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世界インフレの謎 の商品レビュー

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84件のお客様レビュー

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2024/09/18

日本経済の長期のデフレについて、消費者目線では価格の据置を前提として賃金の上昇を我慢し、企業目線では賃金の据置を前提に価格への転嫁を控える、という点に原因を見出し、今がデフレにとどまるか脱却するかの分かれ目であり、ゆるやかなインフレ予想とその状態に対応した行動、つまり消費者が物価...

日本経済の長期のデフレについて、消費者目線では価格の据置を前提として賃金の上昇を我慢し、企業目線では賃金の据置を前提に価格への転嫁を控える、という点に原因を見出し、今がデフレにとどまるか脱却するかの分かれ目であり、ゆるやかなインフレ予想とその状態に対応した行動、つまり消費者が物価上昇を受け入れ企業は賃金を上昇させるということを日本人が受け入れられるかどうか、という点にその判断を委ねています。 その意味では、デフレから抜け出すためには心理の変化も大いに必要なのかと。

Posted byブクログ

2024/08/16

時間ができたら必要なものだけを置いて、すっきりとした部屋で過ごしたいと思ってきました。この数ヶ月間、読み終わった本を中心に処分をしてきましたが、部屋が気持ちよくならない元凶は「読みかけの本」が多数あることと、それにも関わらず興味のある本を買ってしまうことでした。 まずは購入して...

時間ができたら必要なものだけを置いて、すっきりとした部屋で過ごしたいと思ってきました。この数ヶ月間、読み終わった本を中心に処分をしてきましたが、部屋が気持ちよくならない元凶は「読みかけの本」が多数あることと、それにも関わらず興味のある本を買ってしまうことでした。 まずは購入してから1ヶ月経過したにも拘らず読破できていない本は、途中で打ち切ることにしました。読破していないということで本の評価は「★1つ」としていますが、内容が悪かったわけではありません。 この本で気になったポイントは以下です。 ・世界経済を変えた3つの要因、1)グローバル化、製品の価格は極めて上がりにくくなる、2)少子高齢化による、将来の所得の減少、3)技術革新の頭打ち、生産性の伸びが停滞(p11) ・ロシアのウクライナ侵攻がインフレの大きな理由と言われているが、これはインフレを生じさせた理由の一端ではあっても最大の理由でない。米英欧州のインフレは、実は2021年春から始まっていた(p16)パンデミックは急速に進展したグローバリゼーションによって構築された世界の物流ネットワークが寸断された(p22) ・今回のインフレに対して世界の中央銀行が後手に回り右往左往してしまったのは、彼らが極めて高く信頼し、判断の拠り所としていたフィリップ曲線の神宮力が落ちてしまった(p40)インフレの原因が、需要の過多ではなく、供給の縮小にある(p41) ・2020年5月時点での死者数は世界人口の0.005%で、スペイン風邪の時(2%)には到底及んでいない。しかも今回は高齢者が中心で、この点もスペイン風邪の働き盛りの世代が多く亡くなったのと事情が異なる(p60) ・対照的な対策をとった、スウェーデン(るい行動制限)とデンマーク(厳しいロックダウン)でしたが、結果として経済被害に大きな差は出なかった、政府の介入の強さと、経済被害の規模には関係がない(p69) ・日米とも、人々は外出半減させたこと、そしてその外出半減はもっぱら情報効果によるもの、つまり、政府に命じられたからステイホームしたわけでなく、自ら情報を入手し、それを踏まえて自分で考えて自主的に行動を変化させた(p78) ・パンデミック2年目の米国のインフレは、経済最下位で労働に対する需要が増加する中、自発的離職が増えるので人手不足が起こる、人手が足りないのでモノ・サービスの生産が十分にできずに供給不足に陥る(p88) 未読破(144/269ページ) 2024年8月16日作成

Posted byブクログ

2024/08/18

勉強になりました。人々が歴史的にどう戦ってきたのかがよく分かりました。今の政府(岸田、茂木、河野)と日銀(黒田)あとトランプが経済的にどれだけ酷いかが分かります。

Posted byブクログ

2024/07/30

本書の紹介文に「学者も中央銀行も読み間違えた!」とあるように、経済理論はギャンブル要素が多い。 地震、台風、洪水などの自然災害や、パンデミック、戦争などが起きる時期や規模や影響度など予測できない。 ここ数年間の世界的インフレについては、今まで頼りにしていた経済理論では説明できな...

