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科学は「ツキ」を証明できるか の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2024/05/17

先ず、ホットハンドとは何か。 それは普段の能力をはるかに上回り、一時超人になったと感じる状態のこと。本書では、バスケットボールで連続してゴールを決められる状態が事例として挙げられる。「運がいいとか 悪いとか、人は時々口にするけど、そうゆうことって確かにあると、あなたをみててそう...

先ず、ホットハンドとは何か。 それは普段の能力をはるかに上回り、一時超人になったと感じる状態のこと。本書では、バスケットボールで連続してゴールを決められる状態が事例として挙げられる。「運がいいとか 悪いとか、人は時々口にするけど、そうゆうことって確かにあると、あなたをみててそう思う」これは、さだまさしの無縁坂の歌詞だが、そうゆうことが確かにあるのか確かめてみた、という本。 やっている事は面白い。各選手がシュートを成功または失敗した直後のシュート成功率を計算。もしホットハンドと言うものが存在するなら、シュートを決めた直後の成功率は高いはずだったが、そうはならなかった。人間は、環境が実質的にランダムであっても、パターン認識してしまう。つまり、確率的に3回連続ゴールを決める事もあるが、その時にホットハンドだ、と認識しているだけという考え方だ。今日は運が良い、ノッているというのは「後付け」だ。だから、ホットハンドなんて無いのだという説。 これに対し、ホットハンドある説。しかし、これが凄くわかりにくい。本書を高評価できない致命的な部分だ。3回連続でゴールに入る可能性は、そもそも確率的に低いのだから、それが達成している状態はホットハンドといって良いでしょう、みたいな暴論。また、今日は身体的に冴えている、キレが良い、という状態もあるはずだと。 いやいや、バスケットボールで確かめるから分かりにくくなるんだが、身体的に調子が良いから上手くいく、というのはホットハンドに含めて良いのだろうか。それなら単に、調子の良い日はあるのか、という命題となり、そりゃありますよ、で終わってしまう。本書には、ギャンブルでのホットハンドの事例もあったが、そちらで証明しないと説得力がない。長々と失敗作の論文を読まされた感じだ。

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2023/06/04

心理学ではわりと有名な「ホットハンド神話」に関する本。もともと1982年のギロビッチらの実験により、バスケットボールにおけるホットハンド(ある選手がシュートを決めだすと続けて決まるようになる)は錯覚だとされてきた。しかし近年になって、これを覆す議論がわきおこっている。 テーマは...

心理学ではわりと有名な「ホットハンド神話」に関する本。もともと1982年のギロビッチらの実験により、バスケットボールにおけるホットハンド(ある選手がシュートを決めだすと続けて決まるようになる)は錯覚だとされてきた。しかし近年になって、これを覆す議論がわきおこっている。 テーマはよいのだが内容に比して長すぎる。新書サイズに余裕で収まるだろう。関係ないエピソード(それはそれで面白くて語り口も上手なのだが)を牽強付会でホットハンドにこじつけて水増しされている。どうもアメリカでは水増ししてでも長い本を書く技術を学校かなにかで教えているのでは。 にもかかわらず、本書のクライマックスであるミラーとサンフルホの論文にかかわる解説はあっさり過ぎて理解しきれない。たぶん正面から解説すると一般読者には難しすぎるからかもしれないが、腑に落ちないことである。本書でも引用されている統計学者Andrew Gelmanのブログでチェックしようかと思ったが、ホットハンドに関するエントリーが無数にあってどれから読んだことやら: https://statmodeling.stat.columbia.edu/?s=hot+hand&submit=Search

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2023/01/08

心理学・統計学・経済学の見地から、それまでの常識を覆す「ツキ」の正体を、豊富なエピソードとともに解き明かした本になります。 いろいろな逸話を盛り込んで面白く読める本です。

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2022/11/10

ホットハンドという言葉がある。主にバスケットボールで使われる言葉だそうだ。一本決まったシュートが連続で入るような状態、絶好調な状態という意味で、科学、芸術など他の分野でも使われるようになった。 皆さんも一度は経験したことがあるのではないだろうか? しかし、長年このような現象は誤謬...

ホットハンドという言葉がある。主にバスケットボールで使われる言葉だそうだ。一本決まったシュートが連続で入るような状態、絶好調な状態という意味で、科学、芸術など他の分野でも使われるようになった。 皆さんも一度は経験したことがあるのではないだろうか? しかし、長年このような現象は誤謬であるとされてきた。 この本は、ただの偶然とされてきたホットハンドが実際に存在するということを証明する経緯を、たくさんの事例から専門知識がなくても分かりやすいように説明されている。 もう少し専門的なことも聞いてみたいと思わせられる本だった。

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2022/10/15

レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12769508651.html

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2022/09/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

バスケットでショットが連続できまる状態(ホットハンド)は実際にはない、錯覚に過ぎない、というのがトヴァスキーやギロビッチによって示されているが、本当だろうか?というテーマの本。 (このように連続試行の結果について、人がコントロールできると信じ、次も決まる、と考えるのがホットハンドの誤謬で、ルーレットのように人がコントロールできないものについて、赤が三回続いたから次は黒、と考えるのがギャンブラーの誤謬、という説明はものすごく腑に落ちた) 本書では、Miller, Joshua B.; Sanjurjo, Adam (2016). “Surprised by the Gambler's and Hot Hand Fallacies? A Truth in the Law of Small Numbers”. IGIER Working Paper (552). doi:10.2139/ssrn.2627354.を根拠に、ホットハンドは存在する、としている。ミラーらの論文を見ても確かにp=0.5ぐらいの事象ではバイアスが強めに出ているよう。ただし、この論文自体や本書での解釈などはツッコミどころが多いようにも思った。 たぶん、我々の日常ではホットハンド効果はノイズに埋もれてはっきりしないことがほとんどだろう。 ミラーらの発表を聞いて、カーネマンが言った 「トヴァスキーたちは間違っていたと思います。彼らの実験はバイアスがかかっていました」「ですが、その主張は今でも有効です。人間はパターンがないものの中に、パターンを見つけるのです」 というのが一番よい解釈では。

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2022/08/16

ベン・コーエン「科学は「ツキ」を証明できるか」読了。スリーポイントが立て続けに入る状態等をホットハンドと呼ぶ。そのツキが回ってくる事は従来諸分野から否定されてきた。ところが本書にてその定説が科学的に覆る経緯が見事に描かれ興奮冷め上がらぬうちに読み終えた。普段の生活に活用できそう。

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2022/07/30

結論から言えば、ホットハンドはあるかどうかが不明。 ある一定の条件下なら、ホットハンドが生まれる可能性はあるし、生まれない可能性もある。 この本でいちばん大事なのは、如何に私達がデータに対するバイアスを持っているかということを明らかにした点だと思う。 ホットハンドがないと結論を...

結論から言えば、ホットハンドはあるかどうかが不明。 ある一定の条件下なら、ホットハンドが生まれる可能性はあるし、生まれない可能性もある。 この本でいちばん大事なのは、如何に私達がデータに対するバイアスを持っているかということを明らかにした点だと思う。 ホットハンドがないと結論を付けた研究者自体が、データを読む際にはバイアスにかかっていた、というオチ。 偏見なくデータを集め、偏見なくデータを分析することの難しさを語った本。

Posted byブクログ