多く読み終えるまでに少し時間はかかりましまが、重厚感ある素晴らしい作品だと思いました。
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轍って、雪の多いところの出身でないと何ぞや?って思うよね。 私はどっぷり北海道育ちだが。 この小説のタイトルは素晴らしい! 深いです!
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