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乱れる海よ の商品レビュー

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2022/12/07

小手毬るいという方は、その珍しい筆名は見かけたことがあっても、作品を読むのはこれが初めてです。 この小説は、1972年のテルアビブ空港乱射事件を素材として、主導メンバーであった奥平剛士を渡良瀬千尋という名にして、それを小説にする女性作家が描くという組み立てです。 しかしながら、妙...

小手毬るいという方は、その珍しい筆名は見かけたことがあっても、作品を読むのはこれが初めてです。 この小説は、1972年のテルアビブ空港乱射事件を素材として、主導メンバーであった奥平剛士を渡良瀬千尋という名にして、それを小説にする女性作家が描くという組み立てです。 しかしながら、妙に甘ったるい展開で、最終盤には乱射実行犯を主題にすることの言い訳めいた文章が続くのにはうんざりさせられました。 そこを敢えて最後に書くくらいなら、そもそも小説に仕立て上げなければいいのに。 奥平剛士が高校の先輩というだけでネタにしたとしか思えません。

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2022/12/03

1972年5月30日イスラエルのテルアビブ近郊都市のロッド国際空港(当時)で発生したテロ事件を元に描かれた小説。この事件は、パレスチナ解放人民戦線から協力を要請されたアラブ赤軍が襲撃を実行して99人の死傷者を出した。その実行犯は3人の日本人。このような無差別乱射テロを日本人が遠く...

1972年5月30日イスラエルのテルアビブ近郊都市のロッド国際空港(当時)で発生したテロ事件を元に描かれた小説。この事件は、パレスチナ解放人民戦線から協力を要請されたアラブ赤軍が襲撃を実行して99人の死傷者を出した。その実行犯は3人の日本人。このような無差別乱射テロを日本人が遠く離れた海外で起こしたことを、お恥ずかしながらきちんと知らなかったため衝撃を受けながら読み終えた。 登場人物たちのその時々の感情は創作されたものだうが、歴史的事実が盛り込まれたフィクションであるため、穏やかな気持ちにはなれない。事件の首謀者である渡良瀬千尋は、献身が人を救い社会を救う力になると信じつつ白黒をはっきりさせたいわけじゃないと思っている一方、世界の貧しい人から搾取して迫害する勢力に対する闘争を革命として実行する。仮想敵とした中には該当しない民間人も犠牲になっており、とても賛同できるものではないが、革命を望む闘志は純粋なものなのかもしれないということは感じた。正義は否応なく排除してしまうのだな。

Posted byブクログ

2022/11/22

美化したり、共感したり、そんな事をしてはいけない事なんだと思う。 けれど、こんな事があったんだと、その後に生まれてきた人達に伝える事は大切な事ですね。

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2022/11/08

作者の小手鞠さんが50年の想いのがこもった作品。お話し悲しいな。あの時代に生きた人々の思いが伝わる。でもたくさんの人々が亡くなるテロは、悲しい。テロがテロを生むのはやりきれない思いでいっぱい。

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2022/10/31

浅学だから知らなかったけど、実際にあった出来事を書いてる話だった 重くて暗くて、読んでいて気持ちがどんよりしてしまった

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2022/11/05

私は作者と同じ年代です。 テルアビブ空港乱射事件は、TVでもセンセーショナルにとりあげられたので記憶に刻まれています。 50年経った今、ノンフィクションとフィクションの間だとする本文を読んで、やっと「なんであんな事をしたんだろう」という長い間の疑問に答えをもらった気がしています。...

私は作者と同じ年代です。 テルアビブ空港乱射事件は、TVでもセンセーショナルにとりあげられたので記憶に刻まれています。 50年経った今、ノンフィクションとフィクションの間だとする本文を読んで、やっと「なんであんな事をしたんだろう」という長い間の疑問に答えをもらった気がしています。 あとがきに作者の母校であり、奥平剛士の母校でもある高校の校長先生が全校生徒を前に「奥平さんの為した行為は間違っていたが、平等な社会、差別のない社会を作ろうとした彼の思想は、間違ってはいなかった」という趣旨の話をしたとあります。 凶悪犯罪とは違って、意志を持ってした行為には、しっかりした考えがあっての事だと思います。それを知ることができて、嬉しいです。 世の中に真摯に向き合った一人の青年。もっともっと違った道もあったのになぁと惜しまれます。

Posted byブクログ

2022/11/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2022/10/25リクエスト 1 1972年5月30日、イスラエルのテルアビブ空港で乱射テロ事件が起こる。 起こしたのは3人の日本の若者たちだった。 京都大学の渡良瀬千尋は、大学入学後、セツルメント活動、肉体労働に打ち込む。セツルメント活動とは、ボランティアの一種で、持てる者、富める者が持たざる者、貧しいものと共に行動、生活をすること。 学力、学歴がない親から生まれたこどもはやはり学力が致命的に低い。親が働き詰めで、それでも大した給料を得られないから、こどもどころではない。貧困、学力低下、就職差別、底辺の仕事にしかつけない、こどもも同じ道をたどる… 悪循環を断ち切るため、こどもたちが生まれたときから背負っている悪循環からの開放を目指す闘い。 デモに加わり混迷から抜け出すため、セツルメント活動と決別、日本民主青年連盟へ加入する。そこから日本赤軍の主要メンバーであり、最高幹部であり、軍事委員でもある 渡良瀬千尋となる… イスラエルのテルアビブ空港で世界初の空港事件は、日本人3名によるものだった。 初めて知った。ショックだった。 その後に続くテロの元凶は、ここにあった。 どうしてそこまで、まっしぐらなのか。 どうして異国でそんな事件を起こさなければならなかったのか。 書かれている、政治的思想や活動、シモーヌ・ヴェイユに対する憧れというか、崇める気持ちなどなど、とても理解できない。 【著者からのコメント】 恋愛小説ではありません。歴史小説でもありません。今から約50年前に、世界で初めて空港で乱射事件を起こして、その後の世界秩序を塗りかえてしまったのが日本人であった、という事実を今の日本で認識している人はどれくらいいるでしょうか。これは負の事実かもしれません。しかし、事件を起こした人物(私の高校の先輩)を、私はどうしても全面的に否定できないのです。なぜなのか? その理由を知りたくて、この作品を書きました。 著者を否定する訳では無いが、全面的に否定できない、という気持ちを理解したかったが、残念ながら私にはできなかった。 考えなければいけない問題なのだろう。 ただ、今、自分の人生には、その余裕がない。 時間をおいて読み返しても、この渡良瀬千尋のモデルである、奥平剛士の感情の揺れ動きは理解できないような気がする。 読み終えて、とてもショッキングな内容に茫然自失。

Posted byブクログ