本書の紹介文に「学者も中央銀行も読み間違えた!」とあるように、経済理論はギャンブル要素が多い。 地震、台風、洪水などの自然災害や、パンデミック、戦争などが起きる時期や規模や影響度など予測できない。 ここ数年間の世界的インフレについては、今まで頼りにしていた経済理論では説明できないらしい。 そこで、なぞの要因"ファクターⅩ"を見つけようとしたのが本書の内容みたいだ。 経済活動なんて、人の気分次第で変動するもの。 行動経済学が注目されているように、人間の欲望や思考の癖が大きく経済活動に関係していると思う。 今のインフレは、パンデミックと戦争が供給網の寸断を招いた結果のものだと思う。 性善説を前提としたグローバル化の行き過ぎによる弊害だと思う。 何が原因でインフレになっているのか? 今の経済理論で説明がつかないなら、これを見つけ出すことは重要だ。 コロナ禍が収束していない2021年の6月ごろから欧米でインフレが始まった。 パンデミックがインフレの主犯であるなら、この時期に何をすべきだったかの答えを出しておく必要がある。 だが、どの国も政府の介入策は経済にあまり影響を与えなかったようだ。 ロックダウンした国も、規制をかけず自由な行動を容認した国も、その後の経済状況の変化に差異はなかった。 コロナによる死者数の違いも関係ない。 パンデミックが収束すれば、経済も元に戻ると多くの人が考えていたが、2024年になった現在もそうはなっていない。 ウクライナ戦争でインフレ率が1.5%上がっていると試算されているが、それを差し引いても高いインフレ率が続いている。 結局、今のインフレの理由がわかっていないので、どう対処すればよいかも分かっていない。 日本以外の中央銀行は、利上げで対処しその効果を様子見しながら次の手を打とうとしている。 インフレは供給不足により生じる。 供給不足は、供給が足りないか需要が強すぎるかのいずれか。 今回のインフレは供給の過少にある。 中央銀行は供給の過少を解決する能力は持っていない。 だから、増えていない需要を下げて、少ない供給とのバランスを取ろうとしているらしい。 渡辺努さんは、マクロ経済学の専門家だ。 マクロ経済学は全体としてどうかという見方優先で、個人の生活実感と異なるのでピンとこない。 高いインフレ率を問題にしているが、そもそも適切な物価上昇率なんて定義されているの? 分からないことだらけ。 日本の実態に近い0%じゃダメなのか? 私のこの疑問の答えが書かれていたが、0%じゃ成り立たない今の資本主義に基づいた経済理論によるものだった。 「経済理論の基礎も知らないの?」と言う人達の思考回路を変える必要がありそう。 インフレになるとその国の通貨は価値が下がり安くなるはず。  だから、日本では価格が不変で、アメリカでは価格が上昇なら、円高になるはず。 日本100円、米国1ドルだったものが、日本100円、米国2ドルになれば、1ドル50円になるはずなんだけど、そうなっていない。 データを見ると、2012年を境に円高に向かっていた為替レートが一転急激に円安に向かっている。 何があったか。 アベノミクス政策による日銀の異次元金融緩和だ。 目論見どおり1ドル80円から120円へと円安に振れ、今は150円も超えた。 国民の正常な経済活動によらず、学術的な経済理論による力づくの金融緩和政策の結果がこれだ。 私には、こうなったからくりがよく分からないが、アベノミクス政策を続けてこうなった。 輸出で儲けが出る企業や、資産家の大株主には嬉しい成果だ。 円安株高で今まで恩恵を受けた人がどれだけいるか知らないが、その結果何が起こるか今後が不安だ。 国債を大量に抱えているので安易に利上げもできない、円安介入の資金も不足してきた。 アベノミクスの失敗の後始末が使命となった植田和男日銀総裁は、打つ手がほぼない中で今のところよくやってると思っている。 銀行の金利は上げられないから株で資産形成を国が推奨しているが、損しても自己責任だからこの方針は心配だ。 政治家さんには、庶民にマネーゲームを進めるのではなく、地道に働けばそれなりの暮らしができる社会を作ることに頭を使って欲しい。

Posted byブクログ

2024/07/12

現在、世界が、日本が置かれているインフレ状況を、分かりやすく解説してくれる良書。はじめはグラフのマジック、数字のマジックではないかと、疑って読んでいたが、大袈裟ではない姿が見えてくる。日本はアベノミクスで中央銀行にあたる日本銀行が、「独立性」と「透明性」を失ったことが、国民のイン...

