傷を愛せるか 増補新版 の商品レビュー
精神科医と研究者の二足のわらじで活動する著者のエッセイ たまに人間性の根っこの部分から優しい人というのが居て、この人はそれなのだと思った
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精神科医でトラウマ治療にあたる著者が、日常の出来事や非日常の出来事、触れた作品等から感じたことや気づきが綴られているエッセイ。 自分のなかで強く印象に残る部分もあまりピンとこない部分もあったけれど、あとがきまで含めて全体を通して宮地さんが様々な出来事や作品からたくさんのことを受...
精神科医でトラウマ治療にあたる著者が、日常の出来事や非日常の出来事、触れた作品等から感じたことや気づきが綴られているエッセイ。 自分のなかで強く印象に残る部分もあまりピンとこない部分もあったけれど、あとがきまで含めて全体を通して宮地さんが様々な出来事や作品からたくさんのことを受け取り、そしてそれを丁寧に言語化しようと向き合っていることが感じ取れた。 エッセイであるこの本には、結論があるわけでも何かアドバイスがあるわけでもない。けれど、読んでいて自分の傷にそっと手を当ててもらったような感覚になる箇所があった。 時間が経って読み返したときにはきっと、今回とはまた違う箇所でそんな感覚になるんだろうと思う。 専門家としての技術や知識を超えた思いや祈りのようなものが、最終的には人に届く部分なのかもしれない。 あとがきも印象的で、自分も日々の出来事や見たり読んだりする作品から、少しでも何かを受け取り感じられるようになりたいと思った。 宮地さんの他の書籍や、様々な人のエッセイを今後も読んでいきたい。
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非常に簡潔で読みやすい文章。 「競争と幸せ」が気に入った。エッセイはあまり読んだことがないけど現実的な分心に残りやすい気がする。
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初めてエッセイを読了することに成功、、、!! じっくり丁寧に一つ一つの言葉を読んでいたらかなりの時間がかかったけれど私の人生を共に歩んで欲しい文章にたくさん出会えました。 この言葉忘れたくない。っていう言葉がありすぎて初めて本に付箋を貼ってみたり、、、笑 本当に素敵な本に出...
初めてエッセイを読了することに成功、、、!! じっくり丁寧に一つ一つの言葉を読んでいたらかなりの時間がかかったけれど私の人生を共に歩んで欲しい文章にたくさん出会えました。 この言葉忘れたくない。っていう言葉がありすぎて初めて本に付箋を貼ってみたり、、、笑 本当に素敵な本に出逢えたなあ、、、✨
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自分にはまだ難しかった 「傷を愛せるか」というタイトルから自己愛についての本だと思って読んだが違った 傷=トラウマをテーマに精神科医である筆者が経験したことから感じたことを淡々と綴っている 傷から立ち直る上で宿命論と因果論どちらの考え方も必要で、どちらの考えをどれだけ取り入れるか...
自分にはまだ難しかった 「傷を愛せるか」というタイトルから自己愛についての本だと思って読んだが違った 傷=トラウマをテーマに精神科医である筆者が経験したことから感じたことを淡々と綴っている 傷から立ち直る上で宿命論と因果論どちらの考え方も必要で、どちらの考えをどれだけ取り入れるか、の違いでしかないというのが印象的だった
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文章が静かで優しい。 久しぶりに水泳した時に、いかに無駄な力を抜くか・余計な動きをしないかが重要であると気づいて、でもやっぱり泳げなかった時の気持ちを忘れないようにしたいと書かれている話が印象的だった。 自分で泳ぐことと泳ぎを教えることを両方やっていたけれど、やはり教えることは難...
