浅草ルンタッタ の商品レビュー
心弾む「ルンタッタ」だと思って手にしたら、人間の醜さと優しさたっぷりの物語。ひとりさん、たいした才能です。
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劇団ひとりの新作。 日露戦争が終わり、関東大地震が起こったその当時。 吉原には程遠い安く男が女を買える安宿の、女郎たちの貧しくも逞しい暮らし。 横暴で変態な鹿児島出身のいやな警察官のせいで、薄幸な女郎は地獄に落とされる。 女郎たちの光は、雪の降る晩に宿の軒先に捨てられていた赤...
劇団ひとりの新作。 日露戦争が終わり、関東大地震が起こったその当時。 吉原には程遠い安く男が女を買える安宿の、女郎たちの貧しくも逞しい暮らし。 横暴で変態な鹿児島出身のいやな警察官のせいで、薄幸な女郎は地獄に落とされる。 女郎たちの光は、雪の降る晩に宿の軒先に捨てられていた赤ん坊、お雪。 その小さな命が唯一の幸せ。 突っ込むところは多少あるが、わたしは、芥川賞受賞の又吉さんよりも好きな作風。
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Amazonの紹介より 行き場をなくした女たちが集う浅草の置屋「燕屋」の前に、一人の赤ん坊が捨てられていた。かつて自らの子を亡くした遊女の千代は、周囲の反対を押し切って育てることを決める。お雪と名付けられた少女は、燕屋の人々に囲まれながら、明治から大正へ、浅草の賑わいとともに成長...
Amazonの紹介より 行き場をなくした女たちが集う浅草の置屋「燕屋」の前に、一人の赤ん坊が捨てられていた。かつて自らの子を亡くした遊女の千代は、周囲の反対を押し切って育てることを決める。お雪と名付けられた少女は、燕屋の人々に囲まれながら、明治から大正へ、浅草の賑わいとともに成長する。楽しみは芝居小屋に通うこと。歌って、踊って、浅草オペラの真似をして、毎日はあんなに賑やかで幸せだったのに。あの男がすっかり台無しにした──。 題名から想像するイメージは、明るく楽しい雰囲気のあるイメージだったのですが、読み進めてみると、地震や殺人といった壮絶な出来事の連続で、心情としては重い気持ちになるばかりでした。 多少、違和感やご都合主義な部分もありましたが、みんなで協力し合いながら懸命に生きている姿に心が救われた気持ちにもなりました。 気になる箇所というと、冒頭の赤ん坊が捨てられる場面です。福子が発見し、「燕屋」で育てることになるのですが、その際、赤ん坊=お雪が結びつきませんでした。表紙の帯では、あらすじが書かれていて、その際「お雪」も書かれています。 ところが、その辺りは小説内では端折っています。赤ん坊を発見し、その後5年後の世界になるのですが、その際「お雪」=発見された赤ん坊だったとは、少しの間わからなかったので、ちょっと戸惑っていました。 また、5年後だったり、7年後だったりと読み進めていくと、色々時代が変わっていきます。「お雪」の変化はわかるのですが、「燕屋」の面々が、年齢を重ねてもそんなに変わっていないなという印象があり、もう少し変化が見られるのではとも思いました。 他にも、久々の再会!?と思いきや、事あるごとに偶然!?かのような悲運な出来事をいくつか登場させるので、ちょっと「作り込まれてる」感があって、感動がちょっと冷めて、ひいてしまいました。 そういった部分はあるものの、「子」を想う「母親」の気持ちや「親」を想う「子」の気持ちに心が痛かったです。 でも、時たま登場する歌やオペラが、心を和ませてくれました。 裕福じゃなくても周りがいれば、なんとかなる。浅草での人情が感動的でした。
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厚さはさほどでもないのに、大長編を読み終えたような満足感。 きっとこれも映画化するんだろな。 誰が誰を演じるのか とても楽しみ。 [図書館·9月20日読了]
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これちょっとまだそこまで売れてないのがとてももったいなくてですね… 軽めのエンタメ小説ファンは損しないと思う。(週に小説たくさん読むタイプの読書家さんの意味ね。) 「陰日向に咲く」から、劇団ひとりさんは彼ならではの物語世界を持っていたけど、 どんどん完成度が上がってきてますよね。...
これちょっとまだそこまで売れてないのがとてももったいなくてですね… 軽めのエンタメ小説ファンは損しないと思う。(週に小説たくさん読むタイプの読書家さんの意味ね。) 「陰日向に咲く」から、劇団ひとりさんは彼ならではの物語世界を持っていたけど、 どんどん完成度が上がってきてますよね。 映像作品も含め。 文章もシンプルで、脚本に近いというか、ぐいぐい読めて、劇団ひとり独特の哀感と、ちょっとしたファンタジーがあって面白かったです。 シスターフッド的にも読めるしね。 考えてみたら劇団ひとり作品って、女性の扱いに癖がないんだなあ。 ただちょっと他の作品もだけど、個人的な好みとしてはすっきりあっさりしすぎているなー、とも。(アクの強いものが好きなので) でも意識的にエンターテイメントに徹しているんだろうな。作りたい世界がものすごく堅固にある印象は毎回受ける…
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ルンタッタ ルンタッタ!とあの懐かしいリズムに合わせ踊りを踊っている姿が目に浮かぶ。大正12年9月関東大震災があった時、小生の父は16歳前後の筈、よく震災の話しをしていた事を思い出した。明治大正昭和と生き抜いた逞しい主人公緊張の連続のうちに読了。感動の一冊であった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
泣いて笑ってまた泣いて。 劇団ひとりに私たちは何度驚かされるのだろう。驚いたあと何度喜び続けるのだろう。 彼が書き続けてくれる限り、驚きと喜びは続く。その幸せよ。 遊郭、置屋。 そこに生きる女たちの矜持と、命の物語。 こんなにも悲しくて切なくて、そして美しい「ルンタッタ」が今まであっただろうか。 歌に救われたかつての自分の、その涙を思い出した。 どんな境遇の中にでも「救い」となる「それ」がある。あるからこそ生きていられる。 かすかで見えない光かも知れない。でもその「それ」を見つけられたらきっともう大丈夫だと思える。 言葉に出来ない「それ」を紡いで私たちは生きている。 劇団ひとりの優しいまなざしを、そこに感じた。
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