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チャンス の商品レビュー

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2024/08/18

こんな小さな子どもが良く生き延びてくれました。ユダヤ人がドイツやポーランド以外でもこれほど大変な思いをさせられていたとは初めて知りました。今もウクライナやガサ地区、その他世界中で、同じように逃げ惑っている人々が大勢います。ホロコーストの経験すら生かすことのできない人間。なんて情け...

こんな小さな子どもが良く生き延びてくれました。ユダヤ人がドイツやポーランド以外でもこれほど大変な思いをさせられていたとは初めて知りました。今もウクライナやガサ地区、その他世界中で、同じように逃げ惑っている人々が大勢います。ホロコーストの経験すら生かすことのできない人間。なんて情けない生き物なのでしょう。抑止力なんて幻想、政治家と軍需企業の金儲けの作り事です。我々は人間の能力の低さをもっと自覚し、武器は捨てるべきです。

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2024/08/15

絵本作家の著者が戦争中に体験した難民としての壮絶な暮らし。短い文章の積み重ねなのですぐ読める。自分たちが助かったのは信仰心や行いの良さではなくただの「チャンス(偶然)」だ、と思えるところに強さを感じた。 イスラエルによるパレスチナでのジェノサイドが続けられている今、著者がこの状...

絵本作家の著者が戦争中に体験した難民としての壮絶な暮らし。短い文章の積み重ねなのですぐ読める。自分たちが助かったのは信仰心や行いの良さではなくただの「チャンス(偶然)」だ、と思えるところに強さを感じた。 イスラエルによるパレスチナでのジェノサイドが続けられている今、著者がこの状況をどのように感じているかも知りたい。

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2023/08/06

運の良さ?でユダヤ人でありながら第二次世界大戦を生き延びたユリ・シュルヴィッツの話。生きることは飢えとの戦いだった。というか、親子3人よく生き延びられたなあというか。ただし、戦争を生き延びた後も生活はなかなかラクではなかったなようで、過酷な生活にため息が出る。

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2023/04/15

『よあけ』の静寂さ。朝日の美しさ。静かなことば。その作者であるシュルヴィッツのこども時代のお話。 どんな美しい物を見てきた人なんだろうと思っていたが、それだけではなかったことを知った。 ポーランド生まれのユダヤ人だったシュルヴィッツ。生まれた時に、壁紙の花を見ていたことから、絵を...

『よあけ』の静寂さ。朝日の美しさ。静かなことば。その作者であるシュルヴィッツのこども時代のお話。 どんな美しい物を見てきた人なんだろうと思っていたが、それだけではなかったことを知った。 ポーランド生まれのユダヤ人だったシュルヴィッツ。生まれた時に、壁紙の花を見ていたことから、絵を描く人になると確信したおとうさんが、聖書に出てくる芸術家から名付けたという。 第二次世界大戦の戦火と、ナチスドイツからの迫害をのがれるため、国境を越えソビエトへ。しかし、満足に食べらるだけの食料もソビエトの市民権も得られず、北極近くの寒い居留地での厳しい暮らし。ドイツとソビエトの不可侵条約が破棄されると、全く文化の異なる南部のトウルキスタンへ。『おとうさんのちず』の話はここでの話だ。 戦争 病気 飢え、人の裏切り 自然の厳しさ、戦争が終わって祖国に帰っても、ポーランドの人から権利を奪われるとして、歓迎されず、フランスからイスラエルへ。 そんな逆境の中、絵を描くこと、お母さんが語る物語で想像の世界に思いを巡らせること、おとうさんからは絵を描くことを褒めらて、心を満たしたシュルヴィッツ。 題名のチャンスには、機会と言う意味の他偶然という意味合いもあるとのこと。 数々の偶然によって、生き延びたシュルヴィッツ一家を表した題名である。 戦争の現実が言葉と挿し絵を通して痛いほど伝わってきた。 シュルヴィッツの絵本を再読したい。

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2023/02/09

「よあけ」「あめのひ」などの絵本作家である著者の自伝。第二次世界大戦直前にボーランドに生まれたが、ユダヤ人であることからナチスの進攻から逃れてソ連へ逃れる。ソ連の国籍を取得しなかったことで難民居留地へと移動させられる。寒く厳しい居留地での生活から、戦後戻ったボーランドでの生活、生...

