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日本共産党 の商品レビュー

4.4

19件のお客様レビュー

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2024/02/12

一貫して「革命」を目指しつつも大きく変化した日本共産党の100年の歴史を追い、国際比較と現状分析を交え、同党の全貌を描く。 日本共産党の歴史が詳細かつ実証的に分析されており、日本共産党を理解するに当たって必読の書だといえる。 日本共産党が時代ごとに大きく方針等を変えてきたというこ...

一貫して「革命」を目指しつつも大きく変化した日本共産党の100年の歴史を追い、国際比較と現状分析を交え、同党の全貌を描く。 日本共産党の歴史が詳細かつ実証的に分析されており、日本共産党を理解するに当たって必読の書だといえる。 日本共産党が時代ごとに大きく方針等を変えてきたということ、特に1955年以降、民族民主革命論に基づく平和革命路線と自主独立路線などを内容とする宮本路線が定着したということがよく理解できた。 一部で言われているいまだに武力革命を目指しているとか、天皇制や自衛隊を完全否定しているというような日本共産党批判が的を射ていないということもよくわかった。 一方で、いつの時代も、民主集中制により派閥(分派)の存在を許さないという方針は堅持されており、党内抗争、あるいは分立、粛清が常に起こっていたということも事実である。そこが日本共産党が人々になかなか受け入れられない最大のネックになっていると思う。 著者の師である塩川伸明氏が共産主義(社会主義)について、「『負けたのは特定の社会主義にすぎない』という人は、往々にして、『社会主義Aは失敗したが、社会主義Bはまだ試されていない』という風に考えがちである。だが、それは社会主義の歴史を踏まえない見方である。1950年代半ばのスターリン批判以降、さまざまな国でさまざまな仕方でスターリン型社会主義からの脱却の試みが30年以上もの間続いてきたことを思えば、問題は、『社会主義Aも、社会主義Bも、社会主義Cも、社会主義Dも、社会主義Eも……失敗した後に、なおかつ社会主義Xの可能性を言えるか』という風にたてられねばならない。そして、これだけ挫折の例が繰り返されれば、もはや望みは一般的にないだろうと考えるのが帰納論理である」、また、「『真の(社会主義)』という言葉を使うのは慎重であった方がいい」と書いて(言って)いたことが紹介されているが、心に留め置くべき言説だと思われる。 なお、日本共産党が部落解放同盟と敵対している背景など、もう少し詳しく知りたいと思う部分もあった。

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2023/09/01

非常に読みごたえがあった。学者らしく、事実に基づいた筆致には感銘を受けた。ただ政治には感情も伴うので、完全な客観性はないと思う。世界の共産党が衰退している中で、したたかに生き悔いてきた日本共産党は原理的でありながら、時の情勢に応じた現実性もあったから生き延びてきたと思う。ただ現在...

非常に読みごたえがあった。学者らしく、事実に基づいた筆致には感銘を受けた。ただ政治には感情も伴うので、完全な客観性はないと思う。世界の共産党が衰退している中で、したたかに生き悔いてきた日本共産党は原理的でありながら、時の情勢に応じた現実性もあったから生き延びてきたと思う。ただ現在の内部状況(大衆組織の弱体化や高齢化の事だが)を、どう生き延びるかは、これまでの経験だけでは乗り切れない。100年ということで様々な意見も出ているが、外部の意見も取り入れながら開かれた組織が生き延びると思う。公式100年史と並行して読むとより面白かった。

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2024/02/17

昨年結党から100年を迎えた日本共産党100年の歴史。日本共産党に関しては立花隆『日本共産党の研究』(1978)が有名、かつ面白いことは言うまでもない。しかし、本書も負けず劣らず読み応えがあって面白かった。何よりも1980年代以降の分析が加わっている(アフガン侵攻、天安門事件、ソ...

昨年結党から100年を迎えた日本共産党100年の歴史。日本共産党に関しては立花隆『日本共産党の研究』(1978)が有名、かつ面白いことは言うまでもない。しかし、本書も負けず劣らず読み応えがあって面白かった。何よりも1980年代以降の分析が加わっている(アフガン侵攻、天安門事件、ソ連崩壊など)ので国際情勢が大きく変化していった1980年代以降、日本共産党が変わった部分、変わらない部分、両方含めてそのスタンスがよくわかる。 著者は1968年生まれなので、自分より7つ年下だが大学に入った頃にキャンパスには「民青」の方たちが大勢いたのを目の当たりにしているなどという経験は共有している。本書には書かれていないが、ポスト志位の有力候補と言われる田村智子日本共産党中央委員会政策委員会責任者(政策委員長)は早稲田の後輩。いたいけな(?)彼女は学費スライド制導入反対運動を契機に民青の先輩に「勉強会」に誘われてその後日本共産党に入党したのだとか……。彼女が新入生のとき、私は4年生であったのと、早稲田では比較的セクトの影響力が弱かった政治経済学部との差があったのかなと思ったりもした(本書によると1980年代が民青の規模がもっとも大きかったとのこと)。 著者は最後の「日本共産党はどこに向かうのか」で、今後取り得る二つの選択肢について予想している(pp.401-2)。私も社会民主主義的な方向よりも障害が少ない「民主的社会主義」(共産主義の看板を下ろさずにさまざまな反資本主義、反新自由主義、脱原発、ジェンダー平等、エコロジー、草の根民主主義などニューレフト的な要素を取り込みながら進む方向)に行くとは思うが、そうするとますます現実の政権を担う党にはなりにくうなるのだろうと思う。 追記:2024/1/18、日本共産党の新委員長に田村智子氏が選出された。

