桝太一が聞く科学の伝え方 の商品レビュー
日テレを退社して大学の研究員として再スタートした元アナウンサーの桝太一さんが、ノーベル賞受賞者や東大教授など、その道の第一人者の方々と対談した本。テーマはサイエンスコミュニケーション。 桝さん、日テレを退社するときに「サイエンスコミュニケーションについてもっと深く考えて実...
日テレを退社して大学の研究員として再スタートした元アナウンサーの桝太一さんが、ノーベル賞受賞者や東大教授など、その道の第一人者の方々と対談した本。テーマはサイエンスコミュニケーション。 桝さん、日テレを退社するときに「サイエンスコミュニケーションについてもっと深く考えて実践したいから」という理由を周りに伝えたけれど、そういう方向に進みたいんだね、と理解してくれた人はひとりもいなかったようです。 それもそのはず、日本にはサイエンスコミュニケーションを専門とした職業がありません!なんとなく言葉の意味はわかりますが、一体どんなことをするのでしょう? 研究者というと、どうしても研究にかかりきりになり、世間との接点が希薄になりがち。一途に探求に没頭するのは好きだけど、口ベタで、とか、専門外の人にわかりやすく伝えるのは苦手です、とか。そう人ばかりで、私はこういう研究をしてます!ほら、なんか楽しいでしょ!というアピールする人もほとんどいません。 そんなときに研究者と、なんとなく興味を持っている一般人との間を取り持つのがサイエンスコミュニケーション能力を備えたサイエンスコミュニケーター(仮)です。 桝さんが、大学院でアサリの研究をしていたことで有名ですが、研究者として新しい成果をあげるという能力には限界を感じていたらしく、それなら自分は学んできた知識を活かして、専門外の人にもわかりやすく伝えられる人になろう、と決意してアナウンサーになったそうです。 繰り返しになりますが、サイエンスコミュニケータという専門職は今のところありません。ただイメージとして本書でも取り上げられていたのはカマキリ先生やさかなクンです。高い専門知識とともに、テンションも高く、わかりやすいし、何より楽しそう。 何年か前に沼津港深海水族館に行ったとき、やるせなすの石井ちゃんが解説をしていました。テレビで活躍していたような人たちのほうが、やっぱり「伝える」という技術に関しては上手いのだと思います。 作家の川端裕人さんの『星と半月の海』で紹介されていたことですが、科学博物館の研究員のなかでも、一番解説が上手いのは恐竜の研究者らしいです。常に子どもにもわかりやすく解説しようとするからです。 研究者が一番答えづらい質問が「この研究は何の役に立つのですか」というものです。なぜなら何かの役に立つためにしている研究というのもありますが、そんなこと気にしてません、私はこれを突き詰めたいだけです、という研究が多いからです。何かの役に立つというのは研究の必須条件ではありません。むしろ興味があるだけ、それが絶対条件です。 「役に立つ」ということで研究分野を縛ってしまうと、新しいイノベーションは生まれないと本書では紹介されています。 それで思いだしたのが、中公新書で『人口と日本経済』という本です。人口減少が日本経済の縮小に繋がるという考え方は間違っていて、イノベーションが生まれないことが問題、逆に言うと何か新しいイノベーションが生まれれば、また日本経済は成長する、といった内容でした。 「役に立つ」研究ということに絞って予算の配分をすることが、逆に日本が成長する可能性を潰してしまっているのかもしれません。 今はまだ深く隔っている溝を埋める作業。桝さんのアナウンサーとしての経験が、これからも活きるかもしれません。
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※このレビューにはネタバレを含みます
印象に残っているところ ・p60博士に対するリスペクトはなくなってしまいました。鉄腕アトムのお茶の水博士は科学技術庁の長官という立場ですが、名探偵コナンの阿笠博士は発明好きのおじさんという立場。→アガサ博士は超天才。コナンが活躍できているのはアガサ博士のおかげ。 ・p60かつて大隈重信は「学の独立」といって、国の繁栄のためには政治と学問は切り離さなくてはいけないと述べた→校歌をただ歌っているだけだったのだが気づかされた ・p82化学程面白い学問はありませんよ。物理研究は一秒でわかってしまうか10年以上かかるかのどちらかが多い。化学は3~4日で結果がわかる→じゃあ生物は? ・一度就職された方があとから博士号を目指しやすい環境にするシステムにしていかないといけませんね。そうしたほうが科学の発展にとっても絶対にいい。科学は多様な人がいた方がうまくいくんです→中部大学ペプチド研究センター長の山本尚さん、ありがとうございます。私はまさに社会人博士課程生です。もう退学しますがまたいつか。 ・p85実用的な役に立つか立たないかで判断するのではなく、おもしろい・感動する・成長できる・・・そういった要素を評価して、お金をかける価値があると社会が判断する懐の深さは、確実にあるわけです→ライブやスポーツ観戦はまさにそうだよね
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桝氏と著名科学者との対談の文字起こし形式。 内容が薄い。新たな視点もない。 桝氏が何かにつけて自分の経歴を語るのが不要。 読了25分
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新着図書です。 --- 読書マラソン感想カードより: 「サイエンスコミュニケーション」 みなさんは聞いたことがあるだろうか? 私はなかった。研究者であり、アナウンサーでもある著者が、「科学を伝え続けている」方々にインタビューしたもの。 科学を身近にするのは、科学は楽しい!!...
