人がつくった川・荒川 の商品レビュー

長谷川敦(著者)

2024/04/29

小中学生向けの本だと思いますが、大人にもちょうどいい内容だと思いました。

荒川は江戸時代から現在までに二度も流れが大きく変わっているそうで、地図でその違いを比べてみると思いの外変わっていてマジでビビります。「ぜんぜん違うやん！」となります（なんなら利根川も変わってる）。

なぜ人の手によってここまで変えたのか？
一つは【利水】。米づくりと飲み水などの確保のため、そして船で荷物や人を運ぶ今でいう鉄道としての役割を果たすため。
もう一つは【治水】のため。川の流れを移すことで埼玉県で多発していた水害の被害をなくしたと言います。
川の流れをコントロールすることによって田んぼや畑は肥え、その作物や人や物資が川からどんどん江戸に集められ、江戸は豊かになってきたといいます。江戸の人々の出したし尿を荒川流域の農家に運び、肥料として使うことで役立つというサイクルもうまく回っていました。
とはいえ川の水のコントロールには当時の技術では限界があり、川の流れを移すことで舟運が便利になる一方で水害が起こる地域は出きてしまいます。そういった地域は堤防などて対策するものの、どうしてもどこかの地域が犠牲にならなくてはいけないというデメリットがありました。これが400年前に伊那忠治が中心になって荒川西遷。

江戸から明治になり荒川の下流に工場地が建てられ隅田川のまわりの栄えている工場エリアを洪水から防ぐために岩淵から放水路としてもう一つ川を作った。これがパナマ運河の建設工事に参加した青山士がリーダーとなった荒川放水路工事。船での移動が鉄道に変わっていくことで江戸時代には舟運を優先していた方針を変え、川の氾濫を防ぐことを優先し再度川の作りを変えたという背景には、時代のダイナミックさを感じます。

当方は川口市在住で荒川はわりと身近にあるので興味深く読みました。川幅や横堤のことを知り、電車で荒川を通る時によく観察してみたくなりました。川って意外と面白いですね。

2024/02/18

　今までなんとなく地図を見て、江東区は三角州なのかな？と思っていたのですが、全然違いました。岩渕水門から河口までの約25kmは明治時代からの工事で作られた荒川放水路であったということがわかり、驚愕しました。
　水害・防災のことについても言及されており、中学生部門の読書感想文課題図書に選ばれるのも納得です。

2023/10/13

時に舟運のために、時に水害を防ぐために、川はその姿を変えられてきていたんですね。地球温暖化で雨の降り方が変わり、ダム、調整池、放水路といった対策だけでは絶対安全とは言えない状況になってきているそう。国が新しい方針として打ち出している「流域治水」。興味深かったです。

2023/08/11

第69回青少年読書感想文全国コンクール　中学校の部課題図書

日本は水が豊かな国であるが、ここ数年は水害の被害が深刻な状況だ。
今年もすでに台風や線状降水帯の発生で、大きな被害が出ている。
山岳地形の多い日本では、河川の氾濫は避けては通れない。

江戸時代、技術水準が今よりもずっと低かったにもかかわらず、人々は知恵を絞ってある程度の犠牲を払いつつも江戸の町を水害から守ってきた。
地図を用いてわかりやすく荒川、墨田川の変遷をたどり、利水や治水の歴史を知ることができる。
子どもだけでなく、大人も勉強になる一冊。
2023.7

2023/07/21

川は偉大だった
物を運び、田畑を潤し、人の暮らしを支えてきた
時には災害もあるけれど、それをも上手に折り合って
利水、親水、知らない言葉にも出会えた
ページ下のイラストが可愛い

2023/07/15

令和5年度課題図書
歴史にも、理科にも、地理にもふれている本だなと思いました。生徒はどこに興味を持つかな〜と思いつつ読み終えた私は、パナマ運河工事に関わった青山さんのことがとても気になりました。
感想文向きかと問われると難しい所ですが、紹介したら割と選んでくれる子が多く「選ばれたのは荒川(綾鷹)でした」と脳内で勝手にナレーションをつけていた。

2023/07/11

治水は政治の基本なのよ、ほんと。
荒川隅田川の関係。
東京に住んでいる人なら常識なのかもしれないけど、福岡人にはなかなかわからない関係。
経済とともに発展してきた川の物語。
川があってこそ人の生活がある。
それにしても東京の下水道やりかえるのは無理なのかなあ。
そこだけは東京ともあろうものがという感じがする。

2023/07/08

第69回青少年読書感想文全国コンクール　中学校の部　課題図書に選ばれた作品です。
学生向きなのでスイスイ読める！学生でも1日で読めるでしょう。いつも読書感想文が後回しになる人は買っておくべし笑

まず、荒川が今と昔で全く違うところを流れていることに驚きました。
そして、荒川があったからこそ東京は発展したけれど、その分、水害とも闘い続けているということ、そしてその闘いは今も続いていて、住民との協力が不可欠だということがよく分かりました。

地方ですが、私の実家の前にも大きな川が流れていて、窓から川の流れを見るのが好きだったので、その川の歴史を知るのもいいかもな〜とちょっと子供の頃を懐かしく思い出しました。

2023/06/05

第69回青少年読書感想文全国コンクール課題図書

図や写真、所々のかわいいイラストで読みやすかった。読書感想文だけじゃなくて、地域の川の歴史や防災など、自由研究にも幅広く繋げられそう。