現在、世界が、日本が置かれているインフレ状況を、分かりやすく解説してくれる良書。はじめはグラフのマジック、数字のマジックではないかと、疑って読んでいたが、大袈裟ではない姿が見えてくる。日本はアベノミクスで中央銀行にあたる日本銀行が、「独立性」と「透明性」を失ったことが、国民のインフラ予測の上昇に寄与出来なかったのではないかと、感じている。ショッキングではあるが、国にはまだ間に合う政策を、慎重にそれでいて大胆に行なってほしい。

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2024/06/08

現在(2023年)、世界で起こっているインフレの解説書。数式はほぼなく、読みやすく、分かりやすい。著者の仮説(パンデミック→消費者・労働者の行動変容、グローバル供給網に隘路が発生→経済全体の需給が釣り合わない→世界インフレ)は、合理的であり腑に落ちた。

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2024/06/17

2023/05/15 読み終わった 「物価とは何か」で、日本がインフレしていないのは不思議、みたいな話をしていて、その後2022年になんと日本でインフレが起こった!そのインフレを加味したアンサーソング的本。 ロシアのウクライナ侵攻より前にインフレは始まっていたよ。という論。

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2024/06/07

 コロナ後に起きたインフレの原因は何か?を論じた本。  インフレは需要が供給を上回った時に発生する。コロナ後のインフレは、労働者が職場に戻らず供給が減ったことが原因と推察している。  インフレを含めた物価の安定は中央銀行が金利操作で行っているが、これは需要調整に有効だが供給能力に...

 コロナ後に起きたインフレの原因は何か?を論じた本。  インフレは需要が供給を上回った時に発生する。コロナ後のインフレは、労働者が職場に戻らず供給が減ったことが原因と推察している。  インフレを含めた物価の安定は中央銀行が金利操作で行っているが、これは需要調整に有効だが供給能力には影響しない。そのため足元実施している金利上昇は、コロナで減ってしまった供給力まで需要を減らす縮小均衡によってインフレ解消を目指す動きとのこと。これは景気後退につながる。しかし他に手段がないため止むを得ず実施しているとのこと。  景気後退が見込まれるなら、手持ちの株は売ってしまった方が良いのかな?と思いました。

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2024/03/03

『物価とは何か』の著者による。二冊読めば更に理解が深まる。タイミング的にコロナ禍の終盤の出版であり、コロナ禍の経済影響についての考察はリアリティがあって分かりやすい反面、若干の古さが惜しい。それがあっても尚、有益な本だ。 アメリカではパンデミック初期の景気悪化によりレイオフが急...

『物価とは何か』の著者による。二冊読めば更に理解が深まる。タイミング的にコロナ禍の終盤の出版であり、コロナ禍の経済影響についての考察はリアリティがあって分かりやすい反面、若干の古さが惜しい。それがあっても尚、有益な本だ。 アメリカではパンデミック初期の景気悪化によりレイオフが急増したが、経済再開が進むうちに次第に求人は回復していた。それにもかかわらず労働者が現場に戻ってこなかった。理由は、母国に帰った移民や退職を早めた老人など。こうした自発的離職の増大は人手不足を齎した。これがパンデミック2年目にアメリカにインフレを引き起こした原因だと著者は解説する。 インフレ率と失業率の相関を示すフィリップス曲線。因果、相関の様々な因子は複合的に存在するが、原則はフィリップス曲線に基づく論理展開だ。つまり、簡単に言うと、人が足りないという事は、産業が元気。人が足りないから賃金を上げて募集しないと。人が足りない、物を作れないほど需要が旺盛。人手不足を示す失業率とインフレは、こんな感じで結びついている。 日本だけがインフレ率が低いという状態だった。インフレ率が低いということ自体は大きな問題ではないが、率の差は、内外価格差を生む。本来、日本だけが価格不変、他国がインフレならば、「円高」になるはずであり、円高になれば、内外価格差は起こらなかったはず。サービスや賃金は国内取引が基本であり、この内外価格差は、為替レートに影響しない。パンデミックに対する各国の対応にも差が生じた。 今、気になるのは漸くインフレに向かう日本の今後の動向だ。スタグフレーションにならぬためには、同時に賃上げも必要。政府主導でなければ賃上げにも動けない日本は、最早、資本主義より社会主義に近いのかも知れない。そして、心のどこかで、それで良いと思う面もある。それでも良いから、人手不足感を保ったまま、スタグネーションにならぬよう賃上げの成功を仕上げて欲しいものだ。

Posted byブクログ

2024/02/19

わかりやすい! 『物価とは』よりずっと論理がシンプル。シンプルすぎてほんとかなと思うこともなくはないが。 まだ2章目で、コロナが経済に与えた影響のところだけど、すでに面白いので評価。 時代を評する書籍の常として、時機を超えて読まれ続けるものではないので星を1マイナスしたが、今読...

わかりやすい! 『物価とは』よりずっと論理がシンプル。シンプルすぎてほんとかなと思うこともなくはないが。 まだ2章目で、コロナが経済に与えた影響のところだけど、すでに面白いので評価。 時代を評する書籍の常として、時機を超えて読まれ続けるものではないので星を1マイナスしたが、今読むべき本であることに変わりない。

Posted byブクログ