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フィールダー の商品レビュー

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34件のお客様レビュー

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2024/05/15

重たいけど、かわいい小説だった。結局のところ「かわいい」っていう感情って最強だなと。一度「かわいい」の沼にハマってしまったら、多少の事はなんでもかんでも「かわいい」で上書きされてしまうし、途端に骨抜きになってしまう。漢字で書くと「可愛い」となるように、親が子を思う「かわいい」も、...

重たいけど、かわいい小説だった。結局のところ「かわいい」っていう感情って最強だなと。一度「かわいい」の沼にハマってしまったら、多少の事はなんでもかんでも「かわいい」で上書きされてしまうし、途端に骨抜きになってしまう。漢字で書くと「可愛い」となるように、親が子を思う「かわいい」も、猫に対する「かわいい」も、全部「愛」がある。様々な問題を抱える主人公も結局最後は「かわいい」の感情に突き動かされてるし、それが人間味があって良かった。 作中でわんさか提起される様々な社会問題はそれぞれ解決されないまま、モヤモヤを残したままで終わるが、そこがまたリアルで良いとも思った。

Posted byブクログ

2024/02/11

何かの記事を見て読みたくなったはずだけど思い出せない。「ゲームかリアルかじゃない。ゲームはリアルなんだ」というセリフはその記事に出てきた気がする。 主人公は出版社の編集者。担当する児童福祉家の小児性愛スキャンダルとオンラインゲーム「リンドグランド」での仲間との共闘をめぐる物語。 ...

何かの記事を見て読みたくなったはずだけど思い出せない。「ゲームかリアルかじゃない。ゲームはリアルなんだ」というセリフはその記事に出てきた気がする。 主人公は出版社の編集者。担当する児童福祉家の小児性愛スキャンダルとオンラインゲーム「リンドグランド」での仲間との共闘をめぐる物語。 理論と実践、傍観者と実践者、一般性と個別性というテーマが裏で流れていたように思う。自分の中でうまく消化できていないけど、理屈をこねるだけではなく当事者になりたい気持ちだろうか。陳腐な表現になってしまうが人生の手応えみたいなことかもしれない。 話の進行は面白くてどんどん読み進んだけど、登場人物の心境に今の自分は寄り添えなかった。

Posted byブクログ

2023/11/29

出版社に努めている橘泰介は、スマホゲーム「リンドグランド」でチームを組んでいる隊長、未央、ハチワレとプレーする時間を大切にしている。ある日、担当著者である黒岩文子からメールが届くと同時に、黒岩が女児を「触った」という情報を耳にする。 帯にも書かれてある通り、児童虐待、小児性愛、...

出版社に努めている橘泰介は、スマホゲーム「リンドグランド」でチームを組んでいる隊長、未央、ハチワレとプレーする時間を大切にしている。ある日、担当著者である黒岩文子からメールが届くと同時に、黒岩が女児を「触った」という情報を耳にする。 帯にも書かれてある通り、児童虐待、小児性愛、ソシャゲ中毒、自殺・・・など幅広いテーマが扱われていて、その広さゆえに焦点がぼやけた印象を持った。「子どもにとって大人は有益か、それとも有害か」という視点で私は全編を読み通したが、他の人が読んだらその人の興味関心によって他のテーマで読み解くかもしれないとも思う。 しかし、その乱雑さがかえって現代に生きる私たちの実感に近いのではないかと感じた。ただ生きているだけなのに、私たちは本当に様々な問題に悩まされる。そして一見ランダムに起こっているように思える諸問題が、実はどこか奥底の方で繋がっているような、そんな感触を読みながら感じていた。 主人公にとって「リアルな世界=職場」における黒岩の小児性愛疑惑問題と、「バーチャルな世界=ゲーム」における隊長の家庭環境問題が同時並行的に進行していく形をとっているが、徐々にその2つの世界は混じり合っていく。この境界線がぼやけていくような表現が他の二項対立図式にも当てはめられ、何が正しいのかどんどん分からなくなっていく。それもまた現代のリアルであるように思う。 おまけ:未央とハチワレのオンラインチャットでのコミュニケーションが面白かった。

Posted byブクログ

2023/10/22

久しぶりに読んでみたいと思った本で あれ?なんか思ってたのと違う、全然頭に入ってこない と思った本 私には、合わなかったのかな ゲームの世界の話にはちゃんとついてはいけたけど 結局、かわいい…とは?みたいになってしまった