新着図書です。 --- 読書マラソン感想カードより: 「サイエンスコミュニケーション」 みなさんは聞いたことがあるだろうか? 私はなかった。研究者であり、アナウンサーでもある著者が、「科学を伝え続けている」方々にインタビューしたもの。 科学を身近にするのは、科学は楽しい!! を伝えることだと思った。 オススメ度: ★★★★☆ ノブ(図書館職員) 所蔵情報: 品川図書館 407/Ma66
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読みたいなと思っていた本、書店で発見し読んでみた。 短めながら、対談形式で7人の識者それぞれの科学の伝え方についての考え方を触れることができ濃厚。それぞれの考え方は重なるところ、異なるところがあるが、それこそサイエンスコミュニケーションの多様さが表れていると思う。 受験が理科嫌...
読みたいなと思っていた本、書店で発見し読んでみた。 短めながら、対談形式で7人の識者それぞれの科学の伝え方についての考え方を触れることができ濃厚。それぞれの考え方は重なるところ、異なるところがあるが、それこそサイエンスコミュニケーションの多様さが表れていると思う。 受験が理科嫌いを増やすという意見については触れている人が多いという点は、結構印象的。 第2弾、3弾も有りそうな雰囲気で、登場を楽しみにしたい。
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元アナウンサーの桝氏のインタビュー。サイエンスを伝えるサイエンスコミュニケーターがわかる。アナウンサーやさかなクンのような人だけでなく、自然科学の編集者もそうかもしれない。 科学に興味のある人はもちろん、なにかしら科学に触れる方にもおすすめ。中学生以上、本好きなら小学校高学年で...
元アナウンサーの桝氏のインタビュー。サイエンスを伝えるサイエンスコミュニケーターがわかる。アナウンサーやさかなクンのような人だけでなく、自然科学の編集者もそうかもしれない。 科学に興味のある人はもちろん、なにかしら科学に触れる方にもおすすめ。中学生以上、本好きなら小学校高学年でも面白く読めると思う。 強いて言えば、表紙のデザインだけレトロすぎでもったいないと感じた。
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桝太一が書いたものとばかり思っていたら、桝太一が科学者にインタビューしたものであった。科学者の考えを簡単によめるのでいい。実際は映像であればもっとよくわかる。
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2022年10月 最初のインタビューが山中先生で、コロナ禍の中であえて「発信」に踏み切った理由をお話しされていて、我々はサイエンスコミュニケーションというものを必要としていたという事実にそもそも気付かされた。 あと桝さんがテレビでノーベル賞を紹介する番組を作られていたことをこの本...
2022年10月 最初のインタビューが山中先生で、コロナ禍の中であえて「発信」に踏み切った理由をお話しされていて、我々はサイエンスコミュニケーションというものを必要としていたという事実にそもそも気付かされた。 あと桝さんがテレビでノーベル賞を紹介する番組を作られていたことをこの本ではじめて知った。見たかったなぁ。
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桝さん、 『桝太一が聞く 科学の受取り方(仮)』 の書籍化、希望です! youtubeで紹介されていたことが、最終的な後押し。 分かっていることを興味をもってもらえるように伝える、 分かっていないこと(こちらのことの方多いらしい)を分かっていない、としっかり伝える。 分かって...
桝さん、 『桝太一が聞く 科学の受取り方(仮)』 の書籍化、希望です! youtubeで紹介されていたことが、最終的な後押し。 分かっていることを興味をもってもらえるように伝える、 分かっていないこと(こちらのことの方多いらしい)を分かっていない、としっかり伝える。 分かっていないことが「多い」って、意外だった。 科学者間では常識的なことなのかもしれないが、 それ以外の人としては、知る機会がない情報。 学校では教えてくれない・・・ 『絵を見る技術』なる本のように 『科学を見る技術』という書籍があったら読みたい。 科学者は知っている科学の前提を知ったうえで 科学情報に触れていきたい、そう思った。 だから、 『桝太一が聞く 科学の受取り方』が 書籍化したら、購読します。
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サイエンスコミュニケーターの役割についてのインタビュー記事。基礎研究と応用研究の話だったり、話の上手い人がいうことが目立ってしまっている事象について、様々な意見が勉強になった。本はとても薄い
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