BC級戦犯にされたキリスト者 の商品レビュー

小塩海平(著者)

2022/12/23

　戦争中に日本のキリスト教会がいかに軍国主義の一翼を担い、宣撫工作に加担していたのか、この中田という人も牧師としての活動だった。日本基督教団がまず韓国の教会も傘下に加えていたということは、この本を通して初めて知った。教会もまた植民地意識を持っていたという衝撃的な事柄！中田氏が福音的な信仰を持ち、巣鴨プリズンに捕らわれていたときもキリストの苦しみに与る喜びさえ感じる言葉を述べておられることが素晴らしいと思ったが、解放後は教会との繋がりを持たなかったということは非常に悲しいことに感じた。ご本人は信仰を失ったわけではなく、教会が偽証を続けるような無反省な態度に失望したとのことだが、キリスト教会は今も同じ過ちを繰り返しているのではないかと忸怩たるところである。助けた中国人からも恩人であるにも関わらず告発される！という姿に正にキリストと同じ苦しみを味わっていることを感じるが、それが「日本人だから」とは、同じ日本人としては辛いところだ。