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彼女は水曜日に死んだ の商品レビュー

4.1

10件のお客様レビュー

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2024/04/25

読書チャンネルを運営するYouTuberさんがお勧めしていたので、手にしてみた。 何らかの形で犯罪が描かれている物語が十篇。 舞台は文化や風景に馴染みのないアメリカだけども、どうしてか一篇ごとに胸を打たれる。むしろ、主人公に自分を投影しちゃって、読みながら苦しくもなった。 ...

読書チャンネルを運営するYouTuberさんがお勧めしていたので、手にしてみた。 何らかの形で犯罪が描かれている物語が十篇。 舞台は文化や風景に馴染みのないアメリカだけども、どうしてか一篇ごとに胸を打たれる。むしろ、主人公に自分を投影しちゃって、読みながら苦しくもなった。 その理由は最後の一篇を読み終えて、解説を読み出した時、唐突に出てきた涙ではっきりした。 「なぜ今のようにしか生きられないのか、なぜ自分が最も望まない形でしか生きることができないのか、そんな思いを抱えている人にこそ読んでもらいたい一冊である」という解説者の言葉に心の蓋を開けられてしまった。 この短編集には、苦しくとも生きている人、生きていこうと決めた人々が描かれている。 私も同じだ。時々自分を投げ出したくなるほどの人生ではあるけど、微かな光を頼りに生きている。だから、読んでて胸を打たれまくったんじゃないか。 あまりに心を動かされちゃったもんだから、感想という感想は出てこないけど、 とりあえず、これからも小さな光を見失わないように生きていきたいと思った。

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2024/03/23

犯罪を目撃したり関わったりした者たちの日常やその後の人生を描いているが、エンターテインメント的な要素は皆無で淡々と続く日々を描きとった、という印象だ。 しかし翻訳ミステリー大賞の基準がよく分からない……。

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2023/11/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

リチャード・ラングの本邦初訳の短編集。図書館を利用。 全ての短編集が、犯罪に絡み少しままならない日常を抱えている人間を主人公に据えた話。 非常に文学性が高く、ミステリやサスペンスだと思って読むと、思わぬ重厚感にたじろぐかも。 好きだったのは「万馬券クラブ」、「本能的溺水反応」、「すべてのあとに」、「甘いささやき」。特に「本能的溺水反応」は、メアリーローズは水曜日に死んだ、が繰り返されることにより、どん底の中で生きる主人公にとって〝彼女〟がどれほどの存在だったかが強調され、余韻として残る。 あとこれは全くの余談だが、悲惨な社会の描き方で南米の作家だと思っていたら、意外にアメリカの作家だった。少しびっくり。

Posted byブクログ

2023/07/06

アメリカの悲惨な部分がギュッと詰まった短編集。 普通のレールからはみ出してしまって、どこにも行けない閉塞感がありありと感じられる。 読んでて息が詰まりそうなのにそれでも読み進められるのは日本語の翻訳が上手いからだと思う。

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2023/06/17

誰が言い出したのか「エルエーでレコーデングして」「エルエーで撮影して」みたいんのがイケてるって日本人の中ではそうなってるが、実際にはうずまさみたいなもんで、現地ではオワコン化してるんだと思うが。そんな訳?でギャングが名産地でもあるカリフォルニア。短編集ですが、どれも低所得者が主人...

誰が言い出したのか「エルエーでレコーデングして」「エルエーで撮影して」みたいんのがイケてるって日本人の中ではそうなってるが、実際にはうずまさみたいなもんで、現地ではオワコン化してるんだと思うが。そんな訳?でギャングが名産地でもあるカリフォルニア。短編集ですが、どれも低所得者が主人公で、しんどさにじみ出る、滲み出てる。結構読んでて辛かった。ドライに笑い飛ばせないんだよなー。結構切実にささってしまった。メキシコ人やアジア人の表記は多数あったが、実際物語の人種を特定させない書き方がうまいと思った。(共感させる)

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2023/05/04

短編集。ままならない生き方、なんとかしたいと思いつつ流されてしまう…中で、犯罪に関りを持ってしまう人たち。 法の境界のような状態の暮らし、それぞれが入り込んでいる抜け出せないスポット。

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2023/03/10

犯罪小説。書名「彼女は水曜日に」は「本能的溺水」一文。 ベイビーキラー:殺人目撃の通報。 ボルドーの狼:殺人犯と接し,看守が自己の闇を知る。 聖書外典:強盗計画を知る男,スリルあり。

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2023/02/21

人々の日常生活の隣にある犯罪がリアルに伝わる… 絶望や不安の中にも希望あれ #彼女は水曜日に死んだ ■きっと読みたくなるレビュー あまり恵まれない環境の人々が、望まれないながらも犯罪に関わってしまうクライムミステリー。 全10編からなる短編集で、スラム街に住む女性、死刑囚の看守...

