スピノザ の商品レビュー
伝記的事項から書き始められているので、初めは優しいが、思想的事項に内容が変わると、ついていくのしんどくなります。
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『はじめてのスピノザ―自由へのエチカ』(2020年、講談社現代新書)につづいて新書で刊行された、著者のスピノザ入門書です。 本書の前半では、『デカルトの哲学原理』や『知性改善論』などの検討を通して、スピノザの哲学研究の方法に焦点をあてた解説がおこなわれています。とくに、懐疑を哲...
『はじめてのスピノザ―自由へのエチカ』(2020年、講談社現代新書)につづいて新書で刊行された、著者のスピノザ入門書です。 本書の前半では、『デカルトの哲学原理』や『知性改善論』などの検討を通して、スピノザの哲学研究の方法に焦点をあてた解説がおこなわれています。とくに、懐疑を哲学的思索の出発点としたデカルトが、みずからを説得するようなしかたで神の存在証明を展開しているのに対して、スピノザは神についての観念を正しく形成することさえできれば神の存在にまつわる問題は解決すると考えていたことに目を向け、デカルトの方法が「分析的方法」でありスピノザの方法が「総合的方法」であるという整理がなされています。 後半では、『エチカ』や『神学・政治論』、『国家論』などの著作がとりあげられています。著者は、ドゥルーズのスピノザ解釈を参照しつつ、スピノザによる自由意志の否定の議論について考察をおこない、意志よりも欲望を人間の本質とするスピノザの立場が、意識によって完全に見通すことのできない多様な原因によってわれわれの行為が決定されているという主張に通じていることを明らかにします。さらに著者は、こうしたスピノザの倫理学とそれにもとづく国家論が、同時代の社会契約論に対してどのような関係にあったのかということについて、立ち入った考察を展開しています。 前著『はじめてのスピノザ』が、スピノザの思想を現代において読む意義について明快に語った入門書であったのに対して、本書は前著の解釈を踏襲しながら、スピノザの思想の全体像にせまることをめざした本ということができるように思います。
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「エチカ」を中心とし、それ以外の著書も解説しつつ、スピノザの哲学を肌感覚でも理解できるように書かれています。単にその著書の中身の解説というだけではなく、それが書かれた時代背景や、スピノザの置かれた状況も考えを伸ばし、その著書が書かれた順番にもできるだけ忠実に合わせて読解するように...
「エチカ」を中心とし、それ以外の著書も解説しつつ、スピノザの哲学を肌感覚でも理解できるように書かれています。単にその著書の中身の解説というだけではなく、それが書かれた時代背景や、スピノザの置かれた状況も考えを伸ばし、その著書が書かれた順番にもできるだけ忠実に合わせて読解するようにされています。それにより、スピノザが言いたかったこと、書くという限界を超えた部分で到達したかった部分にまで考えを伸ばしていくことができます。そこからスピノザの書物を単に読むだけではなく、そこから何を成したかったのか、その課題が現代における私達に投げかけるもの、そして私達がその哲学を継承することから目指すものが見えてきます。まさに生きる哲学を本書から感じることができるものとなっています。 スピノザの哲学の難解な部分が、なぜ難解なのか。それは現代の私達の認識を一度捨てなければ理解できない部分があるということ。しかしそれが為せると当然に出てくる明快な結論であること。ゆえに理解が進むと世界に対する新しい見え方が出来るようになること。そこから私達の生き方について、倫理についての考えを知ることができます。そのスピノザの考えを、現代の私達に伝える著者の努力が伝ってくる内容となっています。
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新書としては分厚い。 私はスピノザの『エチカ』を畠中訳で読んだことがある程度だった。 勇気が湧いてくる本だった。また、頭のいい人が書いた人の本だった。
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『暇と退屈の倫理学』がおもしろかったので買ってみました。哲学ということで当然に覚悟してはいたものの、新書だからなんとかなるだろうとも思っていました。が、何ともなりませんでした。『エチカ』はじめスピノザの著作の解説的な内容なので、ベースがないと難解です。お経をお経で解説されている感...
『暇と退屈の倫理学』がおもしろかったので買ってみました。哲学ということで当然に覚悟してはいたものの、新書だからなんとかなるだろうとも思っていました。が、何ともなりませんでした。『エチカ』はじめスピノザの著作の解説的な内容なので、ベースがないと難解です。お経をお経で解説されている感じでした。といってもこれは読者サイドの問題なので、評価は真ん中ということで。
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國分先生の説明力をもってしても「ぜんぜん文章として頭に入ってこね〜!!!」とパニクる部分も多々ありつつ、スピノザの知性のオーパーツぶりがなんとなくわかったかと思う。すべては相対、すべてはグラデーション、単純な二元論に逃げるやつはバカ。
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スピノザに惚れ込んでから、手当たり次第スピノザ本を読んできたが、この本は新書の体裁ながら、第一級のスピノザ研究である。現時点で日本語で読める最上のスピノザ解釈ではないかと思える。 著者が10年以上かけて書き上げたというのは、むべなるかな。 一切の外的なるもの=超越的なものを必要と...