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2023/10/20

過去作でも思ったことだが、句読点を含めた文章のリズムが自分によく合っていて、読み心地がとてもいい。 内容としては「スパーム」に似た、既存の価値観を揺らがすタイプの作品。特に「かわいい」に対しての言及は白眉。大変落ち着かない気分にさせてくれるので二度と読みたくない名作。

Posted byブクログ

2023/10/01

う〜ん、これはもう小児性愛じゃないのか。 ま、どこで区別するのかってことか。 オンラインゲームやったことないけど、読んでるとなんか面白そうに思えるね。

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2024/07/22

児童虐待、毒親、ハラスメント、ゲーム依存、ネット炎上など社会的なテーマを盛り込んだ内容ながらエンタメしており一気に読ませる。事実、深夜までかけて一晩で読んだ。 ただどれも表面的に触れるのみで深堀りされないのが残念。本書のもっとも大きな関心事であるはずのセクハラ、小児性愛、その背...

児童虐待、毒親、ハラスメント、ゲーム依存、ネット炎上など社会的なテーマを盛り込んだ内容ながらエンタメしており一気に読ませる。事実、深夜までかけて一晩で読んだ。 ただどれも表面的に触れるのみで深堀りされないのが残念。本書のもっとも大きな関心事であるはずのセクハラ、小児性愛、その背後にあったと思しきネグレクトの真相が明らかにならないのは消化不良。最後も投げっぱなしのような終わり方だし。そのあとどうなったか、が知りたいんだが…。ストーリーとは無関係に主人公が入管問題のデモやホームレスの炊き出しに参加していたという設定は物語の展開に寄与していないので蛇足だったような。むしろ「意識の高さ」をうかがわせて鼻白んでしまった。この主人公がとても39歳に思えずてっきり20代だと思って読んでいた。 言及される作家から編集者への「神の手」によるセクハラは古井由吉の話らしい。『仮往生伝試文』、いつか読もうと手元にあるんだが読む気が失せてしまった。

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2023/10/23

23/08/22読了 勢いの塊の様なものを読んでしまった。 ひとの善性と裏返しのようないやらしさを描いて、不快さと爽快さのバランスをとって、いや爽快感あんまなかった気もするんだけど、ただただなんだか圧倒された。扱っているテーマの割に湿った重たさはない。でも重量級なことは確か。 ...

23/08/22読了 勢いの塊の様なものを読んでしまった。 ひとの善性と裏返しのようないやらしさを描いて、不快さと爽快さのバランスをとって、いや爽快感あんまなかった気もするんだけど、ただただなんだか圧倒された。扱っているテーマの割に湿った重たさはない。でも重量級なことは確か。 読み終えて本の装丁の素晴らしさに唸る。装丁須田杏奈、装画たけもとあかる。

Posted byブクログ

2023/07/30

児童虐待に取り組む小説家を担当する編集部の主人公が、リアルな生活とは別に対戦型オンラインゲームでの役割を拠り所としているのは面白い設定なんですが、結局、何を一番伝えたかったのか散漫になった気がするのは自分だけかな?

Posted byブクログ

2023/07/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

合う合わないがはっきり別れる小説ですね。私はゲームを全くしない人間で、出だしからのゲーム世界の話なのが何だかよくわからなくとても苦痛だった。言ってることの意味も(ゲーム用語?世界観?)よくわからなかったし。 著者は四十代か…。若い人の方が「刺さる」話なのかな、と思いつつも年齢よりもこの話の何処かに感じられる当事者性があるかないかなのかな?それとも共感や感情移入ができるかなのかな?などと考えつつ読むも何かモヤモヤとしている感がずっとあった。 私がこれまで読んだことのない種類の小説なのは確かでした。 世界観とテーマがはっきり分かってからはある程度入り込めたと思うけれど、うーん、盛り込み過ぎというか突っ込んでるけどとっ散らかってるというか、結局解決はしないのなと…。 いや多分、解決云々というところを求める話ではないのだろうとは最後まで読んで思ったけれども正直「ここで終わるのか?こんな終わり方なのか?」とは思いました。 私はちなみに黒岩さんとほぼ同じことをこの春考えていました。だからとても驚いた。そういう風に熊を考える人がいるんだなぁということに。その一点だけでも充分にこの本に出会えた価値はありました。 最後の方は胸が痛くてたまらなかった。だから他の方々はそうは思わないかもしれないけれども私はこの終わり方が全然腑に落ちませんでした。これは今流行りの(?)「推しの話」でもあるのかな? …うーん、やはり盛り込み過ぎなような。 とにかく読んだことのないジャンルの話で驚きました。すでに大きな賞をたくさん受賞されているけど、こういう話を書く人が純文系の賞を受賞する時代なのですね。

Posted byブクログ