人々の日常生活の隣にある犯罪がリアルに伝わる… 絶望や不安の中にも希望あれ #彼女は水曜日に死んだ ■きっと読みたくなるレビュー あまり恵まれない環境の人々が、望まれないながらも犯罪に関わってしまうクライムミステリー。 全10編からなる短編集で、スラム街に住む女性、死刑囚の看守、ギャンブラー、麻薬に手を染めてしまった人など様々な立場の目線で語られていく。 派手な展開や謎解きの要素は少なめの純文テイストの文芸作品といった趣き。文章ひとつひとつが綺麗で、作者はもちろん訳者の筆力がほんとに素晴らしい。 どの作品も登場人物たちの静かな叫びが、読者の胸にゆっくりナイフを刺してくる。恐怖感と悲壮感がしっとり、ずっしり、そしてやたらリアルに迫ってくるんです。 どれも至極の短編ばかりですが、特にお気に入りは、甘いささやき、聖書外典、本能的溺水反応、万馬券クラブ。決して長くない本ですが、じっくりと内容を味わって読んでほしい短編集でした。 ■おすすめ短編の感想 ・悪いときばかりじゃない 生活がうまくいっていない新婚夫婦と、金持ち義父との物語。 現実と絶望の狭間におかれるやるせなさが痛烈。 ・ベイビー・キラー スラム街で生活している女性目線で描かれる物語。 不安しかない現実の中でも、小さな希望にすがる描写がしんどい。 ・ボルドーの狼 古のフランス、死刑囚と看守のやり取り。 仕事として臭い蓋の役柄を務めるとはどういうことなのか。 ・万馬券クラブ ギャンブラーの愚かさと悲哀を描いた作品。 お金よりも大事なものがあるという単純なことにも気がつかない悲しさが秀逸。 ・夕闇が迫る頃 議員秘書の日常と裏側の生活を描いた話。 終盤、ベランダでの行動が胸糞悪くさせてくれる。 ・本能的溺水反応 麻薬ジャンキーたちの物語。 コンビニで買い物したら不幸になってました。といった感じで日常に麻薬がはびこる恐ろしさが伝わってくる。 詩のように美しい心情描写の中に、悪夢と現実の対比描写が光る作品。 ・聖書外典 治安の悪い街でガードマンをしている男だったが、自分が警備している店が襲われそうと知って… 社会や人生を悟ってしまった潔さが辛く、読んでいて悔しくなる。 ・すべてのあとに 世界滅亡後の廃墟荒しの物語。 静かな世界で、大きな絶望と小さな希望が見え隠れする。おそらく絶望しか残ってない。 ・甘いささやき 社会のレールからはみ出してしまった奴らの生き様、日常に溢れている感じが圧倒的に怖い。 少なくとも希望が見える一番好きな作品。 ・灰になるまで 不法入国と家族を守る美しいお話。 終盤の展開は本作すべてを物語っているようでした。 ■推しポイント 20代の頃の私は、常日頃から不平不満を垂れ流していました。何故こんなに人生がうまくいかないんだ、努力しているのに誰も助けてくれない、僅かな財産や時間を奪われてばっかり。 タイムマシーンで過去の自分に会いに行って怒ってやりたい。 今のお前がどれだけ幸せな環境におかれているか。 少なくとも犯罪に手を染めたり、巻き込まれるような環境ではないはず。希望を胸に生きることができる。それだけでどれだけ幸せなのかをよく噛み締めるべきだと。 明日も今の幸せが続くように頑張らなきゃ。

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2023/01/31

犯罪に関わってしまった人々の孤独、恐怖、希望や絶望を描いた短編集。犯罪の目撃者、看守、前科者、薬物中毒者、密入国者などなど、生きる辛さがそこかしこに表されているのが読んでいても哀しい。訳者が「ザ・プロフェッサー」や「喪失の冬を刻む」の吉野氏なので格差社会を生きる人々を鮮やかに丁寧...

犯罪に関わってしまった人々の孤独、恐怖、希望や絶望を描いた短編集。犯罪の目撃者、看守、前科者、薬物中毒者、密入国者などなど、生きる辛さがそこかしこに表されているのが読んでいても哀しい。訳者が「ザ・プロフェッサー」や「喪失の冬を刻む」の吉野氏なので格差社会を生きる人々を鮮やかに丁寧に訳しているのも素晴らしい。

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2022/11/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これはもう”犯罪小説”枠ではないのでは? シーラッハやカシュニッツを思い起こさせられるもの、デイモン・ラニアンやレイモンド・カーヴァー風味?と感じられるものもあって、面白かった。他の作品も読みたい。

Posted byブクログ