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キツネ潰し の商品レビュー

3.8

13件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

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2024/09/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

非常に興味深かった。 過去に人々が熱狂し、楽しんだものの、 現代には伝わらず消えてしまったスポーツについての本。 スポーツは 「気晴らし、楽しませる、喜ぶ」 を意味するものが語源となっていて、 現代のスポーツのように明確なルールに則って行われるものばかりではなかったようだ。 そして、一時期流行ったものの消滅していったスポーツは、 たいてい「残酷、危険、ばかばかしい」のどれかに当てはまる。 そして残酷な要素をもつものがかなり多いのだが、 以前、古代の遊びについての本を読んだ時も、 同じように、残酷だったり危険だったりするものが多かったように記憶している(子供の遊びの方はこれに加えて「不衛生」という要素も加わる)。 残酷なスポーツは主に動物を虐待するようなものだが そもそも動物虐待という観念がごく最近のものであり、 当時の人々にとっては数少ない貴重な娯楽だったことだろう。 そして為政者にとっても、民衆の鬱憤のガス抜きや支持率向上のために、 君主主導でこのような一種のお祭り騒ぎを定期的に行うことは必要だったのかもしれない。 この本のタイトルである「キツネ潰し」、まず名前がショッキングであるが、 内容もまぁまぁ酷く、 長くて細い布等の両端をペアの人間がそれぞれ持ち、 その上をキツネが通りかかったら勢いよく引っ張ってキツネを空中高く放り投げ、地面に叩きつけるというもの。 これを主に宮殿等の広場で、大勢の貴族が隙間なく並び、やっていた(女性も)とのこと。 外国ではキツネを毛布に載せ、周りを人間たちが持って、手動のトランポリンのように放り投げ、キツネが死ぬまで続けるという豊穣の儀式があったそうなので おそらく当時の人々にとってはなんの抵抗もなかったことが伺える。 宮殿でのキツネ潰しでは 落下したキツネが一回で死なないように、地面にはおがくずを敷き詰めたそうだから、 ひとおもいに楽にしてやろうとかいう考えは全くなく、純粋に楽しんでいたことがわかる。 ところでイギリスで大流行した「熊いじめ」(19世紀まで行われていた)、こちらには結構詳細な内容が載っていた。 杭に繋がれた熊は、犬をけしかけられる前にあらかじめ爪と犬歯が抜かれていたそうだ。 育てた熊を標的にするというとアイヌのイヨマンテが咄嗟に頭に浮かんだが、イヨマンテと熊いじめでは性質が全く異なる。 イヨマンテの方は完全に神聖な儀式で、祈りを捧げ熊を神の使いと崇めているというものが根底にあるが、 イギリスにおける熊いじめは完全に娯楽であるということで、一瞬でも同じ要素を感じたのすら失礼だなと我ながら反省。 本書は残酷なものが比較的多かったが、思わずツッコミたくなるようなおもしろい(バカバカしい)ものもいくつも紹介されているので それらが本の雰囲気を和ませているようにも感じた。 バカバカしいものについては、 これちょっと改良して今やったら地域振興とかイベントに使えるんじゃ??というものもあるように思えた。 それにしても、これだけの量をよく調べて集めたものだと感心する。 民俗学・風俗史の観点からも非常に価値があるのではないだろうか。 図書館で借りたが、自宅用に購入したい一冊。

Posted byブクログ

2023/09/18

『キツネ潰し』という言葉のインパクトに惹かれ、そして、その言葉と全くイメージが結びつかない『スポーツ』であるという紹介。好奇心をこちょこちょくすぐられて購入。 率直にまずは何と言っても、よくぞまあこれだけの妙で変でロクでもないアクティビティの数々を文献から見つけ出してまとめられ...

『キツネ潰し』という言葉のインパクトに惹かれ、そして、その言葉と全くイメージが結びつかない『スポーツ』であるという紹介。好奇心をこちょこちょくすぐられて購入。 率直にまずは何と言っても、よくぞまあこれだけの妙で変でロクでもないアクティビティの数々を文献から見つけ出してまとめられたなあ、という点に尽きる。著者略歴によると、ヒッチング氏は元々古書や奇書の蒐集家であり、アンティークや古地図に囲まれて暮らしているとはあるがこんな事にも関心があったのだろうか? 肝心のスポーツ(?)についてはどれもこれもひどいのだが、やはり動物が憂き目に遭うようなものが目立つ。というか、〈金魚飲み〉(p141〜p143)はスポーツと呼んで良いのかどうかも怪しい気がするが。動物系の内で比較的のどかなものに〈シカのレース〉(p254〜p256)があり、考案したティム夫妻もおそらく真剣だったと思うのだが、残念ながらシカの性格上うまくはいかなかった。どこかの観光地でやってそうな気もするけどなあ。 その他の残酷・危険系についての感想はいずれも似たり寄ったり、危ないなあという感じ。 そこを除くと、〈氷上テニス〉(p168〜p170)なんかはワンチャン復活の可能性を秘めているのでは。ちょっと『たけしのお笑いウルトラクイズ』臭がしなくもないが。 ムダ知識の範疇を超える事はない、スポーツ・エンタメ雑学集という感じ。 ’共通普遍の認識としての動物愛護の精神’っていつ頃から、誰が訴え出したのだろうか?という事が気になった。 1刷 2023.9.18

