ポワロと私 の商品レビュー
優れた性格俳優であろうとした著者がポワロという主役を演じ、それでいて人物描写に並々ならぬこだわりを貫き、とうとう70本の珠玉の作品群を貫徹させた。 人物描写の他にも時代設定の統一やアールデコを積極的に採用した装飾等、手間と制作費を惜しまなかった事が、長年多くの人達に愛される作品...
優れた性格俳優であろうとした著者がポワロという主役を演じ、それでいて人物描写に並々ならぬこだわりを貫き、とうとう70本の珠玉の作品群を貫徹させた。 人物描写の他にも時代設定の統一やアールデコを積極的に採用した装飾等、手間と制作費を惜しまなかった事が、長年多くの人達に愛される作品となった要因となった。 また本書では、ドラマ撮影の開始と軌を一にする様に購入した自宅を持ち続ける事が出来るのか(ドラマが上手く行かず、手離す事にならないか)、不安に駆られる著者の心境が赤裸々に語られ、長年住宅ローンを抱える多くの人達に共感される一節となった。 BS(11だったかな?)で名探偵ポワロの放送が始まったが、吹き替えなしだと失礼ながら調子が出なかった。 自分にとってエルキュール・ポワロはデビット・スーシェであり、熊倉一雄である。熊倉さんも完走出来て本当に良かった。 ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店にて購入。
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テレビドラマでポワロ役をオファーされた1987年の秋から、ポワロシリーズ全70作を撮り終えた2011年11月までを綴る。撮影順に全部の放送、合間に出演した舞台や映画のことも語られる。テレビ局側、プロデューサー、監督などとのやりとりも書かれているので、ドラマを見ていてあれ?と思った...
テレビドラマでポワロ役をオファーされた1987年の秋から、ポワロシリーズ全70作を撮り終えた2011年11月までを綴る。撮影順に全部の放送、合間に出演した舞台や映画のことも語られる。テレビ局側、プロデューサー、監督などとのやりとりも書かれているので、ドラマを見ていてあれ?と思ったこともなるほど、と分かった。 NHKで何回か放送されていると思うが、最初の頃は原作を読んでるわけでもなく、たまたま時間があった時に見ているだけだったが、エヘン、私はクリスティ作品全部を2019年から2020年にかけて読み終えたのだった。すると、原作ではヘイスティングスが出てないのに出ている、ジャップ警部とミス・レモンもそうで、原作と少し違っているのに気付いた。住居も高層アパートとそうでないのがあるようだ。これは放送が全13シーズンで、1~8シーズンと9~13シーズンとで製作会社が違ったからだったことが分かった。 最初はITVで、ヘイスティングスとジャップ警部、ミスレモンは原作にかかわりなく全作品で出る。またポワロの住居は高層アパート、原作の時代設定は1920年代から1950年代のもあったが、ドラマでは視聴者に一定の時代感覚を与えるため時代は1930年代半ばに設定されていたことがわかった。そして原作が短編のものが多数あった。 で第9シーズンになると、制作会社がITV系列のグラナダテレビに変わり、作品はすべて2時間にして長編映画なみのクオリティとキャストで臨み、原作にあくまで忠実に臨むという方針になった。さらにスーシェはアソシエイト・プロデューサーとなり製作にも口をはさめるようになった。 スーシェは最初、ポワロどころかクリスティ作品を1冊も読んだことがなかった。役を受ける決断はずいぶん迷ったらしいが、受けると決めると、作品を読み、ポワロの特徴一覧表を作った。この本の最後に付録されているが、ベルギー人でフランス人ではない、紅茶やコーヒーには角砂糖を4つ、など93のリストだ。 シーズンはほぼ毎年撮影されたが、次のシーズンに果たして呼ばれるのだろうか? 呼ばれなかったら生活費はどうしよう、と常に不安定な気持ちを抱えていたとあった。だが、後半になるにつれ、ポワロ作品全部を映像化したい、と思い始め、幸いテレビ局もその方針となり、「呪われた相続人」(短編集「教会で死んだ男」に所収)というごく短い小品を除いて、めでたく70放送回分を撮り終えたのだった。見る側だと当たり前のように見ているが、こうやって読んでみるといやはやすばらしい偉業だ。 ちなみにスーシェ自身はわりと細身とのことで、肩や背中、おなかにパットを入れているとあった。また2000年5月にはNHKに招かれ来日していた。そこでは”来日中の外交官並み”に丁寧なもてなしを受けたとあった。 2013発表 2022.10.31第1刷 2022.11.20第2刷 図書館
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原書で読むしかないかと思っていたら、昨年翻訳出版されていました!知らずにいた自分を反省… 今ちょうどBSで最終シーズンを放映していますが、このタイミングで読めたことも良かったです。回想の現場をドラマで観るなんて…感動します。 ドラマ名探偵ポワロが大好きで、放映されるたびに録画...
