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夜のエレベーター の商品レビュー

3.6

8件のお客様レビュー

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2024/03/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

フランスの作家、フレデリック・ダールの作品。1960年代の作品?映画もあるよう。 クリスマスイヴの夜、久しぶりに地元に帰ってきた「ぼく」は、レストランで大事な人に似た母娘を見る。声をかけると家に招待され。。。 登場人物も少なく、中編くらいの長さで非常にサクッと読める作品。仕掛けはすぐにわかると思うが、フランスミステリらしく語り手も信用できないため、ラストまで気が抜けない。さすがに古さは感じられるが、非常に完成度の高い作品。 あと、なんでこんなにナンパして成功するんだろうかと笑

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2023/12/17

読み応えあるミステリーでありつつ、ヨーロッパのキラキラした情景が浮かぶ! 翻訳されてるの7冊あるらしいので残りも読みたい

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2023/05/22

200ページちょっとと短め。ミステリーを楽しむというより、会話や雰囲気を味わう本。終わりかたは含みを持たせていてよかった。物語の内容とは違うけど、著者は綿密な設計図が必要なダールの作品と、娯楽的でありいくらでも執筆できるサンアントニオシリーズの二重の作家生活を送っていたけれど、い...

200ページちょっとと短め。ミステリーを楽しむというより、会話や雰囲気を味わう本。終わりかたは含みを持たせていてよかった。物語の内容とは違うけど、著者は綿密な設計図が必要なダールの作品と、娯楽的でありいくらでも執筆できるサンアントニオシリーズの二重の作家生活を送っていたけれど、いつしか簡単に書けてお金になるサンアントニオシリーズのみ執筆するようになったそう。サン・アントニオ警視がフレデリック・ダールという稀有なサスペンス作家を殺したと書かれていたのが印象深かった。

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2023/02/10

図書館で何となく気になって手に取った本。 原書は1961年刊行ということなので、もう60年以上前の作品になる。 何故今頃邦訳版が?という疑問は置いておいて、読みやすくてスイスイ行けた(と言ってもなかなか時間がとれなくて、読み終わるのに5日間ほど掛かったが)。 登場人物は少ない。...

図書館で何となく気になって手に取った本。 原書は1961年刊行ということなので、もう60年以上前の作品になる。 何故今頃邦訳版が?という疑問は置いておいて、読みやすくてスイスイ行けた(と言ってもなかなか時間がとれなくて、読み終わるのに5日間ほど掛かったが)。 登場人物は少ない。 主人公のアルベール・エルバンはクリスマスイブに、6年ぶりにパリに帰って来る。彼の母はその間に死んでおり、共に暮らしたアパートは廃墟同然。孤独を抱えたまま街のレストランに入ると、幼い娘を連れた美しい女性・ドラヴェ夫人に出会う。彼女はアルベールがかつて愛した女性に似ていた。 アルベールの母親の死が物語に関係しているのか、アルベールの過去の恋が物語のキーワードになるのかと思っていたら、ドラヴェ夫人の自宅を舞台に、まるでループ物のような物語が展開していく。 この辺りのからくりについてはある程度予想が付くのだが、問題はドラヴェ夫人の狙いとアルベールの運命。 更にはフェリーという第三の人物も出てくる。 読み終えてみればフランスっぽい話。 クリスマスだからか分からないが、何故こんなに恋に突進してしまうのか。フェリーに至っては奥さんが出産で入院中だというのに。 自業自得とも皮肉とも残酷とも受け取れる物語。 それにしてもこんなクリスマスは嫌だな。 ドラヴェ夫人にとっては違うかも知れないが。

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2023/01/19

偶然に出会った子連れの女性との運命の恋が、思わぬ方向に転がっていく。もはや伝統芸の域に達しているプロット。良くも悪くも「気の利いた映画を観たなあ」といった読後感。200ページほどの分量を1時間で読み終えてしまった。 実際のところ小説の内容よりも、巻末解説で中条省平さんが解説され...

偶然に出会った子連れの女性との運命の恋が、思わぬ方向に転がっていく。もはや伝統芸の域に達しているプロット。良くも悪くも「気の利いた映画を観たなあ」といった読後感。200ページほどの分量を1時間で読み終えてしまった。 実際のところ小説の内容よりも、巻末解説で中条省平さんが解説されている“翻訳書”としての本書の出版経緯が面白い。もともと翻訳者の長島良三さんが、この『夜のエレベーター』を自主的に翻訳されていて、表に出ていなかったものを出版に漕ぎ着けたのが、この作品なんだとか。

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2022/12/28

これはミステリーなのか?と半信半疑だったのですが、中盤から事件が起き、あれよあれよと読み終えてしまいました。あーあ。。という感想(笑)面白かったです!ちょっぴりダークなクリスマスを楽しみたい方はぜひw

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2022/09/01

 これは不思議な本だ! というのが第一印象。読み始めると引きずり込まれてしまい、二時間ほどで読み終えてしまった。登場人物も少ないし、物語もさして複雑ではない。ただ、やたら謎めいて先が見えないだけだ。  一人称文体による主人公の怪しげな帰宅で、物語は始まる。どうやら主人公の「ぼく...