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2023/09/15

変なスポーツについて集め、紹介した本。 このような歴史があったからこそ、動物愛護運動が盛んなのかもしれない。 競歩も紹介されていた。よく考えると変わったスポーツだ。

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2023/07/27

タイトルから想像して「中世のとんでもねぇ娯楽が紹介されてんのか」と期待してたんですが、まぁそうですね。結構早い段階で息切れを感じる内容でした。

Posted byブクログ

2023/05/08

これってスポーツ?という様な動物虐待の見世物が多い。人間というのは本性残酷なものかとも思えるラインナップ。 でも中には面白いものもあり、竹馬の競走やスキーバレーなんかはあってもいいのでは?

Posted byブクログ

2023/04/29

「キツネ」と「潰し」この二つの語が合成される意外性。なんとパワーのあるタイトルだろうか。英語だと「キツネ投げ」の方が正確な訳だけど、「潰し」を採用した訳者に拍手を送りたい。 ちなみに英語の原題ではその後「タコ・レスリング」と続く。こちらも日本語版の副題に入れて欲しかった。 前書...

「キツネ」と「潰し」この二つの語が合成される意外性。なんとパワーのあるタイトルだろうか。英語だと「キツネ投げ」の方が正確な訳だけど、「潰し」を採用した訳者に拍手を送りたい。 ちなみに英語の原題ではその後「タコ・レスリング」と続く。こちらも日本語版の副題に入れて欲しかった。 前書きの中で、紹介した現代では廃れてしまったスポーツ(死競技?)はおおむね「危険」「残酷」「バカバカしい」に大別される、と述べられている。勿論二つ以上の条件に当てはまるものもあるけれど、本当にその通りだった。(「金魚飲み」なんかはその全てに当てはまる) 「危険」は文字通り生命や身体の危険が大きすぎるもの。「オートポロ」「バルーン・ジャンピング」「花火ボクシング」など。 「残酷」は動物虐待系。タイトルにある「キツネ潰し」をはじめ、「クマいじめ」「野鳥たたき」「猫入り樽たたき」「リス落とし」「カワウソ狩り」など名前からして酷い。 「バカバカしい」ものはそれそもそもスポーツか?とツッコミたくなるようなものも多い。「ろうそく釣り」「ポールシッティング」「水上三脚」「ピッチングマシン砲」など。 人類史の中のアホな側面を見れてとても面白いのだけれど、過去の話に限ったことではないなと思った。現在でも人が死ぬ危険な競技はいくつもあるし、闘牛や闘犬のように動物虐待が競技として生き残っているものもある(娯楽の為のハンティング、スポーツハンティングもそうだ)。バカバカしいものは、「チェス・ボクシング」などマイナーなものに目を向ければ枚挙にいとまがないだろう(以前、ハイヒール100m走というのをネットで見たことがある)。 マイナースポーツに限らずメジャーなものでも、時の変遷を経ることで今後評価が変わることもあるに違いない。 100年後にこの『キツネ潰し』のような、忘れられたスポーツ事典が出版された時、そこにどんな項目が追加されているのだろうかと夢想する。 本の構成としては、全ての項目がランダムに紹介されてたので、上記の3つのカテゴリに分けるとか種目のジャンルで分けるとか年代で分けるとかしてるとより良かったかな、と思う。あと、スポーツ名称は原文併記してほしかった。「キツネ投げ」→「キツネ潰し」のような意訳がきっと他にもあったはず。 あと事例が欧米圏に偏っていたので、続編があればぜひ非欧米圏を中心に取り扱ってほしい。

Posted byブクログ

2023/03/17

面白かったのは、「はじめに」の部分。その後は、時代も場所もバラバラに事例が羅列されている。事例紹介の文章自体は軽妙で悪くないが、50ページほど読んだあたりで飽きた。スポーツというよりは動物虐待遊びでしかないものが事例の半数近くを占めるのではないかという印象だ。ところどころ面白いと...