文章が静かで優しい。 久しぶりに水泳した時に、いかに無駄な力を抜くか・余計な動きをしないかが重要であると気づいて、でもやっぱり泳げなかった時の気持ちを忘れないようにしたいと書かれている話が印象的だった。 自分で泳ぐことと泳ぎを教えることを両方やっていたけれど、やはり教えることは難しい。自分では簡単にできることがなぜできないのかと思いながら対応する難しさがある。 また、旅行中に読む文庫本の感覚は全く同じなのでとても嬉しい。 電車で本を読んでぼおーっとして、ふと昔の記憶が浮かび上がってきて、はっと気づいたら窓の外の風景が変わっている。そんな感覚がとても好き。 =============== 開きながら変わっていくというのは、それに比べてわかりやすい。だれかと出会う、どこかに出かける、新しい学校や職場に入っていく、異国に住む、これまでしたことのない体験にチャレンジしてみる。そんなとき、人は開かれている。異質なものが自分の中に入り込み、同時に自分の中からなにかが出ていき、つながりが生まれ、心身を構成する要素が入れ替わり、構成を変えていく。(pp.63-64) 発見その三。むだがない、ということの重要さ。いかに身体からむだな力を抜くか、いかによけいな動きをしないかが、手足をどう動かすかより、実はいちばん重要だということ。身体をまっすぐにして、よけいな力を抜いて、壁をぽーんと足で蹴れば、水の中を身体はす1つと進んでいく。何もしないのに、七、八メートル進んでしまう。 泳げなくても進むのだ。そう、よけいなことをしなければ。泳げない人というのは、この感覚を知らないに違いない。泳げなくても浮かんでいればいいことを。(p.184) 優秀な人は「がんばりや」であることが多いが、処理すべき情報や通信量の増加は、がんばる人にほどのしかかる。 優秀だからこそ「よい人」でありたいと思う人も多いが、人の痛みへの共感は、自分をも傷つけかねない。頭を使い、心を込め、気を配り続けることは、脳神経系の「体力」を激しく消耗する。肉体の過労はわかりやすいが、頭や心の過労は見えにくい。肉体は動きを止めれば休養できるが、頭や心は職場を出てもすぐにスイッチを切れない。(p.196) 私にとって、文庫本というのは、旅の道連れという印象が大きい。かばんにしのばせ、時折取り出して読む本。とくに電車などでの移動中。適当にページを開き、一章分を読み終えると、しおりを挟み、目を閉じる。忘れていた記憶や、心の奥にしまってあった風景が蘇ってくる。日常のささやかなできごと。けれども、心の奥にひっかかったままの情景。しばらくして、目をあける。窓の外の景色はさっきからすっかり変わっている。現実の自分は、どこか別のところを移動していることに気づく。(p.235)
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精神科医でトラウマ研究の第一人者によるエッセイ。傷を認めて受け入れ目を背けず隠さず生きていくことは大切なこと。傷は無かったことには出来ないし、受け入れないと前に進めない。悩み多き年頃にこの本に出会っていたかったな。それでも、また読み返すと思う。
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むだな力を抜く、というのはどんなスポーツでも、いやスポーツだけでなく人生のあらゆる事柄に共通する、究極の「コツ」である
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表紙と題名に惹かれて購入。 どんな人間であろうと、傷を持っている。傷の種類は様々で、傷のつき方、治り方は多種多様である。自分が詳細に覚えている傷もあれば、正直後々気づく傷もある。本書を読んでいると、自覚していなかった小さなささくれが疼きだす。あぁ、そうか、私こんなことでも傷ついて...
表紙と題名に惹かれて購入。 どんな人間であろうと、傷を持っている。傷の種類は様々で、傷のつき方、治り方は多種多様である。自分が詳細に覚えている傷もあれば、正直後々気づく傷もある。本書を読んでいると、自覚していなかった小さなささくれが疼きだす。あぁ、そうか、私こんなことでも傷ついていたんだと気付かせてくれる。傷と共に生きていくことを肯定してくれて、今後のまだまだ続くであろう人生との向き合い方もそっと示してくれる、そんな本だった。途中挟まれる写真がとてつもなく美しい。この本のおかげで感情と看護という本を知り、早速購入した。感情労働について理解を深めたいと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
精神科の医師として臨床を行いつつ、トラウマやジェンダーの研究を続けている方のエッセイ。 旅先や渡米生活、実家での出来事を綴りながら、様々な「傷」について触れていく。 格好つけず正直に、穏やかに記されていて、読んでいて心地よかった。 心に傷を負ったことがある人は、きっとこの本のどこかに、心に残る言葉が見つかると思う。 . 傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷のまわりをそっとなぞること。身体全体をいたわること。ひきつれや瘢痕を抱え、包むこと。さらなる傷を負わないよう、手当てをし、好奇の目からは隠し、それでも恥じないこと。傷とともにその後を生きつづけること。 (P226) . 九州で一人旅をしているときに読んだ本。 知らない場所で電車に揺られながらエッセイを読む時間は、とても充実していた。 日常から切り離されて、思考に潜っていく感覚があった。
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