名画の中で働く人々 「仕事」で学ぶ西洋史 の商品レビュー
絵の人物や社会背景や思想についてわかりやすく書かれていて非常に興味深く読んだ。 絵の解説と言えば難解だったり退屈だったりするイメージだが、この著者の文章は血が通っているし、巧みな言葉遣いと表現力が惚れ惚れするほど読み手を惹きつける。絵以上に文章の鑑賞が楽しい。
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絵画に出てくる登場人物を職業別に分類した本。職業別なので、その背景を”読む”のが楽しいのです。ラ・トゥールの『大工ヨセフ』の光と影が見事。葛飾応為の絵に似ているかも
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【鹿大図書館の所蔵情報】 https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC16987867 【選書ツアーコメント】 画家たちは意識的に無意識的に、看護師や警官、天使までもが働く姿を描いてきた。 そ...
【鹿大図書館の所蔵情報】 https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC16987867 【選書ツアーコメント】 画家たちは意識的に無意識的に、看護師や警官、天使までもが働く姿を描いてきた。 その姿や描き方からは、当時の働く者たちに対する価値観や考え方を垣間見ることができる。 名画たちから当時の職業を見てみませんか?
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様々な職業・仕事を名画を通して紹介している本です。 馴染みのあるものから普段の生活では接する機会のないもの、当時特有のものまで幅広く取り上げられています。 特に印象に残ったのは羊飼いで、羊飼い=迷える子羊の先導者といった宗教的な意味を持って描かれる先入観を持っていました。当書では...
様々な職業・仕事を名画を通して紹介している本です。 馴染みのあるものから普段の生活では接する機会のないもの、当時特有のものまで幅広く取り上げられています。 特に印象に残ったのは羊飼いで、羊飼い=迷える子羊の先導者といった宗教的な意味を持って描かれる先入観を持っていました。当書ではそれについて触れつつも、実際の彼らの仕事内容・生活・取り巻く環境や社会まで、『仕事』として紹介されています。 そのほかの仕事に対してもモチーフとしてだけではなく、その当時彼・彼女らはどのように働き生活していたのかを知ることができました。 名画の見て思うことや感じることが一つ増えて、とてもおもしろかったです。
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はじめに 闘牛士 侍女 香具師 宮廷音楽家 羊飼い 女性科学者 道化 警官 思想家 ファッション・デザイナー 大工 看護師 政治家 修道女 船頭 異端審問官 傭兵 女優 子どもも働く 天使も働く
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
まずはこの言葉を引用したい。 「人間は自分に与えられた職業を通じて世の中のために少しでも尽くさなければならない。それが人間の義務である。」三船敏郎 小林 淳 著「三船敏郎の映画史」 様々な職業を描いた絵画を通じて、その時代背景を解説していく。 描かれている職業は 闘牛士 侍女 香具師 宮廷音楽家 羊飼い 女性科学者 道化 警官 思想家 ファッション・デザイナー 大工 看護婦 政治家 修道女 船頭 異端審問官 傭兵 女優 子どもも働く 天使も働く となっている。 雑多な感想 アリーナは砂という意味。闘技場の血を吸うために敷いた砂からきたという。 ヴィンターハルター「女官たちに囲まれたウージェニー皇后」このドレス、肩ずり落ちないのか。この人、エリザベート描いた画家だよな。 ユーディドって「ユダヤの女」という意味なのか。個人名だと思っていた。いや、個人名なのか?中野さん、アルテミジア・ジェレンティスキのユーディドが好きだよなあ。それともジェレンティスキが好きなのか。 バッハ次男、転職おめでとう。いや、そりゃ、フルート奏者とクラヴィーア奏者でそんなに給料に差をつけられたら、誰でも嫌気がさすよ。 