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にほんの詩集 石垣りん詩集 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2025/02/28

抑圧の時代を生きた一人の女性。 家族の暮らしを担う苦悩が見えてきた。心の澱を吐き出すように詩を書きつけていたのではないだろうか! 屋根  日本の家は屋根が低い 貧しい家ほど余計に低い、 その屋根の低さが 私の背中にのしかかる。 この屋根の重さは何か 十歩はなれて見入れば ...

抑圧の時代を生きた一人の女性。 家族の暮らしを担う苦悩が見えてきた。心の澱を吐き出すように詩を書きつけていたのではないだろうか! 屋根  日本の家は屋根が低い 貧しい家ほど余計に低い、 その屋根の低さが 私の背中にのしかかる。 この屋根の重さは何か 十歩はなれて見入れば 家の上にあるもの 天空の青さではなく 血の色の濃さである。 私をとらえて行く手をはばむもの 私の力をその一軒の狭さにとじこめて 費消させるもの、 病父は屋根の上に住む 義母は屋根の上に住む きょうだいもまた屋根の上に住む。 風吹けばぺこりと鳴る あのトタンの 吹けば飛ぶばかりの せいぜい十坪程の屋根の上に、 みれば 大根ものっている 米ものっている そして寝床のあたたかさ。 負えという この屋根の重みに 女、私の春が暮れる 遠く遠く日が沈む。 大正9年生まれ。14歳から銀行で働きながら詩作を続ける。定年まで勤め生涯独身だった。 シジミ 夜中に目をさました。 ゆうべ買ったシジミたちが 台所のすみで 口をあけて生きていた。 「夜が明けたら ドレモコレモ ミンナクッテヤル」 鬼ババの笑いを 私は笑った。 それから先は うっすら口をあけて 寝るよりほかに私の夜はなかった。 ・・「皆んな食ってやる」と笑いながら自分もシジミのようにうっすら口をあけて眠る。哀しいけれど可笑しみもある生活詩。この詩人の持ち味だと思う。 巻頭の詩「挨拶 原爆の写真によせて」は1952年8月の作品。静かな言葉で「平和という油断」への警鐘を鳴らす。 未刊詩篇「母の景色」が良かった。 特にこの二行に元気を貰える。 半島のゆるぎなさで あなたは母でありさえすればいい。

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2024/09/19

石垣りんさんの詩を私は勘違いしていたように思う。 中学生の時に読んだその感覚では感じなかったのか、 それとも中学生用のものを読んだのか、 生活をやさしく溶き卵みたいに書き写してくれる詩人さん、なんて思っていたのが、 生活に押しつぶされないための背骨として詩を強く強く叩いて叩いて書...

石垣りんさんの詩を私は勘違いしていたように思う。 中学生の時に読んだその感覚では感じなかったのか、 それとも中学生用のものを読んだのか、 生活をやさしく溶き卵みたいに書き写してくれる詩人さん、なんて思っていたのが、 生活に押しつぶされないための背骨として詩を強く強く叩いて叩いて書き続けた詩人だったのだと。 言葉の平易、それに付きまとうやられてなるものかという心情の暗さ、の強さ、が本当に胸に、腹に届きました。読んでよかった。

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2024/04/11

祖母と同い年の人が書いたという意識で読んだこともあり、当時の社会情勢も感じつつ、著者の強い意志も感じつつで、思い入れが強い本となった。

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2023/07/14
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 石垣りんさん、1920年(大9年)2月21日生まれ、14歳で銀行に就職、40年勤め1975年定年退職。2004年心不全で没。4つの詩集をまとめたもの。「石垣りん詩集」、2022.6発行。「家」半身不随の父が4度目の妻に甘えてくらすこのやりきれない家。「表札」自分の住むところには自分で表札を出すにかぎる。他人がかけてくれる表札はいつもろくなことはない。

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2023/01/08
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『新年の食卓』  人間が“食べる”という歩調は  昔から変らない。  わずかに平らなテーブルの上に  ことしの花を咲かせるために  喜びの羽音を聞くために  杯(さかずき)を上げよう。  では向き合って  もう一度おめでとう!  … 『三十の抄』  齢三十とあれば  くるしみも三十  悲しみも三十  … 『水』  思い出します  はじめて水の冷たさを知ったときを。  どんなに教えられても  じょうずに泳ぐことのできなかった子は  苦い水をどっさり飲んで年をとりました。  くぐりぬけたさまざまなこと  試験、戦争、飢え、病気  どれひとつ足の立つ深さではなかったのを。  …

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2022/08/09
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石垣りんさんの戦争の詩の中には“顔”がある 「戦争の記憶が遠ざかるとき、  戦争がまた  私たちに近づく。  そうでなければ良い。」 暮らしや来し方を強く見つめた詩 女性の手が担ってきたもの

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