スピノザに惚れ込んでから、手当たり次第スピノザ本を読んできたが、この本は新書の体裁ながら、第一級のスピノザ研究である。現時点で日本語で読める最上のスピノザ解釈ではないかと思える。 著者が10年以上かけて書き上げたというのは、むべなるかな。 一切の外的なるもの=超越的なものを必要とせず、すなわち目的論を徹底排除し、内在的なるもので世界と人間を語り尽くすスピノザ。 この哲学の射程は驚くほど広大である。
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読み終えた僕らは、岩波新書らしからぬ煽りに煽った帯コピー「この思考は、人間のすべてを根底から覆す」が、全然大げさではないことを体感する。 スピノザという至高の読む人と、國分功一郎という気鋭の読む人との対話を通じて、読むこと、読み継ぐことの難しさと楽しさ、素晴らしさを体感できる一冊...
読み終えた僕らは、岩波新書らしからぬ煽りに煽った帯コピー「この思考は、人間のすべてを根底から覆す」が、全然大げさではないことを体感する。 スピノザという至高の読む人と、國分功一郎という気鋭の読む人との対話を通じて、読むこと、読み継ぐことの難しさと楽しさ、素晴らしさを体感できる一冊でもある。 難解なテキストを薄めることなく、がしかし読み外さないように丁寧に根気強く、時にユーモアに時に切実に、日本語で導ききった國分功一郎の仕事、狂気の沙汰レベルに凄まじい。 スピノザが示した道としての「方法」や第三種認識は、仏教徒の柳宗悦が民藝運動に込めてた「不ニ」や道元の悟りにも通じるのでは?と思った。だとしたら、民藝を経由して、’ものづくり”についても考えたい
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スピノザに興味があったわけではない。國分さんの本ならということで読んだ。「あこがれの連鎖」ということで、好きな人が好きなものだからどんなものか見てみようというわけ。これがいつもうまくいくというわけではなく、好きな人の好きなものを好きになれるとは限らないのだ。さて、正月休み1週間か...
スピノザに興味があったわけではない。國分さんの本ならということで読んだ。「あこがれの連鎖」ということで、好きな人が好きなものだからどんなものか見てみようというわけ。これがいつもうまくいくというわけではなく、好きな人の好きなものを好きになれるとは限らないのだ。さて、正月休み1週間かけて読み切れずに、あと3日、通勤途中に読んだのだが、またしても頭に残っているのはほんのわずか。スピノザの生涯を読むという部分ではある程度意味はあったが、その思想を知るという部分はさっぱりであった。かろうじて神のとらえ方が頭に残っている。正しいかどうかは別として。物理学との類推で言って、神は空間、つまり宇宙すべてを占めている。そしてその外には何もない。この宇宙の中で何かが生成し消滅していく。総質量は保存している。これは完璧な神だ。神はすべてを知っている。一時にすべてを把握できる。未来永劫、宇宙が膨張しようとも、はたまた収縮に転じようとも、あまねくすべてを埋め尽くしている。僕なんかが想像する八百万の神とはほど遠い。そして意識。意識と良心はもともと同じことばだったという。conscientia 共通の知というようなところ。それが正しい知であれば良心と考えてよいということだろうか。間違った知を持つ人々は昔からいたとは思うけれど。ところで意識は人間に特有なものか。人も寝ているときには意識をなくしている。そういう意味では寝る生き物は意識を持っているということになる。これは養老先生から聞いた話(YouTubeで)だが、そうするとAIには意識が生まれないということか。政治のこと国家のことなども論じられていたようだが、総体的にはところどころ頭に残っていながらも全体像はまったくつかめないまま読み終わったという感じだ。そして、コナトゥスの意味はやはりつかみ切れない。
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スピノザの著作を想定される時系列でその人生でのできごととも関連させながら、紹介していく。そのため、「エチカ」の執筆を中断して、「神学・政治論」を書いたということを踏まえて、エチカの前半と後半の間に「神学・政治論」の解説がはいる。そして、「神学・政治論」の議論が「エチカ」の後半にど...
スピノザの著作を想定される時系列でその人生でのできごととも関連させながら、紹介していく。そのため、「エチカ」の執筆を中断して、「神学・政治論」を書いたということを踏まえて、エチカの前半と後半の間に「神学・政治論」の解説がはいる。そして、「神学・政治論」の議論が「エチカ」の後半にどう影響を与えたかが検討される。 一応、スピノザの「人と作品」という体裁はとっていて、それなりに入門書的にわかりやすいわけだが、内容的には、新書のレベルではなく、新しい研究動向まで含めたところで、著者の最新のスピノザ解釈を示すものになっていると思う。 わたしは、そこまでスピノザを読み込んでいるわけではないのだが、これまで読んだなかで、一番、「わかった」気がした。 スピノザはなんだかいいことを言っていそうなんだけど、それがなんだかわからないというモヤモヤをかなりのレベルでクリアにしてくれた気がする。 たとえば、スピノザは自由意志の存在を否定しているのだが、それなのにどうして「エチカ」、「倫理」を語ることができるのか?みたいな基本的なところで、わからなかった。そして、これまで読んだいくつかのスピノザ入門書ではそこがなんだか腑に落ちない感じがあったのだ。 「エチカ」は、神の存在証明からスタートするわけだが、やはりスピノザが問題にしているのは倫理なのだな。 とある意味、当たり前のことを確認した。 にもかかわらず、それを自分の言葉でまとめることがまだできないというもどかしさは残る。 いずれにせよ、これがこれからのスピノザ入門の基本図書になるのではないかな?
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