泣き娘 の商品レビュー
死者を偲んでなく者が多いほど、家の名誉となる。涙をもって個人の功績を称える女性、”哭女”。 中国唐代、神都随一と噂される”哭女”の泪飛は葬式に引っ張りだこ。だが、泪飛には人には決して話せない秘密があった……。 女帝・武則天が治める中国唐代の神都(洛陽)を舞台に、葬式で泣かせるた...
死者を偲んでなく者が多いほど、家の名誉となる。涙をもって個人の功績を称える女性、”哭女”。 中国唐代、神都随一と噂される”哭女”の泪飛は葬式に引っ張りだこ。だが、泪飛には人には決して話せない秘密があった……。 女帝・武則天が治める中国唐代の神都(洛陽)を舞台に、葬式で泣かせるために雇われる”哭女”を主人公とした歴史青春ミステリーです。 知識として、かつて哭女という職業があったことは知ってはいましたが、それを主人公として取り扱った作品は新鮮でした。 扱っているテーマがテーマだけに、全編を通して死と涙、悲しみに塗れた話ではあるのですが、涙の後には心身の癒しがあり、癒しは一歩踏み出す力になる、という事で、成長・友情譚としてもおすすめしたい一冊です。 死と近しい職業を生業にするものとして蔑まれながらも職業意識高く、自分自身も十代前半といった年齢で一人で弟妹を養っている泪飛は、儚くも気高く美しかった。
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初めての四国旅行で買った本! 高松駅のくまざわ書店にて購入 かつて日本にも存在していた風習、泣き女!? 葬儀の際に死者を弔う為に、泣く女性の職業!? 儒教の教えの中で死者を弔う事に悲しむ事が最大の敬意であった事が根幹にあるようです。 現在の日本にはその風習は殆ど残っていない...
初めての四国旅行で買った本! 高松駅のくまざわ書店にて購入 かつて日本にも存在していた風習、泣き女!? 葬儀の際に死者を弔う為に、泣く女性の職業!? 儒教の教えの中で死者を弔う事に悲しむ事が最大の敬意であった事が根幹にあるようです。 現在の日本にはその風習は殆ど残っていないようですが中国や一部の東南アジアには未だ、泣き女としての職業が存在しているようです! 本作は中国唯一の女帝、則天武后が統治する唐の時代の神都の話! 神都随一の哭女性、泪飛! 葬式に泪飛を呼ぶ事、呼べる事が一種のステータスとなっていた、泪飛は呼ばれた葬儀で死者を弔う歌を歌い涙を流す・・・ そんな、多忙なる毎日を送っていた時、泪飛は運命的な出逢いを果たす。 そして泪飛の人に知られてはならない秘密・・・ 幼き泪飛の成長の物語!
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※このレビューにはネタバレを含みます
再読 単行本版感想から転載 武周時代、両親が亡くなり路頭に迷う所を、哭女として弟妹を養う事となった少年の成長と、挑む葬儀の死の真相を追うミステリー 過酷な環境と未熟な子どものできる事、考えられる事は限られていると痛感します 忌まれる職業であり女性しかなれないけれど、10才の少年という事で女装をして、13才で都一の哭女となった泪飛と、そんな彼に訪れる運命の出会いの物語 最終章で、成長した彼が鏡の中の自分に語りかける一言に号泣しました
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両親を失い、幼い弟妹を守るために哭女として頑張っている泪飛。まだ大人とは言えない年齢なのに誰にも頼れず、独りで必死に頑張っている姿を見ると、心配だけど応援したくなる。全く立場の違う青蘭に反発していた泪飛。でも、一緒にいるうちにお互いに信頼し合うようになっていくのが伝わってくるのが...
両親を失い、幼い弟妹を守るために哭女として頑張っている泪飛。まだ大人とは言えない年齢なのに誰にも頼れず、独りで必死に頑張っている姿を見ると、心配だけど応援したくなる。全く立場の違う青蘭に反発していた泪飛。でも、一緒にいるうちにお互いに信頼し合うようになっていくのが伝わってくるのが楽しい。泪飛の大きな秘密がバレた相手が、青蘭で良かったのかも。と思えるのは嬉しくなった。色々なことを諦めてきた泪飛が、これからは少しずつでも好きなことをできるようになるといいな。と思った。
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まだ年端もいかない子供の頃、ちょっとしたことでピーピーと泣く私は親戚の叔母や叔父に大きくなったら、泣き女になればいいとからかわれていました(今思えば、そんな大したことでもなかったんですが、幼稚園にも行っていない幼児をからかいおって) そんな経緯もあり、こういう仕事があったということだけは知っていました。 この物語の主人公、泪飛こと燕飛は少女ではなく、少年。早くに両親を失い、幼い妹と弟を養うためにいやいやながらも哭女をしているのですね。 男子だと知られるわけにもいかず、父親が役人だったために科挙を受ける準備をしていた彼は無理をしていた母の死に目にもあえず……。 そんな時に葬儀の帰りに泪飛は一人の青年と出会います。 青蘭と名乗る青年は親友であった張飛が陰謀から殺されたのではないかと思い、張飛の葬儀に哭女として泪飛に出てほしいと頼むのです……。 ここから始まる青蘭と燕飛の物語。 それはこの時代の闇を見ることでもあり、燕飛には自らの身を顧み、新しい道へと踏み出す始まりでもあったのです。 中華関連の作品で則天武后の時代は珍しいなぁと思いつつ、物語に引き込まれてのあっという間に読んでしまいました♪ 舞台がどの時代であっても中国はその広い大地に多くの民族を抱えていることが問題になるのだなぁとしみじみ。 民族の違いを相手を否定する理由にしてはならないと強く思いながら、理不尽というものはいつの時代にも私たちの背中に張り付いていて、私たちがそれをはがさなくてはならないのだとも思いました。 幼い頃の記憶と共に、たくさんのことを考えさせてくれる一冊でした。
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