キリンの首 の商品レビュー
旧東ドイツで廃校を控える学校が舞台。陰鬱な空気が流れる中、頑固な生物教師の脳内の音声を次々と聞かされる。 不思議な感じと読後感を与える小説だった。
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2025.12.2 読了。 1983年発刊、42年前の本。 図書館に無し。福岡市立図書館より取り寄せ。 生物は熱力学第二法則(物質は無秩序を高める方向に推移する)に反している。 すなわち、エントロピー拡大の法則に逆行してエントロピーを減らす方向にて向かう。 生物は自己再生能力...
2025.12.2 読了。 1983年発刊、42年前の本。 図書館に無し。福岡市立図書館より取り寄せ。 生物は熱力学第二法則(物質は無秩序を高める方向に推移する)に反している。 すなわち、エントロピー拡大の法則に逆行してエントロピーを減らす方向にて向かう。 生物は自己再生能力を備えている、これにより今日の自分は昨日の自分と同じ自分であると感じられるのである。 太陽のエネルギーを取り込むことで生物は各種階層秩序を増大させてきた。 しかし、太陽が廃車置き場をどれだけ照らしても、錆びた廃車は新車には戻らない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
骨の髄まで「教師」であるインゲ・ローマルクは、生物教師だ。 生物学的に正しいと思われること、自然法則を理性的に淡々と語っていく。 彼女の視点はドライで、そのストレートな物言いが逆におかしさを感じる部分でもあった。 しかし、全体に張り詰めたような神経質な緊張感を感じた。 何かが起きたらぶつりと糸が切れてしまいそうな、息が詰まるような閉塞感。 それが作品全体に漂っていた。 過疎化が進み、四年後に廃校となることが決まっているギムナジウム。 その中で、何かが起きることを望んでいる生徒たち。 インゲ自身も、それを望んでいた。 何かが起きて、劇的に変わることを。 そして彼女は「首まで水に浸かっている」状態になった。 首の長さが命取りになる状態。 キリンの首と同じだ。 努力が足りなかったキリンは、短い首のまま死んでいった。 インゲが今後「生き残る」かどうかは、私たちは想像することしかできない。 『外国語版のためのあとがき』で、筆者はこの作品を「教養小説」であると書いている。 . 『キリンの首』は教養小説(ビルドゥングスロマン)です。 十八世紀末にドイツで成立した文学ジャンルである教養小説・発展小説(エントヴィクルングスロマン)の法則性と関係しているからです。しかし、私の小説はこのジャンルの特徴を逆にしています。古典的な教養・発展小説では、広い世界に出かけていって心と魂の修養を積むのは、つねに若い男性です。しかし、ここでは五十歳代なかばの女性が、工業化の遅れた、しだいに過疎化の進む故郷にとどまります。彼女は広い教養を身につけており、非常に豊富な知識をもっていますが、その知識は心の奥底で彼女をたえず追い立てているものを解決するにはあまり役に立ちません。こうした実験的な構想自体がすでに、教養・発展小説という枠組みを根底から問い直すものです。なぜならとりわけ生物学が教えてくれるように、発展あるいは進化とは、すなわち進歩であると誤解されてはならないからです。はたしてインゲ・ローマルクは、物語のなかで進化、発展をとげたのでしょうか。その問いに対する答えは、読者一人ひとりが見つけなければなりません。(P229) . 古典的なパターンではないが、変化を描いた小説であるという点で、この小説は「教養小説」であると私も思う。 インゲは頑なで、信念をなかなか曲げない。 しかし少しずつ、確実に、彼女は変化していた。 認めたくない事実が頭から離れず、ぐるぐると思考が回る、その状態こそが変化だと言えると思う。 時代背景・教育制度の違いが非常に興味深かった。 インゲの思考は私自身の思考とは全く違うもので、その点もたいへん面白かった。 書店でたまたま見つけて、レビューや評価を調べずに、表紙と帯の情報だけで購入した本だった。 このような買い方は久しぶりで、書店での出会いのワクワク感をじっくり味わうことができた。
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装丁が素敵な本!飾りたいようなおしゃれさ。 個人的には途中まで話題がとっ散らかって目が滑ったり眠くなって読みづらかった… 終盤には主要などの話題も回収されてすっきりした。 進化の過程的には弱いものは淘汰されるべきで、教師という自分の立場的にもいじめなどに介入するべきではないと...