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2023/07/09

Wikipediaより正確で、学術書より読みやすい。戦前の非合法な時代から、90年代以降の小選挙区制導入や党員高齢化の苦しい時代まで、現在の課題も踏まえて俯瞰した一冊。内容について志位委員長が批判したようだが、どこがおかしく問題なのかさっぱりわからん。

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2023/03/25

おつかれさーっす。 「日本共産党」さまにはこの言葉しかない。 新しい見方もあるし、いつまでも公安監視団体ってのもやっぱりどうかと思ってはいたが。 なんつか、命懸けのサークル活動というか、見えないものを見ようとして、チラッと見えたものに縋って、手を伸ばしては裏切られ続けて、そ...

おつかれさーっす。 「日本共産党」さまにはこの言葉しかない。 新しい見方もあるし、いつまでも公安監視団体ってのもやっぱりどうかと思ってはいたが。 なんつか、命懸けのサークル活動というか、見えないものを見ようとして、チラッと見えたものに縋って、手を伸ばしては裏切られ続けて、それでも理想は必ず実現できるんだと信じてというか、実現できたものが理想に違いないと信じて。 理念に現実がついてくると考えていると思われる割には、その理念を、少数の指導者によって何気に変更させてきた。 異分子は認めず、「俺の信じる共産主義こそ正しく、正統であり老舗であり本家である」ことにこだわる。異論は排除する。何故ならそれは、正しくないから。 生き延びることを優先して来た故に、本来実現する理想すら変容して来ているのに、それが矛盾なく両立している。 信じろって言われてもなあ。 変容したって言われてもなあ。 その辺、著者の主張に違和感を感じた。 仮に政権取ったり、「革命」起きたらまた、変わる可能性がある。 全てが「共産革命」実現のための手段である可能性は、全然否定されない。 現実に飽き足らない部分てのは必ずあるので、その受け皿として、存在し続けることはあるんだろうが、その先には一歩も踏め出せない気がする。

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2022/12/18

自民党や公明党の分析で定評のある政治学者による日本共産党研究。国際比較と歴史研究を併用しつつ明らかにしたのが、1961年に確立された宮本顕治路線の独自性である。それは、ソ連・中国からの自立性の徹底的な追求や、時代状況に合わせた政策メニューの提供といった「柔軟性」を与えたと同時に、...

自民党や公明党の分析で定評のある政治学者による日本共産党研究。国際比較と歴史研究を併用しつつ明らかにしたのが、1961年に確立された宮本顕治路線の独自性である。それは、ソ連・中国からの自立性の徹底的な追求や、時代状況に合わせた政策メニューの提供といった「柔軟性」を与えたと同時に、革命という最終目標や中央集権的な党内運営(民主集中制)の堅持という点では、「教条性」を併せ持つものであった。そして、この宮本路線が、現在も日本共産党の方向性を大きく規定している。 事実、宮本路線の下、日本共産党は1960~70年代に大きく伸長する。中野重治らの除名といった組織分裂にも関わらず勢力を拡大していく過程を、本書は躍動的に描いている。そして、その後、停滞しつつも、ソ連崩壊や天安門事件にも耐えられるだけの力量が、日本共産党には備わっていた。これも、宮本路線の成果である。 とはいえ、さすがの宮本路線も賞味期限切れでは、というのが、筆者の結論であり、本書の濃密な議論が、その説得力を支えている。本書の帯には「100年の軌跡」とあるが、日本共産党が本書のような議論にどう応えられるのかによって、そのこれからの軌跡は大きく変わってくるのではないだろうか。

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2022/12/08

日本共産党100年の歴史を書いた本である。最近の最後の方はあまり頭に入ってこないが、戦前あるいは戦後及び学生運動の前後については非常にわかりやすく書かれているので、日本共産党についての卒論では必携となるであろう。

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2023/05/03

2022年10月読了。 34ページ 「多様化するマルクス・レーニン主義」の概念図。一口に「共産主義」といっても個別の問題に対してどういうスタンスを取るかによって区分される。

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2022/10/23

 中国共産党結党より1年遅れて、日本共産党はコミュンテルンの日本支部として結成され2022年7月15日に創立100周年を迎えた。スパイ、裏切り、特高警察による弾圧や公安警察による謀略、創価学会からの盗聴事件、暴力革命路線との決別、中露共産党の干渉との闘い、紆余曲折の100年ながら...

