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マクロプロスの処方箋 の商品レビュー

4.5

4件のお客様レビュー

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2024/08/18

不老不死。 もし自分が永遠に若く美しい肉体のままで生き続けることができたなら・・・ きっと、これは誰もが一度は想像してしまう願いなのではないでしょうか。 ですが、もしそれが本当に実現してしまったならば一体どうなってしまうのだろうか。永遠に生き続けることははたして幸せなのだろ...

不老不死。 もし自分が永遠に若く美しい肉体のままで生き続けることができたなら・・・ きっと、これは誰もが一度は想像してしまう願いなのではないでしょうか。 ですが、もしそれが本当に実現してしまったならば一体どうなってしまうのだろうか。永遠に生き続けることははたして幸せなのだろうか。 そのことを問うてくるのがこの作品になります。 私達は死を、生をどのように考えればいいのだろうか。私達は何のために生きているのだろうか。どうしたらこの人生をもっと充実したものにできるのだろうか。そうしたことをこの作品では考えさせられることになります。 とにかくすごいです。これは仏教書としてもぜひ推薦したいです。読めばわかります。あえてこの記事ではこれ以上はお話ししませんが、凄まじい作品です。 読んだ後の読後感も素晴らしいものがありました。 この作品自体は文庫で180ページ少々で、しかも戯曲ということでページの空白部分も多く、体感としては100ページちょっとくらいの感覚で読むことができました。阿部賢一先生の訳も素晴らしく、非常に読みやすいです。

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2024/07/29

長生きが幸せではなくて、生きている時間をどう過ごすかが大事なんだと。 長生きしたら◯◯したいなって考えてる時は楽しいだろうし、長生きして◯◯の時は良かったなって振り返るのもいいだろうけども、そう考えてる時が1番楽しい時間なのであって、実際にその状況に置かれたらそうでもないのかもし...

長生きが幸せではなくて、生きている時間をどう過ごすかが大事なんだと。 長生きしたら◯◯したいなって考えてる時は楽しいだろうし、長生きして◯◯の時は良かったなって振り返るのもいいだろうけども、そう考えてる時が1番楽しい時間なのであって、実際にその状況に置かれたらそうでもないのかもしれない。手に入れられないものがあるのって案外幸せなのかも。

Posted byブクログ

2023/05/06

チェコの有名な戯曲家、カレル・チャペックの代表作。約100年前、スペイン風邪の流行や第一次世界大戦によりヨーロッパでは死者が増えた時期、長寿を求める大衆の願望もあり、本作品は大盛況だったそうだ。 人生には、重労働、疫病、老化、貧困、戦争といった「困難」が連続するもの。困難が続く...

チェコの有名な戯曲家、カレル・チャペックの代表作。約100年前、スペイン風邪の流行や第一次世界大戦によりヨーロッパでは死者が増えた時期、長寿を求める大衆の願望もあり、本作品は大盛況だったそうだ。 人生には、重労働、疫病、老化、貧困、戦争といった「困難」が連続するもの。困難が続く日々の隙間に、ちょっとした楽しみと充実感を感じながら、人並みに寿命を全う出来ればマシな方である。 さて、人生で訪れる「楽しみ」とは何だろうか。例えば、中高生時代に思い切り楽しんだ学校行事や部活。「ずっと高校生のままでいたい」とか「もう一度大学生に戻りたい」「もう一度20代をやり直したい」など、青春の再来・継続を夢見ることは、誰しも一度はあるのかも知れない。それが実現したら、本当にその人は幸せなのか、どうなのやら。 本作品は、誰もが夢見る「不老長寿」に対して批判的な立場から、読者に疑問を投げかけるものである。舞台を観た当時の観客達の間でも、きっと活発な議論がなされたのだろう。 物語の鍵を握る謎の美女「エミリア」は、年齢不詳であり、上記で述べた困難とは無縁の人生を送っている。ページが進むにつれて、謎が解き明かされるとともに、彼女にとって決定的に足りない何かが明らかになる。

Posted byブクログ

2022/11/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 百年近く続いた相続に関わる判決が出る日。  関係者の前に現れた美貌の歌手エミリア。彼女は不思議なことに相続に関する遺言書の場所を言い当てて、関係者を混乱させる。  そして、判決に関わりなく行われることになった模擬裁判で真実が明らかとなるのだが……。 このところチャペックの戯曲の翻訳されてうれしい私です。(でも、やはり彼の作品は児童文学が一番好きですけどね)  百年近くかかる相続の裁判……。日本でも二十五年以上かかった相続の裁判がありましたから、お金ってあっても、なくても、争う時は争うんだよねと...( = =) トオイメ目になる私。  その裁判の結果が出た後に、エミリアという歌手が関係者に見つかっていなかった遺言書の場所を告げたことから関係者は混乱に、しかも、相続すべきは金銭よりも価値のあるもの。  不老不死の薬の処方箋。  チャペックが生きていた時代がちょうど第二次世界大戦の前だったというのが、こうした作品を書かせたのかもしれないと思いながら、長生きをしたいと願うもの、いや長生きはしたくないと思うもの。  私は必要以上の長生きは望んでませんので(天命でいいのですよ)、この薬、そんなに欲しいかなぁと思ったりもして。  ですが、秦の始皇帝の時代から人は不老不死を求める生き物なんでしょう、権力を手に入れたら不老不死ってパターンですね。  なので、竹取物語の最後で不老不死の薬を富士山の上で帝と竹取の翁と媼がよく焼いたなぁと生意気なことを読んだときに考えていた私です。(それに因んでふし→富士という名になったというのはヲタク心をくすぐります♪)  その辺りの疑似裁判の場面が絶妙なのと、エミリアと彼女の後輩にあたるクリスティナの対比がとても素晴らしい。  こういう決断って女性の方がきっぱりできるものなのかもしれないですね。

Posted byブクログ