教養としての紅茶 の商品レビュー
紅茶の歴史が面白い。18世紀、オランダとの覇権争いに勝利した英国は茶貿易の支配権を確立。欧州だけでなくアメリカにも輸出し、東インド会社は莫大な利益を上げる。政府はここから好きなだけ税金が取れるともくろみ、当初12.5%だった税金は37年後には119%に。しかし結局は密貿易が横行し...
紅茶の歴史が面白い。18世紀、オランダとの覇権争いに勝利した英国は茶貿易の支配権を確立。欧州だけでなくアメリカにも輸出し、東インド会社は莫大な利益を上げる。政府はここから好きなだけ税金が取れるともくろみ、当初12.5%だった税金は37年後には119%に。しかし結局は密貿易が横行し税収は激減。出がらしを乾燥させた偽茶も多く出回り、税率は1/10にせざるを得なくなった。それでも懲りずに今度はフランスとの7年戦争に勝利するも莫大な負債の穴埋めとしてアメリカに輸出していた茶に200%の関税をかけた。当然アメリカでは皆ハーブティーやコーヒーを飲むようになり紅茶をボイコット。そしてボストン茶会事件からアメリカ独立戦争へ。結局英国は最大の貿易相手である北米植民地を失うという大損失を被る。とれるところから取るという極東の能無政府も大きなものを失いつつあるのでは? 英国では茶の木がどんなものか知らずスパイが命懸けで木を盗んだりする話や、貧しい労働者階級のリプトンが英国を代表する企業に成長させ貴族となる話も面白い。 マナーの事も詳しく書かれている。海外のホテルでは他の客からのクレームを避けるため、日本人をバックヤード近くの騒がしい席に案内することもあるらしい。カップは左利きでも右手でハンドルを三本の指でつまむように飲み、ティーフーズは手でつまめるものはカラトリーを使わず左手で食べる。ホールケーキは場の人数を考慮し自分が食べる分だけを切り分ける… キュウリのサンドイッチは貴族の最高級のもてなし(キュウリを英国で育てるのは大変な手間暇がかかり貴族として大切な事。キュウリのサンドイッチを出せずに自殺した料理人もいる)。スコーンはエルサレムの伝説のパワーストーンで壮絶な争奪戦を経てスコットランド王家の守護石(英国王戴冠式には代々貸し出される約束)となったものが名前の由来。だからスコーンをナイフで切ってはいけない。手で上下に割ったらまずジャムを塗ってからクロテッドクリームを塗るのが基本… 知っていればきっと役に立つ、はず。
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「仕事と人生に効く」と号されているが、紅茶を中心としてお茶という飲み物について広く著述されているかなり力の入った本である。トム・スタンデージという人が「世界を変えた6つの飲み物』という本を書いていて、紅茶が大英帝国の対外政策に大きな影響を与え、アメリカ合衆国の独立、中国の古代文明...
「仕事と人生に効く」と号されているが、紅茶を中心としてお茶という飲み物について広く著述されているかなり力の入った本である。トム・スタンデージという人が「世界を変えた6つの飲み物』という本を書いていて、紅茶が大英帝国の対外政策に大きな影響を与え、アメリカ合衆国の独立、中国の古代文明の衰退、インドにおける茶の大規模生産体制の確立につながったとする。 本書では、飲み物としての茶が先ずは中国で確立し、日本では茶の湯に発展、イギリスのアフタヌーンティは日本の茶の湯への憧れから発展していったとする。そんな中国茶~日本茶~茶の湯そして紅茶という流れの概説に続き、ヨーロッパでの紅茶文化について語られている。特に、イギリスでの茶については色んな本で書かれているので、本書ではフランス、ドイツ、ロシアといった国々での茶文化にも触れられており、そのあたりは特に面白く読み進めることができた。 こうした教養としての茶のAtoZ式の知識のあとは、仕事や日常生活を彩るお茶の効用を紹介し、最後はビジネスシーンで使える紅茶のマナーについて書かれている。 これ一冊読めばお茶全般身につくというものである身につくというものである。相当の分量はあるが、読了すればかなりの知見がえられるのである。 ただ、扱っている範囲が幅広いこともあり、また教養としての紅茶と銘打っていることを鑑みると、細かいところではもう少し緻密な書き方をしていただきたいと思うところもある。 まあ、ビジネスマナーと言うことでは、本書でも書いてある通り先ずは実践であるので、本書の知識を元にして場数を踏むしかないと思のですが、仕事にこだわらず気軽にお茶を愉しむにも知っておいて良い知識は満載されているので紅茶好きの方々にはお奨めの一冊である。
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面白い! しっかりとお勉強できました。 これは何度も読み返して、知識をしっかり頭に叩き込みたい本です。
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外資系や海外勤務でない普通のビジネスマンが仕事に役立てる…のは流石に無理な気もするが、紅茶好きなら普通に楽しめる一冊だとは思う。
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飲む時に一歩深い知識があると楽しいかなと思って読んでみた。想像していたより広範囲なテーマ、歴史背景が書かれていておもしろかった。
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私は紅茶が大好きです。 秋~冬~春は温かい紅茶。 夏はアイスティーを作って飲みます。 ルピシアのお茶の福袋は毎回買ってしまいます。 福袋には色々な種類の紅茶、お茶が入っていて、名前、産地などがラベルに書いて貼ってありますが、実はイメージだけで違いをよく知らなかったのです。 この...
