月面文字翻刻一例 の商品レビュー
独特の世界観の中にフェミニズムや消費社会への批判、マイノリティへの抑圧への怒りを感じる作品たちだった…『黄金の鬣』『本盗人』『蟲科病院』が特に好き。
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川野芽生さんが書く文章から見る世界は やはり好きだと改めて思う 幻想的な掌編小説を辿っていくと他作品にも繋がるイメージがあって その揺るぎない世界に安堵する 「遠き庭より」と「桜前線異常なし」の各章が特に印象的で何度も読み返しています
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掌編サイズが川野芽生ワールドはちょうどいいのかもなあ。 ほの暗いけど、どこかにあるこの世界とは違う、どこかで起きている幻想奇譚。 個人的には「黄金の鬣」がかなしくて奇妙で、だけどいとおしくて好き。
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五部構成の掌短編集。幻想性を帯びた作品群はどれもが夜の静寂に波打つ波紋のように美しい音と図像を描いており、互いに連関しているようであり、独立しているようでもあり、読者の考察を誘惑する。読書好きにとって、「夜の夢」を鮮やかに切り出してくれる作品は好もしく、他の作品も読みたくなる。
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最初は読んでて???って感じだったけど、いつの間にか作品に取り込まれていた。 中学生高校生でこの感性は半端ないなーと思った。
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全く図書館でかりた覚えがなかったのだが、貸出可能の連絡が来たので素直に受け取り、読んだ。中身見たら何でかりたか思い出すかなと思ったけど、全然思い出せず。そういう巡り合わせで来た本なのだと思う。読めて良かった。 主に寝る前に読んでたんだけど、お話の長さといい、幻想的な内容といい、...
全く図書館でかりた覚えがなかったのだが、貸出可能の連絡が来たので素直に受け取り、読んだ。中身見たら何でかりたか思い出すかなと思ったけど、全然思い出せず。そういう巡り合わせで来た本なのだと思う。読めて良かった。 主に寝る前に読んでたんだけど、お話の長さといい、幻想的な内容といい、冷たく澄んだ語り口といい、落ち着いた。わたしもたまに文章(と言っても日記)を書くけど、こういう表現と世界観は一生書けないだろうと思う。それくらい特別というか、全てが独特で美しく、時に冷たく恐ろしい。
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ひんやりとした夜のような、どこかから冷徹な眼で俯瞰しているような文体が、とても好き。 とくに好きなのは表題作と「月の鱗粉」「遠き庭より」「夏より夏」「夏の雨降る」 「蟲科病院」は長編で読みたいなあ。
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「月の面に文様を彫る仕事をしている」 この一行でまず引き込まれる。美しく儚い幻想短編集です。月面をイメージした装丁も秀逸。本棚に置きたくなるデザインです。
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天使や薔薇、月や蟲をモチーフに人と人ならざるものたちの世界を描いた掌篇集。 正直、山尾悠子の影響をモロに感じてちょっと面映ゆい。山尾さんよりはストレートに耽美的なモチーフを扱っているけど、文体の選択から幻想と現実の侵食関係などがそっくり。月の描写はカルヴィーノのオマージュだろ...
天使や薔薇、月や蟲をモチーフに人と人ならざるものたちの世界を描いた掌篇集。 正直、山尾悠子の影響をモロに感じてちょっと面映ゆい。山尾さんよりはストレートに耽美的なモチーフを扱っているけど、文体の選択から幻想と現実の侵食関係などがそっくり。月の描写はカルヴィーノのオマージュだろうし、ダンセイニやボルヘス、ガルシア=マルケスも好きそう。 幻獣としての火の描写がかわいい「不寝番」と、サイレント映画のような「人形遣い」が好きだった。完成度の点では最後に置かれた「天屍節」「蟲科病院」の連作が頭ひとつ抜けている。蟲と竜と天使とが、人の身体を媒介にして流転する世界。誰かに都合のいい”無害”になるべく蟲を取り入れた人間はやがて竜となり、天使のように堕ちていく。今はまだ自分のものにするまでこなされきってない感じだけど、耽美的なファンタジーにはっきりとフェミニズム的なメッセージを打ちだすのが、この人の核になっていくのかもしれない。
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書店で見かけたときに装丁の美しさに惹かれ、しかし当時はハードカバー本を買うことはしていなかったので後ろ髪を引かれつつ去り、その後Twitterでおすすめされて遂に購入。初めての幻想小説で読めるか不安だったけど、情景はかなり頭に思い浮かべやすい。文全体が長い詩のようで、難解な言葉が続くけど小難しくない、きれいな文体。ずっと不思議。全部きれいで好きなんだけど、とりわけお気に入りは「塔」「水宴」「柘榴石の夜に」「さよなら鳥たち」「天屍節」「蟲科病院」。静かに光るものを書くのがうまいなあ……。あとページの使い方も!
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