橋の上で の商品レビュー
二回読み返した。自身の中の閉塞感の出口がどこかにあるかもと一時的にでも思わせてくれた読書感。絵がとても素敵で説得力がある。ラストの湖の辺りの絵に、味方はいるのだとあらためて思わせてくれて救われる思いだ。 勇気づけてくれた絵本。
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学校帰りにひとりで川の水を見ていたぼく。考えていたのは飛び込んだらどうなるかということ。そこにあらわれた雪柄のセーターを着た知らないおじさん。おじさんはぼくにふしぎなことを教えてくれる。誰かの言葉で死を考えることもあれば救われることもある。思いつめないでほしい。自分の心を守ってほ...
学校帰りにひとりで川の水を見ていたぼく。考えていたのは飛び込んだらどうなるかということ。そこにあらわれた雪柄のセーターを着た知らないおじさん。おじさんはぼくにふしぎなことを教えてくれる。誰かの言葉で死を考えることもあれば救われることもある。思いつめないでほしい。自分の心を守ってほしい。子どもたちがギリギリになった時におじさんのような人がいてくれますように。
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湯本香樹実さん(文)と酒井駒子さん(絵)のコンビ。知る人ぞ知る あの「くまとやまねこ」のコンビです。「橋の上で」、2022.9発行。生と死を扱った絵本でしょうか。結構難しい内容でした。
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文・湯本香樹実、絵・酒井駒子。豪華なコンビから贈られた心穏やかになれる絵本の第2弾。 前回の『くまとやまねこ』とは少し違った作風。 けれど共通するテーマはやはり生と死。 そして前回同様、グレートーンで統一された絵の中で最後に差し込む色彩(今回は緑と青)に救われる。 少年が抱える現実の深い闇。 この年頃の悩みに自分の過去を照らし合わせて、胸塞がれ気分も落ちこむ。 橋の上で寂しそうに一人佇む少年を、そっと抱きしめたくなる。 耳をぎゅうっとふさいで目を閉じて、地底の水の音を確かめる。 水路を伝いやがて辿り着くのは大きな”みずうみ”。 湖面のきらめきに穏やかな波紋。 そして水辺に集まるたくさんの人・人・人…。 自分を見て微笑む人だって、きっとそこにはいる。 自分は一人じゃないことに気づいてほっとする。 なかなか眠れない寂しくて長い夜も、心穏やかにして自分だけの”みずうみ”を見つめると、きっと深い眠りへと誘われる。 夜が明けるまでの時間に、頭と心を休ませれば、きっと本来の自分も取り戻せる。 大人になってから長い年月を経た私も、この少年のように耳をぎゅうっとふさいで目を閉じて、心を落ち着かせて自分だけの”みずうみ”を見つめてみようと思った。 寂しくて長い夜も、きっと怖くなくなるはずだから。 湯本さんの優しい文章と酒井さんのやわらかな筆のタッチが心に沁みる。今回の絵本にもくたくたに疲れた心をほぐされた。 またこのコンビの絵本第3弾にいつか出逢いたい。 それにしても、雪柄のセーターのおじさんは天使だろうか。
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「自殺」とか「死」という言葉は書かれていない。 でも、橋の上から飛び込んでみたらどうなるかを、ずっと考えながら川を見つめる少年。 どれだけの時間、そこにいたのか? とても心配。 おじさんが話しかけてくれて、 本当に良かった。 そして、すごい魔法を教えてくれる。 素敵な魔法だと思っ...
「自殺」とか「死」という言葉は書かれていない。 でも、橋の上から飛び込んでみたらどうなるかを、ずっと考えながら川を見つめる少年。 どれだけの時間、そこにいたのか? とても心配。 おじさんが話しかけてくれて、 本当に良かった。 そして、すごい魔法を教えてくれる。 素敵な魔法だと思った。 技? 湖が見える魔法みたいな技。 ただの湖ではない、暗い地底の水路を通って少年のところにやってくる湖。 無罪なのに本を盗んだと疑われたことや、 上着をゴミ箱に捨てられたことや、 辛いことがあり、 川に飛び込みたいと、考えた少年。 話しかけてくれたおじさんは神だったのかもしれないと思った。 少年は成長して、その意味を知る。 酒井駒子さんの絵が、とても素敵。 ラストのカラーで描かれた湖の場面は、 光がさすようにパッと明るくなり、 救われた気持ちになった。
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本当は、夜を長いと感じたくはなかった、けれど長い夜の真ん中で夜明けが来ることを待つしかできない日が、日々がある。橋の上で私はおじさんに出会わなかったけれど、いつしか私だけの水辺を知った、それがどうか川に飛び込まない理由であれば良い。
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橋はあの世とこの世の境界線だ。小さな「ぼく」が橋の上で川を眺めているのは、まさにその境界線を越えようとしていたのだとわかってゾッとした。生きていたら良いことがある!なんて簡単に言う人はいるが、今、橋の上に立っている当人にとっては申し訳ないが響かないものであることは経験的に知ってい...
橋はあの世とこの世の境界線だ。小さな「ぼく」が橋の上で川を眺めているのは、まさにその境界線を越えようとしていたのだとわかってゾッとした。生きていたら良いことがある!なんて簡単に言う人はいるが、今、橋の上に立っている当人にとっては申し訳ないが響かないものであることは経験的に知っている。だけど、こんな風に、静かに優しく、ちょっとおかしな人が「〜してごらん」って話しかけてくれたら、生きながらに別の世界があることを感じさせてくれたら、その子はたしかに救われるだろうなと。酒井駒子さんの描く少年がとても素敵だ。
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橋の上の彼のように、死にたいと思ったことは、幸いにして、ない。けれど、死にたいと電話口で泣く家族に、なす術なく身を捩る思いは何度も味わっている。 だから、この橋の上に立つ彼が、家にいそいで帰る後ろ姿に、祈るような気持ちになる。すべての、橋の上に佇む人たちに、おじさんのような、死へ...
橋の上の彼のように、死にたいと思ったことは、幸いにして、ない。けれど、死にたいと電話口で泣く家族に、なす術なく身を捩る思いは何度も味わっている。 だから、この橋の上に立つ彼が、家にいそいで帰る後ろ姿に、祈るような気持ちになる。すべての、橋の上に佇む人たちに、おじさんのような、死へ傾く気持ちをずらしてくれる人が現れますように。私も、おじさんのようになれますように。 #酒井駒子 さんの無彩色の静かな絵が、さらに心にしみる。その絵が、水辺の見開きだけ色づいて、いのちは出会いだと感じさせる。
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圧倒的な「絵の力」を感じる絵本。 読後(読んでもらった後)、じっくりと味わい、感想を誰かと共有したくなります。 少年を泥棒扱いするおばさんが、図書員のように描かれているのが悲しい。(絵の中の本に背ラベルが貼付されている) 「前向きなラストに救われた」と感じる人もいれば「彼はまだ辛...
圧倒的な「絵の力」を感じる絵本。 読後(読んでもらった後)、じっくりと味わい、感想を誰かと共有したくなります。 少年を泥棒扱いするおばさんが、図書員のように描かれているのが悲しい。(絵の中の本に背ラベルが貼付されている) 「前向きなラストに救われた」と感じる人もいれば「彼はまだ辛いままだ」と感じる人もいて、様々なとらえ方ができる一冊です。
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いまここから、川にとびこんだら- このページだけ、橋桁が、マスキングされた直線でハードエッジに描かれている。 他のページでも下絵には定規で直線が引かれているけれど、あとで手描きでなぞられている。この橋桁は、とりわけ鋭く描かれている。 その水は、どれほど冷たかったろうか。
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