原書で読むしかないかと思っていたら、昨年翻訳出版されていました!知らずにいた自分を反省… 今ちょうどBSで最終シーズンを放映していますが、このタイミングで読めたことも良かったです。回想の現場をドラマで観るなんて…感動します。 ドラマ名探偵ポワロが大好きで、放映されるたびに録画して、観て、消して、次の放映を待つ…を繰り返しています。 70作、ポワロをすべて演じたデビッド・スーシェ。彼がポワロの俳優と認識した後、映画などで彼を見かけると、エキゾチックなハンサムで驚きます(笑) しかし、彼がどれくらいポワロに真剣に取り組んだか、本書を読むと感動します。それは、原作者への敬意、ドラマ制作陣との信頼関係に繋がる… 途中新シーズンが始まるかの不安、始まる気配がないこともあり、舞台、映画、他のドラマへの出演、外野から聞こえる不穏な噂…70作貫徹は、本当に大変だったとわかります。でも、舞台での活動は、俳優「デビッド・スーシェ」としての価値を高める活躍を見せる… また、ドラマ「ポワロ」の中での名優たちとの共演を喜んだり、名優2世たちが出演するのを喜んだり、また、「ポワロ」で共演した人たちとの外での共演を喜ぶ姿など、デビッド・スーシェの人柄にも感銘を受けました(そしてパンダを愛している!)。 シリーズ前半と後半でドラマの雰囲気が違うことにドラマを全編観ていると気づきますが、その理由もわかりました。制作側も決断力、交渉力、資金調達(!)などが必要だったと思います。本当に70作、すばらしい偉業です。 そして訳者にも感謝。私より若い方ですが、「名探偵ポワロ」との小説との出会いやDVDを見まくった話…ですよねー!とあとがきで思いました。本当に訳してくださり、ありがとうございます! 図書館で借りました。 もう1回借りて、次にドラマの再放送が始まる時、1冊買おうと思います。
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ミステリーの女王アガサ・クリスティーが世に送り出した「名探偵ポワロ」を25年間にわたって演じ続けた英国俳優デヴィッド・スーシェの自伝であり、世界的大ヒットドラマの舞台裏をのぞくことができるポワロファン、海外ドラマファン、そしてクリスティーファンにとってまたとない一冊。 スーシ...
ミステリーの女王アガサ・クリスティーが世に送り出した「名探偵ポワロ」を25年間にわたって演じ続けた英国俳優デヴィッド・スーシェの自伝であり、世界的大ヒットドラマの舞台裏をのぞくことができるポワロファン、海外ドラマファン、そしてクリスティーファンにとってまたとない一冊。 スーシェがポワロを演ずるに至った経緯と、彼の決断。シリーズが終わるたびに「続きがあるのか。再びポワロを演じることができるのだろうか」という不安と戦いながら、ポワロで得た知名度とスーシェ自身の役者としての実力が数々の舞台や映画出演に呼び寄せる。それほどまでに、スーシェはポワロを深く研究し、他に類を見ないポワロ像を作り上げた。原作者アガサ・クリスティ―への深い崇敬と、「自分はあくまで性格俳優」というスーシェの矜持がゆるぎないポワロ像を作り上げ、世界中の人々を魅了したのだ。 スーシェをポワロに呼び寄せたLWTのプロデューサー ブライアン・イーストマンとの長きにわたる二人三脚、妻シーラや専任の運転手ショーンに支えられ、スーシェはポワロに身も心も「なりきる」ことができたといえるだろう。時には監督と衝突しながらも妥協を許さない人物造形があったればこそ、ポワロは完結したのだ。 そして何より素晴らしい共演者たちのことは忘れてはならない。ヘイスティングス大尉の ヒュー・フレイザー、ジャップ警部のフィリップ・ジャクソン、ミス・レモンのポーリーン・モランたちとのアットホームな「ポワロファミリー」はもとより、シリーズを追うごとに豪華になっていくゲスト俳優たち。ことに、2000年以降のグラナダテレビに制作が移ってからはその傾向は顕著で、映画並みの予算をかけたセット、小道具、衣装などとともに、著名なハリウッド・スターや名優たちが名を連ねることになり、視聴者に驚きと喜びを届けたのは言うまでもない。 シリーズを再放送などで続けて視ていると、LWT時代と、グラナダテレビ制作の新シリーズとでは、そういった見た目の豪華さばかりか、ポワロの内面を深く描くようになっているような気がしていたのだが、本書を読んでその見立てが間違っていなかったのがわかってうれしかった。特に「オリエント急行の殺人」のラストで見せたポワロの怒りと悲しみは、初期のシリーズには見られなかったものだし、1974年の映画「オリエント急行殺人事件」(アルバート・フィニーがポワロを演じた)では全く描かれなかった部分である。あの映画は大好きなのだが、人間ドラマとしての質はドラマ版に軍配が上がるといってよかろう。推理劇である以上に心揺さぶる大作ドラマである。 私がいちばん興味深く楽しく読んだのは、スーシェとゲスト共演者たちとの心温まるエピソードである。