あなたのことが知りたくて の商品レビュー
面白かったです。 特に、「離婚の妖精」「桑原さんの赤色」「ゲンちゃんのこと」「韓国人の女の子」は印象に残る作品です。 女性であるという記号が社会に対して、どれほどの意味を表しているかを刺激的に、そして柔らかに伝えてくれます。 他にも、在日、韓国と日本の間での問題を取り入れる作品た...
面白かったです。 特に、「離婚の妖精」「桑原さんの赤色」「ゲンちゃんのこと」「韓国人の女の子」は印象に残る作品です。 女性であるという記号が社会に対して、どれほどの意味を表しているかを刺激的に、そして柔らかに伝えてくれます。 他にも、在日、韓国と日本の間での問題を取り入れる作品たちに今まで無知、知らなかったことの暴力性を感じました。 作品の中で好きだった言葉は、『名前を忘れた人のこと』高山羽根子さん の「知らないでいようとすることが、表面上は無実に見える弱さと無知と、わずかのやさしさで成り立っていたとしても、この先そんな気持ちを抱えたままであれば、私がいったいどうなってしまうのか、今ももちろん、これからもずっと恐ろしいままだ。」
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チョナムジュの離婚の妖精 松田青子 桑原さんの赤色 の冒頭二作が、とても良い。 女性の間によくある分裂がどういうもので、それを超えたどんな連帯があり得るのかを描いているものとして、すごく、近くて分かる二作。 で、しかし、離婚の妖精、を読んですごく感じてしまうのが、物理的な連帯の...
チョナムジュの離婚の妖精 松田青子 桑原さんの赤色 の冒頭二作が、とても良い。 女性の間によくある分裂がどういうもので、それを超えたどんな連帯があり得るのかを描いているものとして、すごく、近くて分かる二作。 で、しかし、離婚の妖精、を読んですごく感じてしまうのが、物理的な連帯のための条件て明確にお金なのよね、ということだったりもする。
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韓国と日本の作家12人によるアンソロジー短編集。タイトルにフェミニズムと入っているけれど、必ずしもフェミニズムがテーマのばかりではなく、ざっくり言えば、なかなか分かりえない人同士、より一歩踏み込んで、知りたい、分かり合いたいともがいたり模索したりする印象の作品が多かったかも。とは...
韓国と日本の作家12人によるアンソロジー短編集。タイトルにフェミニズムと入っているけれど、必ずしもフェミニズムがテーマのばかりではなく、ざっくり言えば、なかなか分かりえない人同士、より一歩踏み込んで、知りたい、分かり合いたいともがいたり模索したりする印象の作品が多かったかも。とはいえ当然ながら作家一人一人個性が強く出ていて、SF要素、ファンタジー要素があるものもあれば、純文学風、エッセイ風と多種多様。なので、気軽にさらっと読めるスタイルではなく、一つ一つ立ち止まって思わず考えちゃう…ようなそんな作品集でした。 私が良かったなぁ、と思ったのは、 松田青子「桑原さんの赤色」 デュナ「追憶虫」 ハン・ガン「京都、ファサード」 パク・ソルメ「水泳する人」 でした。 桑原さんの赤色はイ・ヨンエ主演のあの映画からですね。それはよく分かりました。
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韓国と日本の作家による短編を6作ずつ収録。女性をめぐること、日本の中の韓国、があぶり出される一冊。あきらめを経た怒りや、自分の周りの社会を初めて俯瞰したときの驚きが鮮やかにつづられている。 『桑原さんの赤色』(松田青子)、『韓国人の女の子』(西加奈子)、『水泳する人』(パク・ソル...
韓国と日本の作家による短編を6作ずつ収録。女性をめぐること、日本の中の韓国、があぶり出される一冊。あきらめを経た怒りや、自分の周りの社会を初めて俯瞰したときの驚きが鮮やかにつづられている。 『桑原さんの赤色』(松田青子)、『韓国人の女の子』(西加奈子)、『水泳する人』(パク・ソルメ)あたりが良かった。
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韓国と日本人作家の短編集で読んだことのある作家さん多かったので手に取った。 全ての話は「わたし」と「あなた」をベースにシンプルな物語が多く、フェミニズム全面に出している話の方が少なかった。 前半は面白かったが、特に印象に残っている話もなければ途中の話が韓国ならではのファンタジー要...