装丁が素敵な本!飾りたいようなおしゃれさ。 個人的には途中まで話題がとっ散らかって目が滑ったり眠くなって読みづらかった… 終盤には主要などの話題も回収されてすっきりした。 進化の過程的には弱いものは淘汰されるべきで、教師という自分の立場的にもいじめなどに介入するべきではないとする主人公。 それはそれで信念を持ってはいて、完全に否定されるべきではないと私は思ってしまう。 教育でも厳しさより優しさが大事とされ(ている気がす)る今、その考えを多くの人と共有するのは難しいだろうし、主人公も立場が難しくなっている。 ドイツには全く詳しくないためわからないままスルーした単語や描写も多くあるが、生物学については以前小林朋道先生の本で少し触れたため身近に感じられた。 どの程度人間以外の動植物を保護するかなど、専門家でもみんな意見が違うところもあるんだろうな。
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人間は常に課題を背負っている これが表題を導き、物語と彼女を救った気がします… 生物学の見識で生徒の行動を俯瞰した描写は 学者肌の主人公の考察として面白い 娘がいじめに遭ってもドライで情け容赦ない対応は教師の堅持にして恐ろしい
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インゲに共感できるところと、理解できないところと、まだらな気持ちになってしまい、終始、著者がインゲについて読者にどう感じて欲しいと思っているのか(好きになって欲しいのかどうか)分からないまま読み終え、後書きを読み、どちらの側へ導くわけでもなく、ニュートラルな立ち位置に立っている様...
インゲに共感できるところと、理解できないところと、まだらな気持ちになってしまい、終始、著者がインゲについて読者にどう感じて欲しいと思っているのか(好きになって欲しいのかどうか)分からないまま読み終え、後書きを読み、どちらの側へ導くわけでもなく、ニュートラルな立ち位置に立っている様子でなんだかホッとするところもあった。 次第にインゲの思考の強弱が分かってくると、 生物学の揺るぎない知識の中で守られつつも、気持ちが揺らぐポイントや、変わらないつもりでも、確実に自分自身も進化の営みに晒されて揺れる様子などが、ちょっと切ない。 東西の統一で起こってきている教育現場の変化の兆しと変われないインゲを代表とする東的な教育者たちなどの様子は、今の日本の現状にも通ずるところがあり胸が痛かった。 図版はとても美しくて見惚れた。
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変化を拒否する生物の教師が、進化論を子どもたちに伝えていく。教室では教師(それも教科のみ)に徹し、人としては接しない。 そんな主人公を中心に教育とは? 進化とは何かを問う。タイトルもいいねぇ。
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ドイツにあるバカロレア(高校卒業国家試験資格なんだね?大学に行くための資格と思っていたよ)受験のための中学校の教師の日常。生物の先生で不必要に我々にも図版付きで貴重な(しかし日常生活には役立たない)知識を披露してくれる。絶滅してきた生物。それは生き延びるには不利な遺伝子であった。...
ドイツにあるバカロレア(高校卒業国家試験資格なんだね?大学に行くための資格と思っていたよ)受験のための中学校の教師の日常。生物の先生で不必要に我々にも図版付きで貴重な(しかし日常生活には役立たない)知識を披露してくれる。絶滅してきた生物。それは生き延びるには不利な遺伝子であった。現在自分が受け持っているクラスにて女子生徒が結構あからさまないじめを受けていた。もちろん認識している。しかし教師が執着するのは別の生徒であり、そのいじめられっこに関しては「弱いものは滅びるんだぜ」とばかりに放置。そういう話なのか? なんか自分にはぽかーん作品でした。
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東ドイツの生物学教師インゲ・ローマルクは、生徒たちや教師仲間との軋轢、不満に悪口三昧。ダチョウにかまける夫、寄り付かない娘への諦めと静かな怒りに日々苛まされている。その批判が生物学的に筋道が立っていたり、彼女なりの信念理屈に基づいているのが面白い。 挿画も色々楽しめる。
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旧東ドイツ地域の生物学の教師が主人公で、進化論に関する内容もあるが主には心の中で毒づいている話。世界各国でベストセラーらしいが、翻訳書のためか読みづらく、述べたいことがよくわからなかった。
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