道 の商品レビュー
一種のタイムリープによる人生のやり直しをテーマにした小説。 荒唐無稽な設定にも思えるが、何か世界の深淵を覗いたような気分になった。542頁の長編だが、あっという間に読み終えてしまった感があり、もっとこの小説世界に浸りたくなった。
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深く考えると混乱してしまいますが、現実離れしてるとも言い切れないような、ひょっとして世の中はこんな風に成り立っているのかも知れないと思わせてくれる面白さでした。
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読み応えのある小説だった。 主人公の巧一郎は、有能で成功したビジネスマンで、白石小説によく出てくるタイプ。ところが、娘を交通事故で失い、鬱病を患った妻を義妹とともに支え続けているが快方せず、もう限界だと思う。それで、ある方法を使って別の世界に転移するのだが、その新しい世界でも色々...
読み応えのある小説だった。 主人公の巧一郎は、有能で成功したビジネスマンで、白石小説によく出てくるタイプ。ところが、娘を交通事故で失い、鬱病を患った妻を義妹とともに支え続けているが快方せず、もう限界だと思う。それで、ある方法を使って別の世界に転移するのだが、その新しい世界でも色々な難題が起き、また、功一郎自身やその家族の過去や実像があらわになっていく。そして、「この世界」と「別の世界」との関係を解き明かしていく。 多元世界やパラレルワードの手法を用いつつ、人生とは何か、今の境遇にどう向き合うべきかといった問題を考えさせられる。
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さすが白石一文さん。今回もやられました。 始まり、ストーリー展開、ラストも白石ワールド炸裂! 引き出し多すぎます!
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※ 全542ページ 六部から成る長編 壮年男性が主人公のタイムワープの話。 人生に絶望した出来事をやり直すため、 不思議な(道)を使って時間を遡る。 現実の出来事が数多く盛り込まれているので、 主人公の生きてる小説の中の時間がやけに リアルに感じられます。 どこに行ったら...
※ 全542ページ 六部から成る長編 壮年男性が主人公のタイムワープの話。 人生に絶望した出来事をやり直すため、 不思議な(道)を使って時間を遡る。 現実の出来事が数多く盛り込まれているので、 主人公の生きてる小説の中の時間がやけに リアルに感じられます。 どこに行ったら幸せと思えるのか、 誰と生きることが幸せなのか、 主人公が向き合う人生のそれぞれに 葛藤がある点は想像できて共感します。 時間の交錯や矛盾点の納得が難しいところは、 まるで出口の見えない迷路にはまった気分です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
白石一文はデビュー作とデビュー第二作を刊行時に読んだけど、なんか純文学だったような気がする。 今回のはパラレルワールドSFものだ。 まあ結構面白かったが、東野圭吾だったらもっと面白く書いてたのではないか。 こういう超常現象SFものは、シンプルなルールが一個だけのほうがいいと思う。こうこうこういうときにはこうなるが、こういうときはこうなる、みたいなのは、誰がそんなの決めたんだよってちょっと素に戻ってしまう。
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「もしもあの頃に戻れたら、私の人生は変わっていたかも知れない」ということを考えたことが何度かあります。 そんな気持ちを小説にしてくれました。読んでいて、これは今の世界?あっちの世界?とごちゃごちゃすることもあったけれどそれもまた、面白い! 映像化しても良さそうだと思いました。
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大学生の娘の交通事故死、妻のうつ病発症と2度の自殺未遂、人生に詰んだ男が選んだ道。41年前、中学3年時に体験した「あれ」を試すために、男は再び一枚の絵の前に立つ。 久々に読む白石一文作品。 ニコラ・ド・スタールの「道」にインスパイアされた作者が、何年も前から醸成してきた「人生を...
大学生の娘の交通事故死、妻のうつ病発症と2度の自殺未遂、人生に詰んだ男が選んだ道。41年前、中学3年時に体験した「あれ」を試すために、男は再び一枚の絵の前に立つ。 久々に読む白石一文作品。 ニコラ・ド・スタールの「道」にインスパイアされた作者が、何年も前から醸成してきた「人生をやり直せたら」というテーマで織り上げた作品。 いわゆるタイムリープものだけどSFっぽくはなく、人生とは、生きるとは、といった根源的な問題を深く問いかける物語になっている。 人生の隘路にはまり込んだ男がタイムリープによって逃げ出した先は娘が生きている世界。だけどその世界でも当たり前に問題は起こる。結局生きている限り心配や揉め事や苦労からは逃れられず、万事OKとはいかないのよね。 そうしているうちに、前の世界に置き去りにしてきた妻や義妹のことが気になった男は元の世界に戻ろうとまたタイムリープするも、行き着いたのはまた違う世界。 この辺りになってくると「前の世界」とか「前の前の世界」とかが交錯して何がなんやら状態で、無数に存在するパラレルワールドの異なる局面に男の意識だけが移動するという設定を理解するのに四苦八苦。 「人生をやり直せたら?」の問いかけに、自分だったら‥‥と思いを巡らせてみたりしましたが、答えは出ません。
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読み終わった途端、ニコラ•ド•スタールの「道」をじっと見つめた。確かに左側の黒い道に引き寄せられるような感覚を覚えた。 でも、戻りたい時点が見つからない。たしかにやり直したい過去はいっぱいあって、もっとましな人生を過ごしたかったという思いはあるけれど、今更やり直すのも面倒だ。た...
読み終わった途端、ニコラ•ド•スタールの「道」をじっと見つめた。確かに左側の黒い道に引き寄せられるような感覚を覚えた。 でも、戻りたい時点が見つからない。たしかにやり直したい過去はいっぱいあって、もっとましな人生を過ごしたかったという思いはあるけれど、今更やり直すのも面倒だ。たぶん自分はそれほど不幸なことに遭わなかったということだろう。 この主人公が過去に戻りたくなった気持ちは痛いほど分かる。世の中にはそんな人がたくさんいるだろう。想像するだけで切なくなる。しかし、ただその時間を生きるしかないのだ。
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白石一文さんの作品は、随分と久しぶりである。 ちょっと今までとは違う種類の内容だった。 一枚の絵。それは、道が描かれてある。 自分は、どの道を進みたいのか…。 その選んだ道を進んだ先は…。 もう絶望しかなくて、このままの状態で明日など迎えたくなくて… そんなとき違う人生を歩む...
白石一文さんの作品は、随分と久しぶりである。 ちょっと今までとは違う種類の内容だった。 一枚の絵。それは、道が描かれてある。 自分は、どの道を進みたいのか…。 その選んだ道を進んだ先は…。 もう絶望しかなくて、このままの状態で明日など迎えたくなくて… そんなとき違う人生を歩むことができたら、とそう思うこともあるだろう。 だがその世界もけっして楽しいとは限らず、知りたくなかったことも知り、複雑な感情になることも。 そう何度も道は選べないし、引き返すこともできない。 いろんな世界で生きるというのは厳しいんじゃないかと… そのままでよかったんじゃないのか…と考えてすっきりとはしなかった。
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