面白かったのは、「はじめに」の部分。その後は、時代も場所もバラバラに事例が羅列されている。事例紹介の文章自体は軽妙で悪くないが、50ページほど読んだあたりで飽きた。スポーツというよりは動物虐待遊びでしかないものが事例の半数近くを占めるのではないかという印象だ。ところどころ面白いと思うところはあるのだが、最後まで読むには忍耐が必要だった。

Posted byブクログ

2023/01/14

爆笑とドン引きを繰り返しながら読む。それにしても中世ヨーロッパの残虐性は何なのか?ルールとは何かも考えさせられる。日本版が出来たらどんなものがあるのか?興味はつきない。

Posted byブクログ

2022/11/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

キツネ潰し 誰も覚えていない、 奇妙で残酷で間抜けなスポーツ 著者:エドワード・ブルック=ヒッチング 訳者:片山美佳子 発行:2022年8月8日 日経ナショナルジオグラフィック 副題にもあるように、今はないか、ほとんど行われていないようなスポーツとかゲームとかを100ほど紹介している。笑えるような間抜けなものが結構あるのだけれど、動物を使う者が多く、そのほとんどが動物虐待を伴う。間抜けなのは、そんなことを楽しんでいた人間そのものに他ならない。 例えば、タイトルになっている「キツネ潰し」(Fox Tossing)は、囲いのある競技場に細長い布か綱を何本も置いておき、両端を人間が持つ。そこへ多くのキツネが放たれる。キツネがその上に乗ったタイミングで持っている人間が布を上に持ち上げ、キツネを空高く布で放り投げる。7メートル以上の高さにまでキツネが達することも珍しくなかった。キツネは足から着地しようと必死にもがくが、その仕草を見るのが人々の楽しみの一つだという。しかし、落ちたキツネは当然ダメージを受ける。キツネは邪悪な冬の精霊の象徴だと思われていたので、死ぬまで繰り返された。ドイツで行われていたようだ。もちろん、キツネにとどまらず、他の動物でも行われていた。 人間版もあったようだ。「人間投げ」。投げられる人は広いシーツに横になり、大勢(通常16人)の男たちがシーツの端をつかみ、シーツの上に1袋分の工具や丸太、石など重いものを入れ、上下させて人とともになんども上に放り投げる。彼らが疲れるまでそれはつづく。遊びから始まり、罰の一種になったように書かれている。 受刑者を大勢競技場に入れ、そこにライオンなどの猛獣を放って襲わせる見世物では、襲われる前に自殺をする者が続出。また、死刑囚や戦争捕虜同士を海賊にみたてて殺し合わせる競技も行われていた。 一方、後ろ手に縛られた〝選手〟の口の中に、雀の羽根だけを突っ込み、選手は口の動きだけで雀の頭を口の中に入れるという「スズメもぐもぐ」などという間抜けでひどいお祭りの競技も。雀は抵抗して必死つつく、選手の口の周りは血まみれになる、という具合。 100近くのスポーツやゲームを、辞書のように項目立てして短く説明しているので、読んでいても退屈する。ラジオで珍しいトピックを紹介する番組構成をしていたときには、この手の資料を揃えて、クイズを作ったりしていたが、普通に読書するにはしんどいし、退屈。 面白くなかった。どうしてこんな本が話題の本になっているのだろうか。時間の無駄遣いをしてしまった。

Posted byブクログ

2022/10/23

昔の人間は野蛮で粗野であったのだなぁ。 現代も色々なひとがいるが、この本を読むと、だいぶ洗練されたんだなと思う。 情報量も多く、資料として良いものだとは思う。 が、掲載順がランダムであり歴史が把握しづらい。おそらく通して読む際に飽きないようにとの配慮なんだと思うが、年代も種類も系...

昔の人間は野蛮で粗野であったのだなぁ。 現代も色々なひとがいるが、この本を読むと、だいぶ洗練されたんだなと思う。 情報量も多く、資料として良いものだとは思う。 が、掲載順がランダムであり歴史が把握しづらい。おそらく通して読む際に飽きないようにとの配慮なんだと思うが、年代も種類も系統立っていないし、記述も統一されていない。すなわちまあ、エンタメ的な読み物として作っているのだろうけど、だとすると似通ったものも多くボリュームがあり過ぎる。 できれば年代順に並べて、人類の文化の洗練されていく過程を感じたり、こんな時代にまだこんな馬鹿なことをしていたのかという風な読み方をしたかった。 ちなみに収録されるスポーツ(と本書では呼んでいるが、アクティビティと言った方がしっくりくるかな)は,エクストリームチャレンジ系と動物虐待系に大別されるが、動物虐待系はだいぶ酷い内容なので、デリケートな方は注意されたし。まあタイトルがこれなのでダメな人はそもそも読まないとは思うが。逆に変に伏せたりせずに記述することで、現代人が持ち合わせない残虐性を昔の人は普遍的に持っていたという事実がわかりやすい。 ちなみに表紙を見るとキツネ潰しの原題は Fox tossingなので、正確にはキツネ揚げのような感じだと思う。インパクトのある意訳を採用したのは別に悪くないと思うが、おそらく本文中の他のスポーツ名もかなりの意訳だと思われるので、できれば原文の名称も併記してもらえるとよかった。

Posted byブクログ