石が書く の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
p46 人間によって明白に生産された美を芸術と呼び、宇宙のなかで偶然に出会う美と芸術から生まれた美ど包摂するすべての美の鑑定を、美学と呼ぶ試みに同意が得られるのなら。 p73 連続する往復運動のなかで、モチーフは背景へ、背景はモチーフへ送り返される。 p129-130 カイヨワが遊びの活動の定義とするのは以下の六つである。自由であること、隔離されていること、未確定であること、非生産的であること、規則のあること、虚構のものであること。 Amazonで見た表紙にひかれて、初カイヨワ読了。高すぎて図書館を利用。 70年代刊行と、国ごとの定義づけの認識などが異なるそう。用語の注釈や解釈にはある一定の理解が必要なものの、基本全部初めてふれる世界なので、新鮮。エッセイと言うほど我々の生活から身近とは言い難く、研究論文と言うほど堅苦しいものではない。不思議な本。
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瑪瑙や石灰岩の切断面に現れるまるで絵画のような模様。街、砂漠、森、鳥、人、宇宙……さまざまな景色に見立てられた不思議な石をめぐるエッセイ。 物語画の描き込みがされたもの以外はカイヨワ自身のコレクションだそう。ジャングルのなかの邸宅に人がひしめいている影絵のような石は特に驚く。...
瑪瑙や石灰岩の切断面に現れるまるで絵画のような模様。街、砂漠、森、鳥、人、宇宙……さまざまな景色に見立てられた不思議な石をめぐるエッセイ。 物語画の描き込みがされたもの以外はカイヨワ自身のコレクションだそう。ジャングルのなかの邸宅に人がひしめいている影絵のような石は特に驚く。砂漠色の斜線の空にポツンと水色の土星が浮かぶ、クレーが描いたかのような石も好きだった。 一番最後の「生命の参入」が、我々のふわふわぐにゃぐにゃした身体と鉱物とのあいだにある繋がりをSF的想像力で記した素晴らしいテキスト。市川春子はこれを読んで『宝石の国』を描いたんじゃないだろうか。
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買おうか迷ってとりあえず図書館で借りてみた。 文学者による推し石エッセイ的な。 薄さの割にお値段…!という残念な第一印象。 すみません、著者の方は全然知らなくてメノウ他石コレクターのブックデザイナー山田英春さん経由で知ったもので、思い入れがさほどない分結構そこが悩みどころだったり...
買おうか迷ってとりあえず図書館で借りてみた。 文学者による推し石エッセイ的な。 薄さの割にお値段…!という残念な第一印象。 すみません、著者の方は全然知らなくてメノウ他石コレクターのブックデザイナー山田英春さん経由で知ったもので、思い入れがさほどない分結構そこが悩みどころだったり-! うーん、石の写真だけ目当てなら山田さんの不思議で奇麗な石の本シリーズ3冊ぽんと買っちゃう方が…ねぇ。 普段本を全く読まない人には取っつきづらい文章だと思います。 繊細な文学表現がはまる人にはお勧め。 風景石にちょっと描き足してあるのは鉱物コレクター界隈ではなかなか見ないので、おもしろかったです。
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石の美に普遍の美を見い出す。 それは「達成されたもの」である。 人は自然を越えられない。 けれど、人は自然と共作できる。 切り出して額に入れて署名をする。 それだけでいい。 隣接ではなく、対角線を発見する。 カイヨワ
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原書をわざわざ取り寄せてしおおせてから仏語を学び、プチロワイヤル仏和辞典で絶望的翻訳にあたったことを思い出す。カイヨワ批評テキストを高峰になぞらえるならば、プチロワイヤルをのみ携えて挑みかかるはスリッパに等しい無力。ちゃんと靴を履かないといけない。滑落する。 と、いうわけで本書に...
原書をわざわざ取り寄せてしおおせてから仏語を学び、プチロワイヤル仏和辞典で絶望的翻訳にあたったことを思い出す。カイヨワ批評テキストを高峰になぞらえるならば、プチロワイヤルをのみ携えて挑みかかるはスリッパに等しい無力。ちゃんと靴を履かないといけない。滑落する。 と、いうわけで本書に新しく拓かれた訳業=順路は、カイヨワ山を登ろうと志す者にとり非常に心強いに違いない。私も、白水社仏和大辞典(スノーシュー?)を手にしてなお原書を読了できていないから、いつか潔く原書主義を廃して本書を買ってしまうかもしれない。
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なんか鉱物が好きで、買ってみた。 自然が生み出した鉱物、石の不思議な模様からいろいろな見立て、妄想を展開していく本かな? なんだか、子供みたいな感性の人なんだな。 石の写真が美しくて、欲しくなるが、いやいやこれは沼だ、この本で我慢するようにしよう。
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