浅草ルンタッタ の商品レビュー
話の流れが軽やかで面白い。 暗く惨めな人生の中にも光が差し込み、それをみんなで守ってやろうという心意気がある。 かつての日本が持っていて、今は失った共同体がそこにはあった。 貧しいながらも、心が温かい時代を、よく描けるなぁと思った。 遊女崩れの生き場を亡くした女たちが...
話の流れが軽やかで面白い。 暗く惨めな人生の中にも光が差し込み、それをみんなで守ってやろうという心意気がある。 かつての日本が持っていて、今は失った共同体がそこにはあった。 貧しいながらも、心が温かい時代を、よく描けるなぁと思った。 遊女崩れの生き場を亡くした女たちが集まる置屋、燕屋の前に赤ん坊が置き去りにされていた。 これを拾って育てようという千代は、赤ん坊にお雪と名付けた。 燕屋を差配する頼りなさそうな信夫、姉御肌の鈴江、大福顔のお福に囲まれ、お雪は成長する。 しかし、燕屋は非合法の店である。 浅草六区を取り締まる悪徳警察、中村はお雪に目を付けた。 お雪に手を出そうとした中村を止めようと千代がつかみかかり、そこでお雪が中村を刺し殺してしまう。 そして燕屋は離散となり、時は流れる。 今はつらくても、いつか必ずいいことがある。 そんなことを思える一冊だった。
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劇団ひとりさんの多才さに驚きました。プロの作家ではないので気になる部分はあるのですが、哀しくも優しく可笑しいお話でした。綺麗事ばかりではない時代の暮らしの中でお雪は一筋の希望の光のようでした。
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行間もあり、文字もそれほど小さくないので、サクッと読める。 当時の浅草の様子がわかりやすい。大正時代なので、関東大震災は外せない。辛い描写もいくつかあるけれど、激動の時代をいきぬく逞しい人々に勇気をもらえる。
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久しぶりに泣いてしまった。 シーンごとに映像が浮かんできた。 歌が色をつけ、歌が花を咲かせる。 劇団ひとりの文章にしびれました。
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タイトルと設定からもっとルンタッタと浮かれた話を想像していたので、予想外の展開に面食らってしまった。 暴力や地震の描写などは痛々しくて読むのが辛かったけど、女たち+伸夫の連帯には希望が持てて良かった。
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陰日向に咲くがむちゃくちゃよかったので、今回は辛口の星3つになりました。劇団の演劇を見ているみたいに普通におもしろかったんですけどね。陰日向に咲くみたいに心には残らなかったんです。 劇団ひとりさんは大好きなので次に期待してます。
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映画監督として昨年末にNetflixで配信された『浅草キッド』も好評だった著者が今度は1910〜20年代の浅草を舞台にした小説を執筆。やはり信夫は劇団ひとり演で脳内再生されてしまうw浅草オペラが登場した辺りでは再び芸能の物語になるのかなと思ったが、ストーリーは予想外の方向へ。確か...
映画監督として昨年末にNetflixで配信された『浅草キッド』も好評だった著者が今度は1910〜20年代の浅草を舞台にした小説を執筆。やはり信夫は劇団ひとり演で脳内再生されてしまうw浅草オペラが登場した辺りでは再び芸能の物語になるのかなと思ったが、ストーリーは予想外の方向へ。確かにこれは映像作品にするのは難しい題材かもしれない。
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女郎に捨子、浅草を舞台に大正時代のモダンな香りと非道な男たちに踏みにじられていく姿がたんたんと語られる。彼女達に幸せは遠いのだが、それでも明るく強く生きていく姿に頭が下がる。
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なんとも切なくてだけど物語を追いかけていきたくなってしまう、とても心にぐっくとるお話。陰日向に咲くの時も才能に感動したけれど、今回も悲しみの中に強い志や深い情が感じられてすごいなぁとただただ感嘆。厳密にいっちゃうとピアノがそんな簡単にマスターできるわけないとか、7年間も一人で生活...
なんとも切なくてだけど物語を追いかけていきたくなってしまう、とても心にぐっくとるお話。陰日向に咲くの時も才能に感動したけれど、今回も悲しみの中に強い志や深い情が感じられてすごいなぁとただただ感嘆。厳密にいっちゃうとピアノがそんな簡単にマスターできるわけないとか、7年間も一人で生活するのは不可能ではと突っ込みどころもいっぱいあるのは確かなんだけど、全部ひっくるめて結果オーライであったように思う。 理不尽なことは多々あって何を大切に生きるのか深く考えさせられたお話だった。 題名とのギャップにまんまと騙された人は多いのでは。
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心弾む「ルンタッタ」だと思って手にしたら、人間の醜さと優しさたっぷりの物語。ひとりさん、たいした才能です。
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