ヒュパティアという女性科学者が古代にいたことを私は知らなかった。調べてみようと思う。マリー・キュリーがガヴァネスをして姉に仕送りをしていたのは有名だが、そこの家の男性と恋愛関係になり失恋した、ということは知らなかった。それも切っ掛けの一つとして、マリーがフランスに旅立ったのだから、人類には良かった、というのは言い得て妙。マリーがパリに出て、たった12年後にノーベル賞を受賞する。ガヴァネスとして雇っていた家はどう思ったか、12年だったら、覚えているのではないだろうか。高校の時にマリーの結婚生活の文を英語のリーディング課題で読んだことがある。女性の英語教師がピエール・キュリーを散々罵っていた。その英文には子育てで大変なマリーにピエールが「夫の世話はしないのか!」みたいなことを言っていたからだ。マリーはうまく宥めていたけど、やはりマリー超人だと思ったことを思い出す。 道化が職業になるのは今と意味合いが全く違うように思う。この書では触れられていないが、私の大好きで強烈な印象を持っている絵にベラスケス「宮廷道化師セバスティアン・デ・モーラ」がある。見世物小屋がかつて日本にもあったことから人を嗤うのは、もう人間の本能なのかもしれない。映画のジョーカーのような化粧がいつからなのか、考えてしまう。 ラ・トゥールと言えば、「いかさま師」と思っていたので、「大工ヨセフ」がラ・トゥールの作とは思えなくて、びっくり。ろうそくの光の描写が見事である。 表紙にも使われている「じゃあ君が最後にお父さんを見たのはいつだったの」。 物語の一場面のような絵。少年の純粋さと狡猾な笑みを浮かべた男性の対比が凄い。慈悲深いと言われる神に仕えるのに、異端者には残酷になることが出来る。宗教に疑問を感じる多くの人が不思議に思うことの一つではないだろうか。 世界最古の職業は男は傭兵、女は娼婦。その傭兵で有名だと言われた「スイス人傭兵」。大変派手である。ハイジのおじいさんが元傭兵、というのは「トリビアの泉」で知っていたけれど、スイスが傭兵供給国から金融国になっていくのは面白い。
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表紙の絵、こんなエピソードがあったのか⁉︎ 最後のロレンツォ・ロット「受胎告知」笑っちゃった。アリア様、こっち見ながら微笑んでるじゃん。動きもよくわからなすぎる。
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名画に描かれた職業や働く人々をピックアップして紹介した本です。思ったより多様な職業が描かれていて意外に思いつつも楽しめました。
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こんなジョークがある。 精神科医の所に暗い顔をした貧相な男が来て、眠れない・死にたい・薬をくれという。精神科医は励ましてこう言った。町に今サーカスが来てます。あの陽気なピエロを見てくれば元気が出ますよ。男が答えた。そのピエロが私です。 スイス葉柄が様々な国の貨幣で報酬を持ち帰り...
こんなジョークがある。 精神科医の所に暗い顔をした貧相な男が来て、眠れない・死にたい・薬をくれという。精神科医は励ましてこう言った。町に今サーカスが来てます。あの陽気なピエロを見てくれば元気が出ますよ。男が答えた。そのピエロが私です。 スイス葉柄が様々な国の貨幣で報酬を持ち帰り、両替商に自国で変えてもらった事からスイスで銀行業が盛んになった。極貧国⇒傭兵⇒各国貨幣⇒銀行⇒先進国化⇒永世中立国という流れである。スイスが豊かになる過程で傭兵志望者は減り、19世紀後半に国としての傭兵輸出は憲法で禁止され、20世紀前半には外国軍への参加も禁止となり今に至る。唯一生き残っているのは、ヴァチカンのスイス衛兵。戦闘ではなく教皇警備の役目として特別に認められている。
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中野京子さんの本が好きで数冊読んでいるが、本書は絵画に描かれた時代の文化について新たに知ることもできて、上位に食い込む面白さだった。 表紙の絵、中身を知ってから見るとつくづく怖い絵だ。
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