ホットミルク の商品レビュー
250103*読了 国籍をどうこう言いたいわけではなくても、この小説は日本で生まれ育った作家には到底書けないであろうと思う。 最後までなぜこの小説が「ホットミルク」というタイトルなのか、明確な答えを得られずにいた。そのわからなさが、この本自体を貫いている。 母の呪縛を背負う娘とい...
250103*読了 国籍をどうこう言いたいわけではなくても、この小説は日本で生まれ育った作家には到底書けないであろうと思う。 最後までなぜこの小説が「ホットミルク」というタイトルなのか、明確な答えを得られずにいた。そのわからなさが、この本自体を貫いている。 母の呪縛を背負う娘というのはよくあるテーマかもしれないけれど、娘が母から解放されるまでの単純なストーリーでもなくて、周辺の人々とのやりとりや関係性が強烈でそちらに気が向いてしまう。 ギリシャ人の血を引きながらギリシャ語は話せず、それなのにパパステルギアディスなんて、この先こんな苗字の登場人物には出会わないだろうと思えるインパクトのある名前を名乗り続ける主人公、ソフィア。 母の病気の治療のために母娘二人でスペインに赴き、これもまた個性的な医者とその娘である臨床技師とかかわりを持つ。 さらにソフィアはイングリッドという女性とも、海の家の男性とも関係を持ち、進路もセクシュアリティも混沌とする。 それだけではなく、父に会うためにギリシャを訪れるし、免許もないのに運転はするし、想像を絶する破天荒さがナチュラルに描かれるところがとても海外っぽい。それがいい。 主題をとりまく周辺が突飛すぎる。 金融危機真っ只中、熱いスペインとギリシャの夏にジリジリと焼かれながら、物語を堪能した。 ソフィアの未来は明るいのだろうか。 最後はぽんっとスペインの海に放り出されたような、これで終わりなの?と心もとなさを感じた。
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詩的な小説という説明だったけれど 詩的すぎて少し物語を理解するのに時間がかかってしまった。 ソフィアの母への気持ちや父への気持ち、自分のセクシュアルなど彼女には立ち向かうものが多すぎるなあと思った。 最後はどうなったんだろう、ソフィアが幸せな人生を歩んでくれているといいな。
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繊細で儚くて苦くてちょっと甘いホットミルクを味合うたびに浮かぶ情景があまりにも美しくて。芸術作品に触れたような。もっともっとイメージを鮮やかにしたいから、近いうちに、一気読みする!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
母の介護のために自分の人生を見失った25歳の女性が 介護のために訪れた南スペインで自分の人生を取り戻す話。 おもしろかった。 作者が詩人・劇作家として名高い女性ということで、詩的で綺麗な表現が多い。 幼い頃に家を出て行ったきり戻ってこなかった父。 助けを求めてたのかどうかもわからないけど 父を訪ねて行ったときの、二人の会話が胸に残った。 -父はもうすでに遠いところにいる。 -父は自分以外のどんな視点も、私に持って欲しくはないのだ。 -いつだって父は、彼女たちには目を閉じていて欲しいと思っている。 母の介護、自分のセクシュアリティ、そして人生の自立。 彼女が出した最後の答えには、涙が止まらなかった。 「私は砂の上に母の足跡を探した。」
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母と娘の物語。 母の心気症は仕方ないとして、娘が言いなりになり過ぎるでしょうと思った。親子に起こる洗脳とか詐取とかスポイルとかそういう類のものがあるんだろうと感じながら読んだ。 娘に路上に置いて行かれた後、母は何事もなかったかのように歩けるようになっていて、娘もこれから自分の人生...
母と娘の物語。 母の心気症は仕方ないとして、娘が言いなりになり過ぎるでしょうと思った。親子に起こる洗脳とか詐取とかスポイルとかそういう類のものがあるんだろうと感じながら読んだ。 娘に路上に置いて行かれた後、母は何事もなかったかのように歩けるようになっていて、娘もこれから自分の人生を歩いていく…?という解釈でいいんだろうか?ちょっと行間で語る部分が多くてわかりにくい物語ではあった。 暑いスペインが舞台なのに、ひんやりとした雰囲気が漂っていて、小川洋子さんの小説のようでそこは好き。
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ヤングケアラー物、ということになるんだろうか。原因不明の病で歩けないお母さん、結構わがままだし強いし。南スペインまで付き添ってきた25歳の娘は、あれこれ人生に迷いながらもちょっと軽妙な感じもあって。
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