グラナダテレビの「シャーロック・ホームズの冒険」で2代目ワトソン博士を演じたエドワード・ハードウィック(「ホロー荘の殺人」)とはロイヤル・シェークスピア・カンパニー時代からの親友だというし、「複数の時計」に出演したトム・バーク(「マスケティアーズ」のアトスなど)の父親デヴィッド・バークとは知り合いで、トムのことは「赤ん坊のころから知っていた」というのは愉快この上ない。しかも、父親のD.バークはグラナダ・ホームズの初代ワトソンだというのは言うまでもない。 このような俳優同士の愉快なエピソードは事欠かないし、ポワロを愛する世界中のファンとの交流も微笑ましい。世界のどこへ行こうと「ポワロだ!」と顔を刺すスーシェ。本人は「性格俳優」として「決して華やかな主役を演じるスターではない」といいながら、今やローレンス・オリヴィエにも匹敵する英国を代表する伝説的な俳優の一人となったのだ。 最後に、この本を読んで本当によかったと思うのは、「名探偵ポワロ」というドラマをまた頭から見返してみたくなることだ。。 とにかく、ポワロさんがより一層大好きになる一冊です。
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スーシェの人柄が伝わって好感が持てる。 読んでテンションが上がるというより、安らぐような穏やかな気分になれる。
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役者が役と真摯に向き合うとは どういうことか よく分かった。 ポアロ論としても興味深い。 あらためてビデオをみかえしたいと 思った。
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ドラマ「名探偵ポワロ」の中の人の自伝。 原著は出版された直後に買ったけど、序章で挫折。 ポワロをこよなく愛する訳者によってすばらしく読みやすい自伝になっている。感謝以外のなにものもない。 撮影時のエピソード、何を考えて撮影に入り演じたかを各話について細かく語っていて、スーシェの...
ドラマ「名探偵ポワロ」の中の人の自伝。 原著は出版された直後に買ったけど、序章で挫折。 ポワロをこよなく愛する訳者によってすばらしく読みやすい自伝になっている。感謝以外のなにものもない。 撮影時のエピソード、何を考えて撮影に入り演じたかを各話について細かく語っていて、スーシェの「名探偵ポワロ」を見る時は傍において副読本としたい。
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ポワロファンとしては、全編を読み直し→観直しながら読みたかったくらい。 定年後の夢がまたひとつ。 なぜ、(デビット・スーシェ演ずる)ポワロに惹かれたかが、具体的な人物像とともに伝わってきた。 そして(予想通り)TVドラマとしては破格の制作費がかかっていたことも知ることができました...
ポワロファンとしては、全編を読み直し→観直しながら読みたかったくらい。 定年後の夢がまたひとつ。 なぜ、(デビット・スーシェ演ずる)ポワロに惹かれたかが、具体的な人物像とともに伝わってきた。 そして(予想通り)TVドラマとしては破格の制作費がかかっていたことも知ることができました。
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なんかもう、ポワロとスーシェさんは同じ人!僕の叔父さん!僕は全て持つている!70話のドラマも、お別れの特別番組『さよならポワロ!〜世界が愛した名探偵・25年の軌跡〜』も、録画してあり!3周観ている!でも、友達はいない。何故からクリスティの本は持つてないから。 一番好きなのは『ビ...
なんかもう、ポワロとスーシェさんは同じ人!僕の叔父さん!僕は全て持つている!70話のドラマも、お別れの特別番組『さよならポワロ!〜世界が愛した名探偵・25年の軌跡〜』も、録画してあり!3周観ている!でも、友達はいない。何故からクリスティの本は持つてないから。 一番好きなのは『ビック・フォー』のオープニングだ。 この本は最高だぜ!
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ドキュメンタリーの番組として見てはいた。今回、読めたことをとても嬉しく思う。デビット・スーシェの自伝であるが、仕事に対する向き合い方を考えさせられる本となった。俳優と会社員ではだいぶ働き方は違うし、不安も違うだろうが、働くことへの向き合い方においては、とても勉強になった。やはり、...
ドキュメンタリーの番組として見てはいた。今回、読めたことをとても嬉しく思う。デビット・スーシェの自伝であるが、仕事に対する向き合い方を考えさせられる本となった。俳優と会社員ではだいぶ働き方は違うし、不安も違うだろうが、働くことへの向き合い方においては、とても勉強になった。やはり、いつでも真摯に自分のできる精一杯を毎秒積み重ねていく。そのおかげであの愛すべきポワロが生まれたのだ。もう一度ドラマを見て原作も読み直したくなった。
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