国鉄―「日本最大の企業」の栄光と崩壊 の商品レビュー
元国鉄→分割後のJR九州初代社長が綴る国鉄の歴史と分割の内情。当事者として関わった中の人が書いているので迫力があります。JR東日本が湘南新宿ラインを作った背景や、JR九州がユニークな観光列車や不動産事業に投資したのかなど、現在の戦略の下地がわかるのも面白いのです。
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●=引用 ●(略)20年も経つと、世界中が注目する「新幹線」を作った。ただそこには国鉄マンの「勤勉」と技術の「日進月歩」はあっても、「経営者感覚」はなかったといえる。そういう風土は変わりようがない集団だった。 ●国鉄貨物輸送は「貨車」を運ぶのが仕事という観念で、「モノ」を運ぶの...
●=引用 ●(略)20年も経つと、世界中が注目する「新幹線」を作った。ただそこには国鉄マンの「勤勉」と技術の「日進月歩」はあっても、「経営者感覚」はなかったといえる。そういう風土は変わりようがない集団だった。 ●国鉄貨物輸送は「貨車」を運ぶのが仕事という観念で、「モノ」を運ぶのが仕事という使命感がなかった。前述のように車両・コンテナの構造や荷役機械・設備などのハード開発・提案に知恵を出さなければならない技術屋にも大いに責任がある。要するに「経営」と「ビジネス」がわかっていなかったのである。 ●国鉄後半の22年間、最終2年間を除いて、実に20年間、国も国鉄も取り組みの意識は変わらなかったといわれても、申し開きができない。(略)国鉄のシェア低下、経営の硬直化が進むなか、利用客を増やす総合施策が抜けていた。経営が傾いても、設備投資の予算確保ばかり考える体質は変わらなかった。それは、今だから言えることだが、そこには、それぞれ「仕組みづくり」「クニづくり」「モノづくり」が優秀な人材集団はあったが、この3つをまとめる「経営」と「ビジネス」そして「哲学」がなかった。
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【星4.0】 国鉄→JR→現在と今後の課題、という感じで国家の鉄道網でについて語っている。 「国鉄」という響きの懐かしさからなんとなく手に取ってみたのだが、国鉄が抱えていた超ド級の問題、現状のJRの問題など、身近な鉄道について知らないことが多々あるという気付きに繋がった。
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国鉄の俯瞰史というよりは、筆者の社歴に沿った国鉄史という趣。それはそれで価値があるのだが、ディーゼル車の開発などはマニアック…好きな人は好きそうだ
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中の人の回顧録だけではなく、今後の提言もあってバランスのいい展開だった。 提言が的を得ているかはかなり怪しいが。
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230314016 国鉄〜JRの歴史を踏まえて、これからの鉄道の未来を語る。国が関わってきたからこそ今のJRがあるのだから、地域と鉄道の未来について国や地公体自身がより深く考えることが必要。
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国鉄の技術系職員出身でJR九州初代社長を務めた著者が、自身の経験も踏まえて約半世紀の国鉄の歴史を振り返り、JRの将来に向けて提言。 官僚主義的で中央集権・セクショナリズムが蔓延り、人を生かせなかった国鉄の組織経営的問題は、他の組織にも教訓になると感じた。 また、鉄道政策は、誰もが...
国鉄の技術系職員出身でJR九州初代社長を務めた著者が、自身の経験も踏まえて約半世紀の国鉄の歴史を振り返り、JRの将来に向けて提言。 官僚主義的で中央集権・セクショナリズムが蔓延り、人を生かせなかった国鉄の組織経営的問題は、他の組織にも教訓になると感じた。 また、鉄道政策は、誰もが思いつきレベルのことは言えるが、そう簡単にはいかない、なかなか奥が深いものであるということを感じた。 「新幹線物流」の推進など、著者の提言にも納得感があった。 車両の話なども豊富で、鉄道ファンなら一層楽しめると思った。
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今年は日本に鉄道が出来て150年。新聞や学校制度も同じ年に生まれています。日本を近代化するためのインフラ3点セットが同じ年に誕生したことを偶然にも、当然にも感じます。日本の隅々まで行き渡る鉄道網は近現代史の主役だったと思います。一方で今年、東北を旅した際、初めてBRTに乗車し鉄道...
今年は日本に鉄道が出来て150年。新聞や学校制度も同じ年に生まれています。日本を近代化するためのインフラ3点セットが同じ年に誕生したことを偶然にも、当然にも感じます。日本の隅々まで行き渡る鉄道網は近現代史の主役だったと思います。一方で今年、東北を旅した際、初めてBRTに乗車し鉄道の路線跡をバスで移動しながら地方の鉄道はこのシステムに乗り替わっていく予感に囚われたりもしました。150年の歴史のうち1949年から1987年の38年間だけ存在したのがJRと呼ばれる前の国鉄でした。その日本で一番大きい会社のクロニクルがこの新書です。去年の自分の中での新書ベストの「サラ金の歴史」や今年のベスト候補の「日本共産党」と共通して新書ならではの早送り感が心地よく、しかも日本の近現代史とのシンクロ感が深い一冊です。著者は民営化後のJR西日本の社長を担った人ですが、本書でも問題にされる三島会社であることや出自が技術畑であることによる距離感によるものなのか、立場によって見え方が違うこの公社の運命をバランスよく語っていきます。以前読んだ『暴君:新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』のような濃厚な読後感ではありませんが、しかし、そもそも様々な矛盾を背負った国鉄という企業に対する苦い想いも響いてきます。特に国鉄が生まれるタイミングやJRに分割される時の分割の仕方については強い想いを感じます。そこには貨物物流という旅客視点では見えてこないテーマも含まれます。今年、よく報道されている路線別収支も自分が感じたBRT化のためのプロモーションにも思えてきました。実は本書、旅の途中で読む本が無くなって駅の構内の本屋さんで購入したのですがこういう本にすぐアクセス出来るって、日本すごいと思いました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
親方日の丸で経営の視点が足りなかったゆえの解体。優秀な人材も多くいたとは思いますが、労使問題等課題も多かった。日本航空の経営破綻と似ています。JRに分割民営化されましたが、本州以外の経営基盤がぜい弱で、特に北海道、四国などこの先課題も山積です。
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