「よあけ」「あめのひ」などの絵本作家である著者の自伝。第二次世界大戦直前にボーランドに生まれたが、ユダヤ人であることからナチスの進攻から逃れてソ連へ逃れる。ソ連の国籍を取得しなかったことで難民居留地へと移動させられる。寒く厳しい居留地での生活から、戦後戻ったボーランドでの生活、生き残った親戚を頼って移ったパリでの生活。たくさんの挿絵とともに描かれた彼の人生は、想像を絶する。 冒頭の空爆で破壊されたワルシャワの体験は、今のウクライナを思い起こさせ悲しさが増した。

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2022/11/28

戦争下な生活の大変さ、つらさが伝わる作品。1章の中でも、イラストや写真など解説も丁寧でとても読みやすい構成になっている。作者の絵本とともに紹介したい。高学年から。

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2022/11/06

シュルヴィッツは『よあけ』や『空飛ぶ船と世界一のばか』『ゆき』などなどを描き、本当に素晴らしい絵本作家、画家である。 『おとうさんのちず』では幼いころの思い出も描いているが(この本にもその地図のエピソードが出てくる)、戦火とホロコーストから逃げ続けた少年時代を、ここまで詳細につづ...

シュルヴィッツは『よあけ』や『空飛ぶ船と世界一のばか』『ゆき』などなどを描き、本当に素晴らしい絵本作家、画家である。 『おとうさんのちず』では幼いころの思い出も描いているが(この本にもその地図のエピソードが出てくる)、戦火とホロコーストから逃げ続けた少年時代を、ここまで詳細につづった本は初めてだと思う。 この頃、良い児童書を読んでも、「果たして現代の子供が読むだろうか?」と不安になることも多いのだが(だって『おしりたんてい』や『銭天堂』「5分後」シリーズが大好きなんですよ、今どきの子どもは)、これはいける!と思った。 まあ、ただ置いてるだけじゃダメですが、子どもに近い大人がすすめるなり、ちょっと冒頭部分を読んであげたりすれば、読むんじゃないかな。全員とは言わないけど、本が好きな子なら。絵が多いし、マンガのようにコマ割りの絵で描かれているページもある。 わざとじゃなく実際にそうだったのではあるが、ワルシャワを出てからソ連国内、そしてヨーロッパをを大移動しているので、場面の展開が続く上、次々と予想外の出来事が起こって飽きる暇がない。(苦しい時代を生き抜いた人の物語を消費するようで申し訳ないけど。) 戦争だしホロコーストもあるから、生死の境にいる日常で、もちろん大変なのだが、愛情深い両親が彼を必死で守ってくれたこと、物語や絵など一生の仕事や喜びとなる出会いがあったこと、戦時中でも子どもたちの遊びやいたずらは健在であったことなどで、救いようのない悲惨さからは逃れているところも子どもにすすめたくなるポイントである。 彼の名前「ウリ」(日本ではユリやユリーと書かれてきたが「ウリ」が正しい発音らしい)が家族を窮地に追い込んだり救ったりするエピソードなどは、「事実は小説より奇なり」を地で行く。 「チャンス」とは「好機」「機会」「可能性」の意味のほか「偶然」の意味もあると書いてあるが、まさにそういう本だった。 戦争やホロコーストの理不尽、非道だけでなく、家族の愛情、物語や芸術の持つ力などあますところなく描かれ、ユーモアとあたたかさ、そして皮肉もあり、本当に良い本である。 ホロコーストを生き延びて、やっと生まれ育ったポーランドに戻ったのにポーランド人は歓迎しなかっただけでなく、ユダヤ人を差別する人も多かった。パリに移ってからも「汚い外国人」と呼ばれ、まともに扱われなかった。 こういうことを知ると、どこか他人事だったシオニズム運動もリアルな実感を持って感じられるようになった。 「誇りをもって暮らせる自分たちの国が欲しい」という思いを、ほんの少しではあるが。(パレスチナの人々の思いもわかる気がするので、どちらが正しいとか優先されるべきというわけではない。) 図書館で借りて、読んでる途中で買った、数少ない本。

Posted byブクログ