ペガサスの記憶 の商品レビュー
あの聡明で闊達な著者が認知症になり、連載していた自伝を 子どもたちのかれん、ノエル、ローランドの3人がそれぞれの目線から桐島洋子を描き、完成させた一冊。 若い頃は、いや40過ぎてからも恋多き女で、ノーベル経済学賞の候補だった青木昌彦氏とも事実婚だったことは知らなかった。 アメリカ...
あの聡明で闊達な著者が認知症になり、連載していた自伝を 子どもたちのかれん、ノエル、ローランドの3人がそれぞれの目線から桐島洋子を描き、完成させた一冊。 若い頃は、いや40過ぎてからも恋多き女で、ノーベル経済学賞の候補だった青木昌彦氏とも事実婚だったことは知らなかった。 アメリカの海軍退役軍人との間に未婚で3人出産し、いざその男タグが奥さんと離婚したのに著者と一緒にならず、他の人と結婚したのには驚いた。 で、ノエル氏の章で最後に結婚した人が虚言癖があり、猫を壁に投げつけるような男だったとか(勝美洋一)。 なんでまたそんな男に惹かれたんだろう。 とにかく、破天荒で自由を愛する人だったというのはわかる。子どもたちもみなそれぞれ自立して立派だし。 (幼い頃はハーフということでだいぶいじめられたらしい) 次女のノエルを出産費用がかからないという理由で各国を航海中の船上で産む、しかもクリスマスの日に。 その章で桐島洋子自身の頁は終わってる。 できれば、最後まで彼女自身の言葉で綴った自伝を読みたかったけど、かれん、ノエル、ローランドのそれぞれのエッセイもそれはそれで面白かった。
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前半の桐島洋子編は、生い立ちから始まり、様々な人物との逸話や、高卒で文藝春秋に入社し、活躍した話。 当時の時代背景も勢いがあって、面白かった! 後半の桐島三兄弟のエピソードも良かった。 三人ともとても謙虚で、母に対して色々と思うところもあり。 外から見たイメージと、実際の家族像に...
前半の桐島洋子編は、生い立ちから始まり、様々な人物との逸話や、高卒で文藝春秋に入社し、活躍した話。 当時の時代背景も勢いがあって、面白かった! 後半の桐島三兄弟のエピソードも良かった。 三人ともとても謙虚で、母に対して色々と思うところもあり。 外から見たイメージと、実際の家族像にずれがあるというところは森瑶子ファミリーと似ているな、と思いました。 読みやすく、オススメです。
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著者を敬愛する友人が貸してくれて読んだ。子どものころ、『聡明な女は料理がうまい』という本を母が読んでいて著者の名前を知ったけれど、私にとっては『淋しいアメリカ人』で大宅壮一賞を取った人。影響も感銘も受け手はいない。 あのカッコいい桐島かれんのお母さん。 前半を著者自身が書いてい...
著者を敬愛する友人が貸してくれて読んだ。子どものころ、『聡明な女は料理がうまい』という本を母が読んでいて著者の名前を知ったけれど、私にとっては『淋しいアメリカ人』で大宅壮一賞を取った人。影響も感銘も受け手はいない。 あのカッコいい桐島かれんのお母さん。 前半を著者自身が書いている。雑誌に連載していたらしいが、認知症を発症し、その後を長女かれん、次女ノエル、長男ローランドが書き継ぐ。こうして並べて見ると、圧倒的に筆力の違いがわかる。もちろん子どもたちは文筆家ではないが。 p171 「本当に大切なことは、白黒つけられない」というのも母に教わった考え方です。価値観が違うと「これが正義」と決めることは、実は意外と難しく、白黒をつけないことで、どうにかやっていけることもあります。国と国でも、人と人との間でも、きっと同じです。 p192 母は言葉のプロですが、感情的な話をすることがとても苦手です。トラブルが起きても、すぐに向き合おうとはしません。 「私はなにか問題が起きた時、それをまず箱にしまうの。時間が経って箱を開けてみれば、大体の問題は自然に消えて無くなっているから」と母はよく話していました。 桐島洋子がニューエイジに興味を持ち、本を著していたことは知らなかった。手に取ってみたい。 『見えない海に漕ぎ出して』 こんなにも才能と度胸があって魅力的だった著者。あの時代によくも…としか思えないけれど今は凪の時間なんだろう。穏やかに安寧に暮らしてほしい。って誰目線か。
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桐島洋子さんが自身と子供たちの人生について途中まで執筆し、その後をかれんさん、ノエルさん、ローランドさんが、まるで渡されたラグビーボールをパスで繋いでいくかのように執筆した作品。 洋子さんが描き出した半生のなんと、ドラマチックで、自由であることか! そして文章の瑞々しいことといっ...
桐島洋子さんが自身と子供たちの人生について途中まで執筆し、その後をかれんさん、ノエルさん、ローランドさんが、まるで渡されたラグビーボールをパスで繋いでいくかのように執筆した作品。 洋子さんが描き出した半生のなんと、ドラマチックで、自由であることか! そして文章の瑞々しいことといったら、本当に他に比べられる作家がいるだろうか。 洋子さんは若い頃、文藝春秋社の社員で、編集者だった。その頃、作家の原稿を取りに行くのに、高原に住む作家のところには馬に乗って取りに行ったり、海辺の作家には泳いでビチャビチャの姿で原稿取りに行っている。こんな方が子供を産むとどうなるか、知っている人も多いと思うが、改めて読む価値は十分にある。 後半は一転して、子供たちの立場からの洋子さん一家の姿が描かれる。やはり、そこには華やかななだけでない複雑な事情が語られる。一度は崩壊しかけた家族の絆が再び結ばれたことがわかる。 若い人が読めば、洋子さんの生き方に刺激を得られるだろうし、子育て中の人が読めば、育児のヒントが得られるかもしれない。年配の人は家族のことを考えるだろう。多くの人にとって示唆に富む本である。
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