レミは生きている 新版 の商品レビュー
あの、底なしに明るい料理研究家、「平野レミ」さんのお父さんが平野威馬雄(いまお)さん。今作の著者です。 威馬雄さんは、音楽家のアメリカ人の父と日本の母を持つハーフ。日本で生まれ、日本で育っている。 そんな「あいのこ」として育った威馬雄さんの自伝。世界的に活躍した父で、お金には困...
あの、底なしに明るい料理研究家、「平野レミ」さんのお父さんが平野威馬雄(いまお)さん。今作の著者です。 威馬雄さんは、音楽家のアメリカ人の父と日本の母を持つハーフ。日本で生まれ、日本で育っている。 そんな「あいのこ」として育った威馬雄さんの自伝。世界的に活躍した父で、お金には困らずに育ったようですが…… TV番組で、平野レミさんドキュメンタリーがやっていた。ボッーと観ていたその番組で出てきた作家の威馬雄さん。 ふと借りてみようかと思って手に取った。 平野レミさんのバックボーンを知りたくなる番組だったからかなぁ。 2022年の新版。ごく最近出た文庫本。 もともとは、1959年に出版されたようなので、すでに半世紀の時を経ている。威馬雄さんは、1900年生まれなので、還暦を目前に書いたようだ。 鼻が高いことへの劣等感。マフラーで鼻を隠せる冬が好きだったり、横から見られたくないから正面になるように意識したり… 混血児のしてのさまざまな「違い」に悩み育った幼少期から、徐々に克服して堂々と生きて行く著者の人生を感じられる作品でした。 もっともっと、辛い出来事や事件もあっただろうと容易に想像できる。が、そのダイジェスト版を観たような読後感。 300ページ弱の文庫本に1人の人生の全てを書ける訳もなく…。 当時に比べれば、「差別」、「偏見」は、大分減ってきている世の中だとは思う。多様性が成熟しつつある世の中だとも思う。情報に溢れて、研究も進み、AIも手に入れた人類。 自分ではどうにもできない、外的要因のさまざまな劣等感を受け入れ、個性と捉えるまでの苦悩って、誰にでもあるのかも知れない。 読後、思ったのは、 自分も、他人も、どっちも「受け入れられる人」になりたい。かな。 人は、一人一人個性がある。ので、違いがある。 それは、人種ばかりの話ではない。 だから面白い。わけだけど、 違いを偏見、差別にせず、受容する。尊重する。 今の時代。ハーフってカッコいいなぁと、むしろ羨望の方が多い。 威馬雄さんのような先駆者の人生を知ることができて良かった。 今の今。今を生きるこの時代は、本当にたくさんの先駆者の上に成り立っている。 いろんなところで、脈々と受け継がれる「想い」を大切にしていきたいなぁと思った。 読後、草刈正雄さんの顔が浮かんだ。 ドルーリー朱里、ウエンツ瑛士笑、アンジェリーナ1/3、張本智和、八村塁、etc… 挙げればキリがないほどのハーフやクォーター。 みんな、それぞれの苦労もあったんだろうなぁ。 あとがきの後、解説を平野レミさんが書いている。カバーは、和田誠さん。ステキです。
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戦前から「あいのこ」と差別を受け続けた平野威麻雄氏の、胸が張り裂けそうなほどくるしい記憶たち。無邪気に(!)マイクロアグレッション(自覚なき差別)を行っているひとりびとりが、身に沁みて読むべき実感が詰まっている。ひとつひとつの思い出すべてに悲しみと、心底からの悔しさが詰まって感じられた。日本はいつまでばかばかしいレイシズムを子どもに吹き込み、傷つけ合いをさせるのだろうか。入管や、『半分兄弟』などにもあらわれる問題の根を、いい加減掘り下げて、きちんとなくしてしまわないといけないだろう。
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平野レミさんのお父様のお話です。 レミさんの番組を見て、興味を持ち読みました。 ハーフであるゆえ、「あいのこ」と呼ばれ、いじめられた生い立ち。でも、愛情深く育てられたのと、持ち前の強さとユーモアで生き抜いた。そして、戦後は、混血児達の母親と子供達のために奔走しました。多様性と呼ば...
平野レミさんのお父様のお話です。 レミさんの番組を見て、興味を持ち読みました。 ハーフであるゆえ、「あいのこ」と呼ばれ、いじめられた生い立ち。でも、愛情深く育てられたのと、持ち前の強さとユーモアで生き抜いた。そして、戦後は、混血児達の母親と子供達のために奔走しました。多様性と呼ばれる今でも、無くならない差別、今こそみんなに読んでもらいたい本でした。
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どんなキッチンでもすぐ作れそうなレミさんの料理。著者は仏文学者でもあるレミさんの父。差別や多様性について考えるきっかけとなる一冊です。ファン必読。
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日本が歩んできた道をあまりにも知らないまま歳を取ってしまったが、今からでも決して遅くないと信じて、このような本をがしがし読んでいきたい。
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料理愛好家として著名な平野レミ氏の父親の自伝的なエッセイ。 1970年代に書かれた作品の新版である。 明治時代にアメリカ人の父と日本人の母との間に生まれた著者は、ハーフとして今では想像もできないような差別や偏見の中で成長してきた。その当事者としての思いと、またその経験ゆえに、戦後...
料理愛好家として著名な平野レミ氏の父親の自伝的なエッセイ。 1970年代に書かれた作品の新版である。 明治時代にアメリカ人の父と日本人の母との間に生まれた著者は、ハーフとして今では想像もできないような差別や偏見の中で成長してきた。その当事者としての思いと、またその経験ゆえに、戦後日本で生まれたハーフたちの窮状を救う手助けをしたこと等を描いている。 今の日本では当時ほどではないであろうが、それでも肌の色の違いや見た目の違いで表立った偏見や差別はなくとも、現代では逆にSNSなどで陰で色々言われるということがあるようだ。多様性が大きく言われる世の中である。当時の日本の姿を知り、現代の私たちを省みることも必要だろう。 作品自体は少し古いが、そこに描かれる著者の苦悩は、現代でも同じような立場の人たちが感じる苦悩なのではないか。
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待望の復刊! 平野レミさんの父上の「混血児」としての生い立ちは「ハーフ」「ミックス」など呼び名は変わっても複雑な状況に立つ「日本人」の裾野の広がりを考える上で読むべき一冊。解説はレミさん、カバー装画はレミさんの夫の和田誠で、新版には新たに下地ローレンス吉孝の解説もついた。
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