 中国共産党結党より1年遅れて、日本共産党はコミュンテルンの日本支部として結成され2022年7月15日に創立100周年を迎えた。スパイ、裏切り、特高警察による弾圧や公安警察による謀略、創価学会からの盗聴事件、暴力革命路線との決別、中露共産党の干渉との闘い、紆余曲折の100年ながら、100年続いた政党の価値は高い。  著者の中北浩爾氏は、「あとがき」でコロナ禍の2年だったからからこそ膨大な資料をすみずみまで調査、研究し、日本共産党の研究が行えたとしている。また、「はじめに」の冒頭では、「紆余曲折を経ながらも野党共闘は徐々に深まり、共産党の一切の関与なき政権交代を考える事は難しくなっている」としつつ、世界的な共産党の盛衰や変遷も丹念に追いつつ、日本共産党を党外部から俯瞰する。暴力革命の政党として、未だに破壊活動防止法の対象団体に位置づけられているが、著者も指摘している通り、今の日本共産党の活動をみて暴力革命の党に位置づけるにはむりがあると指摘するが同感である。50年問題を克服する過程で中露共産党の干渉を撥ね除け、1961年綱領確立で平和的な民主連合政権樹立を目指す方針や党員の活動は、暴力とは全くの無縁である。  過去の日本共産党幹部の幾多の問題を詳細に指摘しつつ、党幹部として日本共産党を確立した宮本顕治や不破哲三、志位和夫へ引き継がれる過程を論評する。組織は、内部牽制の強化は良く言えば強力なリーダーシップ、悪く言えば官僚統制の強化や独断専行となる事は、ロシアのプーチンや中国の習近平が浮かぶであろう。中国共産党は毛沢東の文化大革命による歴史的失敗より、鄧小平や胡錦濤が集団指導体制にして、権力の分散を続けたが、再び習近平に権力が集中することになったことはプーチンの愚行を繰り返さないか心配である。日本共産党は、党幹部や中央委員を増員しつつ、民主集中制による集団指導体制、党大会前の議案提案や積極的議論を尽くして、党大会で採決行う事への批判は根強い。しかし、自民党の党大会が討論なしのわずか2時間でおわり、派閥争いと権力闘争に明け暮れる様は、企業のトップ争いと同様に、資本主義の歪みか組織であるが故の課題か、多方面での検証や議論が進むであろう?  最終章では、日本共産党が民主連合政権に加わる前提として、いくつかの課題を挙げ、日米安保が最も困難を極める課題と指摘する。日米安保の問題について沖縄県を除いた地域では、受け止めは低いかもしれないが、米軍基地撤去の民意を示し続けている沖縄県民を思えばこそ、日米安保の問題を乗りこえるべきであろう。少なくとも、外国の要人が日本に来訪するときは、羽田空港か、成田空港で離発着している。にもかかわらず、米国の要人は我が物顔で首都東京にある横田基地から離発着している様をみて、異様な対米隷属と移らないのだろうか。また、統一協会問題が明らかになるなかで、自民党や公明党の凋落に終止符を打つ、大きな国民世論が重要だろう。  所感になるが、日本共産党は庶民の立場に立って、くらしを支え、格差と貧困を是正し、政財界の不正をただし、国民が主人公の民主的、清潔な政治が行える監視役。まっとうな政治のスパイスであり、ここから自力をつけた党勢拡大になるかは、日本共産党の幹部、党員の不断の努力を積み重ね、更なる100年を待たなければならないのかもしれない。いずれにしても、日本共産党からみた正史100年の発刊と購読をした上で、あらためての論評が必要なのだろう。

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2022/10/10

正直に言うと、戦前戦中の日共の歴史にはあまり興味が持てず、なかなか読み進められずにいたが、 コミンフォルム批判=所感派国際派のバトルあたりから急に面白くなった。 「終章」において、過去の経緯と現状の課題がコンパクトにまとまっている。新書としてはページ数の多い本書を読む時間が限ら...

正直に言うと、戦前戦中の日共の歴史にはあまり興味が持てず、なかなか読み進められずにいたが、 コミンフォルム批判=所感派国際派のバトルあたりから急に面白くなった。 「終章」において、過去の経緯と現状の課題がコンパクトにまとまっている。新書としてはページ数の多い本書を読む時間が限られる読者が積読で終わるなら、終章だけでも読んでおく価値があると思う。 本書は、日本共産党という角度から見た現代史/政治史、とも言えるかもしれない。 なお、日共が学生運動の破壊者、敵対者として振る舞ってきた歴史についての記述が非常に少ない点が気になったが、あとがきで理解した。著者は、すでに学生運動がもう破壊し尽くされた後の87年入学なので、そこに関心はあまりなかったのだろう。

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