韓国と日本人作家の短編集で読んだことのある作家さん多かったので手に取った。 全ての話は「わたし」と「あなた」をベースにシンプルな物語が多く、フェミニズム全面に出している話の方が少なかった。 前半は面白かったが、特に印象に残っている話もなければ途中の話が韓国ならではのファンタジー要素強めだったりあまり理解できなかった。 期待値が高かった分少しがっかり感があったためこの星の数にした。
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先生はあのとき、我々が学ぶことを望み、何ごとかを知ろうと望むならば、そのためにはもしかすると一方の腕を差し出すことになるのかもしれないのだと言っていた。 学ぶということの本質は実に、そういうことなのかもしれないのですと。
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話によって、って感じかな。 どんなカテゴリーがあったとしても、自分自身はフラットな視線を忘れずにいたいなと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『文藝』2019年秋季号「韓国・フェミニズム・日本」特集に寄せられた小説に、単行本刊行時に書き下ろされた作品と初邦訳作品を加えて再編集されたもの。 差別や分断、抑圧などを絡め取った物語によって、生活の中にある私自身の違和感を考える。結局は自分が求めていたものをこの本から見出すことになるのだろうけど、様々な作家さんの様々な視点を読めるのは、アンソロジーならではのとてもいい読書体験だと思う。 倉本さおりさんの解説もよかった。「連帯」や「シスターフッド」という言葉の前提として、『「私たち」を別個に存在する無数の「私」たちと理解』して、その上で共に在ること。 松田青子『桑原さんの赤色』、デュナ『追憶虫』、パク・ミンギュ『デウス・エクス・マキナ deus ex machina』、高山羽根子『名前を忘れた人のこと Unknown Man』、パク・ソルメ『水泳する人』、星野智幸『モミチョアヨ』がお気に入り。 『桑原さんの赤色』「女性募集」という言葉に含まれる暗黙の条件によって奪われるもの。 『追憶虫』この作品からSFもあることを意識する。脳に寄生し繁殖、子孫はまた他の人へ寄生するが、人体への影響は前の宿主の記憶の一部が自分の記憶に交じって思い起こされること。面白い設定。 『デウス・エクス・マキナ』突然降りてきた巨大なおっさんみたいな人型のものを前に、急に1つにまとまる世界が滑稽。「こっち側」と、敵もしくは得体の知れないものの「あっち側」。 『名前を忘れた人のこと』『知らないでいることが、表面上は無実に思える弱さと無知と、わずかのやさしさで成り立っていたとしても、この先そんな気持ちを抱えたままであれば、私がいったいどうなってしまうのか、今ももちろん、これからもずっと恐ろしいままだ。』 『水泳する人』一番好きかもしれない。語感。『どうにか年をとり、何かを引き受け、どうにもできないことをやると仮定し、やったと信じて、ときには何かが決定されることもあって、そうやって生きていくんだよね?』 『モミチョアヨ』一人称についてかなり考えた。潜在的なホモソーシャル。
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ハン・ガン目当てに購入したけど他の韓国作家の作品も面白かった。日本作家は身近な韓国人との出会いとか韓国を訪れたときを題材にした作品が多かったのに対して韓国作家は日常に溶け込んだSF作品が多かったのが興味深かった。面白かったなと思ったのは韓国作家の方です。 印象としては、ハン・ガ...
ハン・ガン目当てに購入したけど他の韓国作家の作品も面白かった。日本作家は身近な韓国人との出会いとか韓国を訪れたときを題材にした作品が多かったのに対して韓国作家は日常に溶け込んだSF作品が多かったのが興味深かった。面白かったなと思ったのは韓国作家の方です。 印象としては、ハン・ガンはさすが、パク・ソルメもさすが、デュナの作品もっと読みたいという感じでした。
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よく知っている世界のお話のようで、でも何となく違和感を感じたり、全く思いもよらないところに連れていかれたり、不思議な読後感。
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