わがままな選択 の商品レビュー
妊娠、母親の尊厳死など、家族の正解のない選択をめぐるお話 ファミレスの店長として働く田川静生 子供は作らないという合意の下で沙都子と結婚して9年、大手の不動産会社で働く妻の収入に頼って二人で住むのに十分な一戸建てを建てた矢先、妻が妊娠したかもしれないという また、静生の母親 田...
妊娠、母親の尊厳死など、家族の正解のない選択をめぐるお話 ファミレスの店長として働く田川静生 子供は作らないという合意の下で沙都子と結婚して9年、大手の不動産会社で働く妻の収入に頼って二人で住むのに十分な一戸建てを建てた矢先、妻が妊娠したかもしれないという また、静生の母親 田川真寿美は二ヶ月前に腎臓の手術をして退院したが、数日前から腹痛を訴え再入院している お見舞いに行ったところ、母と絵手紙教室で一緒の金沢と名乗る男によると母は人工透析をするくらいならば尊厳死を望んでいるという 妊娠したかもしれない命と望めばまだ生きられる母の命を巡る、それぞれのエゴと葛藤を描いた家族の物語 舞台「粛々と運針」を原案とした物語らしい 道理で場面転換のない会話劇が主体だと思った 主な登場人物は、静生と沙都子の他 弟の綾人、綾人の妻の結花 母親の恋人と思われる金沢さん 物語にアクセントを加えるキャラとして、930円師匠、実家の 椿本さん そして、咲良 タイトルの「わがままな選択」が誰のどの選択なのかがよくわからない 多分、その辺は読者に委ねられているのだろう 母親の言う「生きてるうちに、死なないと」 自分のQOLを考えた事なのだろうけど、果たしてこの選択はわがままなのか? 子供として、親に人工透析を受けてでも生きていて欲しいという思いはわがままなのか? この辺は難しい問題ですよね 治療を受ければ生きられるけど、治療を停止すると余命が発生してしまうケース 積極的安楽死や自殺幇助が認められていない日本では、消極的安楽死くらいは患者の選択肢として認めていい風潮になってもらいたいものだ もし自分の親がそんな選択をしたらと考えたけど とりあえず自分は親には生きていて欲しいと思っているとは伝えるけど 親の意志決定を翻意させようとまでは思わない そんな選択をしたところまで「らしい」と思ってしまうから 逆に自分顔としての選択の場合 人工透析だったら普通に受けるけど、QOLがどう変わるかによっては消極的安楽死を選ぶかもしれない その選択がわがままと言われるのであれば、それを受け入れた上で自分の意志を通す気がする さて、本題の子供の命について 沙都子に対して物凄い嫌悪感を抱く 子供は作らないと決めているのに避妊することもなくやることやって、妊娠の疑いがわかった時点で堕胎すること前提って、命を冒涜している 自分で最終的な結論を決めていながら、相手もその決定に同意したという既成事実を作ろうとしている それでいて、説得される余地を残しているという上から目線の傲慢さ 駄目だこいつ、受け入れられねぇ 最初から生むつもりがないのであれば妊娠疑惑が湧き上がった時点ですぐに産婦人科に行って堕胎すればいいし もし静生の意志を確認するにも違った聞き方になるはず 自分で最初から最後まで闇を飲み込むこともしない 結果的に妊娠はしていなかったという事だけれども もしかして秘密裏に堕胎した可能性もあると疑った ただ、沙都子はそんな責任を自分独りで抱えるような選択はしない 百歩譲ってもし堕胎していたとしたら、陽気にイエーイとハイタッチをしてくる様はサイコパスにしか見えない もしそうなのだとしたら、頭のおかしい奴として気兼ねなく嫌う事ができるのでそれはそれでいいけど 沙都子に対しては本当に嫌悪感 その理由として実体験が元になっているのを後に自覚した トラウマは厄介なものだよ…… そんな中で唯一同意できるのは、配偶者のデリケートな話を平然と共有してしまう事の迂闊さを咎めるところ いくら兄弟とは言え、そんな事は配偶者に断りもなく言うべきではないよな まぁ、作中での沙都子は咎める側だけど、現実では妻もあけすけに情報を無断で共有してしまう事もあるわけで 夫婦間で留めておくべき情報の管理意識を合わせるのは大事だと思う あと、途中で差し込まれる少女との対話 まぁ、生まれてくる子供との対話と想像してしまうのもまぁ仕方がない 舞台のときってこんな仕掛けしてもすぐにわかるし、小説オリジナルの展開なんですかね?
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母の尊厳死と妻の妊娠騒動。母のこのまま死なせて欲しいという願い、妻の子どもは要らないという本音。これはワガママなのか?2つの生命の選択を狭られる。どういう結論が出るのかドキドキしながら読めた。身内のこととなると難しいよね。家族とは、自分が自分であることや幸せの意味を考えながら読了...