私は紅茶が大好きです。 秋~冬~春は温かい紅茶。 夏はアイスティーを作って飲みます。 ルピシアのお茶の福袋は毎回買ってしまいます。 福袋には色々な種類の紅茶、お茶が入っていて、名前、産地などがラベルに書いて貼ってありますが、実はイメージだけで違いをよく知らなかったのです。 この本にはお茶の世界史と文化、習慣などが書かれていますが、私が知りたかった、他のお茶との違いや紅茶の種類の部分だけをまとめます。 ○紅茶・緑茶・烏龍茶はすべて同じ葉っぱからできている。何が違うかといえば発酵の度合い。酸化酵素の働きを利用して、100%まで発酵させたものが「全発酵茶」と呼ばれる、紅茶。加熱することで発酵を止めたものが「不発酵茶」と呼ばれる緑茶。その間にあたるのが「半発酵茶」と呼ばれる烏龍茶などになります。 ○「クオリティーシーズン」収穫期の中で最も茶葉が採れる時期。 例「2004年のキャッスルトン茶園のセカンドフラッシュは忘れられない風味」 ○紅茶を選んでみよう。 ・誰でも簡単に紅茶をセレクトするために、最低限これだけは覚えておきたい知識。 ・紅茶の茶箪笥 そこには3つの引き出しがついています。 1段目が「産地銘柄」 2段目が「ブレンドティー」 3段目が「フレーバードティー」 ・産地銘柄 ダージリン(インド)・ウバ(スリランカ)・キーマン(中国)三大銘茶。 この産地銘柄をベースにして数種類の茶葉を配合した紅茶を「ブレンドティー」、香りづけをした紅茶を「フレーバードティー」といいます。 次に知るべきは「グレード」です。 「オレンジペコ」は紅茶用語で「グレード」を表す言葉。 ※オレンジペコはフレーバードティーではないのでご注意。 世界最高峰の紅茶 華麗なる「ダージリン」の世界 「紅茶のシャンパン」とも称されるダージリンの価値はその希少性にもある。 春摘み(ファーストフラッシュ) 近年はセカンドフラッシュと並ぶ人気 夏摘み(セカンドフラッシュ) 味・香り・水色の三拍子が揃ったフルボディ 秋摘み(オータムナル) 風味も落ちついてマイルド エリザベス女王も愛飲 東洋の神秘「キーマン」紅茶と蘭ブーム 中国を代表する紅茶、キーマン エキゾティックな東洋の風味から「中国のブルゴーニュ」とも称され、特にイギリスの上流階級の人々が愛してやまない紅茶 インドの真珠 セイロン島の風薫る「ウバ」 セイロンとは旧国名で、現在のスリランカで生産される紅茶のこと。 高地産紅茶の代表選手であるウバの特徴は、何といっても刺激的なメントールフレーバー。 紅茶をティーカップに注ぐと、ゴールデンリングと呼ばれる黄金色の輪が浮かび上がり、口に含むとピリッとした爽快感のある渋みを感じる。まさに「五感で愉しむ大人の紅茶」 英国の首相グレイ伯爵が愛飲した「紳士のお茶」アールグレイ アールグレイは世界一有名なフレーバードティー。 アールグレイの特徴は茶葉に着香した爽やかなベルガモットの香り。 シンビーノジャワティは「100%茶葉を使用した紅茶」です。 最後に この本も歴史や文化など面白いところもありましたが、紅茶の種類が知りたいだけだったら、ルピシアで無料で配布している冊子のほうがわかりやすいです。飲み方も書いてあります。
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感想 海を越え時代を超えて目の前のティーカップに注がれている紅茶。嗜好品と呼ぶにはあまりに日常に溶け込んでいる。そろそろアイスティーは終わりか。
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