 これは不思議な本だ! というのが第一印象。読み始めると引きずり込まれてしまい、二時間ほどで読み終えてしまった。登場人物も少ないし、物語もさして複雑ではない。ただ、やたら謎めいて先が見えないだけだ。  一人称文体による主人公の怪しげな帰宅で、物語は始まる。どうやら主人公の「ぼく」は、生前の母親が暮らしていたという実家に数年ぶりに戻ってきた孤らしい。「ぼく」は空っぽの家の中で、ひとしきり母親の想い出に浸って、それから、光に満ちた街へと足を踏み出す。謎だらけの「ぼく」は、ビアホールで子連れの見知らぬ女性と出会う。  そして闇に引きずり込まれるようにして、「ぼく」は、映画館でその母子と隣り合った席に座り映画を観る。そして母子のアパルトマンへ誘われ、本書のタイトルともなっている<エレベーター>に乗る。子連れの女性は何者で、一体何をしようとしているのか? そもそも「ぼく」とは、どこから来た何者であるのか? いろいろな事実が語られぬままの不安定な状況は続き、物語は徐々にダークなサイドへと滑り落ちてゆく。  作者フレデリック・ダールは、フランスの明るいシリーズで名を成した人気作家サン・アントニオの別名義。邦訳はハヤカワミステリなどで7作ほどにとどまるが、フランスでは何百冊という作者と同名のサン・アントニオ・シリーズがベストセラーであるそうだ。それに比してフレデリック・ダール名義で書かれた、数少ないまるで異なる味わいのサスペンスもまた出色の作品が眠っていたらしい。  なぜこの古い作品(1961年フランスで刊行)が、今になって出版されたのか? 当然そうした興味深い疑問が生まれる。ましてや翻訳者だって、2013年に亡くなっている。何故だ?  その疑問には、実は巻末解説が答えてくれていた。翻訳者は、生前、この作品を気に入って出版の宛てもないまま自主翻訳をしていたらしい。そして、その翻訳原稿が、実は最近になって発見されたということらしい。それだけでも珍しい貴重な出来事であるし、作品にとっても日本の読者にとっても幸運なことだと思う。  本書を三分の一ほど読んだところで、「ぼく」の正体がわかり、そこで作品はいきなり別の色あいを帯びることになる。そして後半は、騙し絵に騙し絵を重ねたようなトリックが連続する。上へ下へのエレベーターの動きとともに、作中時間は強烈な犯罪の匂いに満ちてゆく。  ダークである。ノワールである。ヒッチコック映画みたいに誰もがこの作品の語りに引き込まれてゆくに違いない。  小編だが、実にぴりりと来る刺激的作品。これぞフレンチノワール。さあ、タイムマシンに乗ろう。是非とも1960年代初頭のダークサイドを覗いて頂きたい。さあ、「夜のエレベーター」に乗ろう。

Posted byブクログ

2022/08/11

『今わかっているだけで、数ヶ所ちょっと間違いを残してしまいました。読んでいてわかる誤植なんかもありまして、本当に申し訳ない。 恥ずかしいので、ぜひ皆さんで買っていただいてですね、増刷に結びつけていただければ、直すことができますので、よろしくお願いします。』 (担当編集者・談) ...

『今わかっているだけで、数ヶ所ちょっと間違いを残してしまいました。読んでいてわかる誤植なんかもありまして、本当に申し訳ない。 恥ずかしいので、ぜひ皆さんで買っていただいてですね、増刷に結びつけていただければ、直すことができますので、よろしくお願いします。』 (担当編集者・談) 2022年8月7日のことである。 翻訳ミステリー読書会YouTubeライブにて、 出版社の編集者たちが自社のイチオシ作品を紹介する企画があった。 その扶桑社からの紹介が、冒頭の言である。 自らの”やらかし”を、宣伝文句にするだなんて! 私は仰天して――そして、買おうと決意した。 鷲掴みにされたのである。 読みながらつくづく思ったのは、フランスだなあ・・・・・・だった。 出てくる人々が、皆、愛(アモーレ)を忘れない。 恋、情熱、性愛、火遊び・・・・・・ ごく自然に、息をするように、”男女の妙”が見え隠れする。 『パリ郊外の町、ルヴァロアの狭い通りという通りは、楽しそうな人たちでいっぱいだった。彼らはレヴェイヨンの計画をそれぞれ胸に抱いて職場を出ると、牡蠣売りの屋台へと急いだ。だぶだぶの船員のセーターに身を包んだこれらの牡蠣売りたちは、数珠つなぎの色とりどりの電球の下で、牡蠣の殻から中身を取り出している。』(12頁) 町のキラキラした賑わいの中で、主人公の心は晴れないでいる。 彼には、レヴェイヨン(クリスマス・イヴの深夜にとる祝いの食事)の計画もない。 クリスマスということを忘れていたのだ。 なぜなら――と、この物語ははじまる。 冒頭の誤字脱字誤植のたぐいを、私は、ただの一つも見つけることができなかった! そこそこ得意だと自負していたのに、である。 これからどうなる? どうなってしまう?! 先がとにかく気になったのと、いたく読みやすい文章だったので、がーっと、一気に読みきってしまった。 つまり、面白かったのだ! お薦めである。

Posted byブクログ