母の尊厳死と妻の妊娠騒動。母のこのまま死なせて欲しいという願い、妻の子どもは要らないという本音。これはワガママなのか?2つの生命の選択を狭られる。どういう結論が出るのかドキドキしながら読めた。身内のこととなると難しいよね。家族とは、自分が自分であることや幸せの意味を考えながら読了。とても読みやすかった。
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とても読みやすい。妊娠、養子、中絶、尊厳死等価値観の違いをどうやってうめるのか。現実問題ありそうなことばかり。とても普通な話なのに、ナルホドとー感心した。
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テンポはよく軽く進んでいき、最後沙都子のぶっちゃけで締まりをもたせようとしたのかもしれないが、全体的に人間味が薄い。
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両親の死とお母さんからのメッセージに考えさせられる。バリバリ仕事したい気持ちと周りから「子どもは?」と聞かれるハラスメントに共感した。
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最後まで登場人物に共感出来ずもやっとした物が残った。 「子供はつくらない」と決めている立河沙都子。 子を持つのも持たないのも、その人の人生。 自分が決めれば良いと思う。 けれど予期せぬ妊娠。 夫は父親になりたいと願い二人の話し合いは平行線。 妻が子供を持ちたくない理由に悶々...
最後まで登場人物に共感出来ずもやっとした物が残った。 「子供はつくらない」と決めている立河沙都子。 子を持つのも持たないのも、その人の人生。 自分が決めれば良いと思う。 けれど予期せぬ妊娠。 夫は父親になりたいと願い二人の話し合いは平行線。 妻が子供を持ちたくない理由に悶々とする。 夫婦の形も色々あって、正解なんてないとは思うものの彼女に「わがまま」を感じてしまう。 そこまで意思が固いのならば何故避妊を徹底しなかったの?とも。 ラジオパーソナリティを仕事にし、リスナーの相談に乗る沙都子だが、私ならこの人には相談したくない。
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主人公の静生がとにかくうだうだしてて、少しイライラする。でも、本人の自覚なしに母親に甘えてる感じとか、そんな兄を見て弟がしっかりしている感じとか、よくあることすぎて共感する。 パートナーの事情を了解得ずに気軽に話しちゃうのもイラッとしたけど、そういうことあるよなぁ。 メインテーマは生と死 子供を産むか産まないか、夫の死後の老後などを含めた全ての人の生き方のお話し。 話は終始重たいけど、重たくなりすぎず読みやすかった。 結局、何を選んでもそれは正解で、後悔しないように生きる、とそれぞれの選択を否定も肯定もしないところが良かった。 お母さんの絵手紙が結構響いたな 「生きてるうちに死ななくちゃ」 「迷ってる場合じゃない。解決する唯一の方法はすぐやること」 「我慢しない。やりたいことをやり続ける。自分を幸せにするのは自分」 「宝物はそれぞれ。宝物の見つけ方もそれぞれ」 「何者になるか。それは自分で選びなさい」
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どんな選択をしてもそれはそれで良いじゃないかと否定的じゃない描き方に好感がもてる。 ほんとうは、もっとガンガン言いあって収集がつかなくなるような展開が多くあって…となりそうなのに上手くまとまっている。 親子関係、夫婦関係ってややこしくなりそうなのになんとなくおさまっている。 悪...
どんな選択をしてもそれはそれで良いじゃないかと否定的じゃない描き方に好感がもてる。 ほんとうは、もっとガンガン言いあって収集がつかなくなるような展開が多くあって…となりそうなのに上手くまとまっている。 親子関係、夫婦関係ってややこしくなりそうなのになんとなくおさまっている。 悪い意味じゃなく、なるようになるってことは良い関係を築けていたんだと思えた。 「生きてるうちに、死なないと」こう言った母の気持ちがわかる年齢になってきた。 だが絵手紙で思いを伝えるほど子どもたちのことを見ているか⁇と言われると全くである。 情けないほどに何を伝えればいいかわからない。 反省しきり、である。
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なんかあるあるすぎて笑えず。配偶者のデリケートな話を平然と共有してしまうとか、親が個人だと認められないとか。なんか男の人に甘いなあと思うけど、まあいっか。
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大学の同級生で付き合い始め、ファミレスチェーン店の店長に就任した勢いで30歳の時に求婚した夫。大手の建設会社に入社し、ラジオのパーソナリティもこなす、会社で初の女性課長代理に昇進した妻。結婚は、子どもは作らず、2人で好きなことを全うしようとした結婚生活9年目。妻に生理が来ないこ...
大学の同級生で付き合い始め、ファミレスチェーン店の店長に就任した勢いで30歳の時に求婚した夫。大手の建設会社に入社し、ラジオのパーソナリティもこなす、会社で初の女性課長代理に昇進した妻。結婚は、子どもは作らず、2人で好きなことを全うしようとした結婚生活9年目。妻に生理が来ないことを告げられ、子どもを持つことに揺れる夫。夫の別居の母親は、腎機能不全から透析の選択を迫られるが、尊厳死を選択し、透析を拒否する。母は父の死後6年が経過し、絵手紙教室で出会ったダンディーな男性が、母子の間を取り持つ微妙な葛藤。 母の急変に、兄弟とその妻達の母に対する思い、各個人の思いが吐露され、多様な価値観が小気味よく展開される。妊娠と尊厳死の2つのテーマに、生死の価値観、アドバンスケアプランニングをどう捉えるかを考えさせられる作品となった。
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