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AI時代の資本主義の哲学 の商品レビュー

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2022/08/11

アダム・スミス,マルクス,ウェーバー,コルナイ,シュンペーターの議論を軸にして,資本主義の性質を考察することが目的の本。以下は個人的な下手くそまとめ。 資本主義を,生産要素市場がある市場経済で,イノベーションが継続的に起きる性質を持つと捉えている。 市場と組織・所有とが微妙なバ...

アダム・スミス,マルクス,ウェーバー,コルナイ,シュンペーターの議論を軸にして,資本主義の性質を考察することが目的の本。以下は個人的な下手くそまとめ。 資本主義を,生産要素市場がある市場経済で,イノベーションが継続的に起きる性質を持つと捉えている。 市場と組織・所有とが微妙なバランスを取り続けるところに資本主義の核心があるという。バランスは,私的所有権は市場に参加する権利でもあり市場から降りる権利でもあるという点や,イノベーションを駆り立てる動機になる独占が市場経済の的である一方で資本主義の動力でもあるという点のこと。 土地,資本,労働が市場で取引されるがゆえに,土地,資産,人的資本,知識を持つ側と持たない側の格差が構造的に存在することになる。 AI化のもとでの資本主義は格差を拡大していきそうだと述べる。ただ,監視資本主義(プラットホーム企業やネット企業の監視資本主義が自由な市場経済を否定してしまう可能性もなくはない),雇用から請負への移行(AIにより外部から必要な人材をすぐに調達でき,予め決まった仕事を確実に割り振れるようになると,雇用から請負にシフトする。雇用から請負へのシフトにより,情報に不利な立場にある受注者が搾取されるという新しいタイプの労働疎外が起こるかもしれない)に留保がある。 またAI化の一つの予想として,AIの機械学習で,自分で自分を真似することが起こるとバブルが起きるかもしれないとのこと(株式投資や顧客の行動履歴に基づいた提案システムのもとでの消費において)。

Posted byブクログ

2022/07/07

スミス、マルクス、ウェーバー、ウォーラーステイン、シュンペーターらの理論を用いて、資本主義を概念分析しその本質に迫ろうとする試み。そこでは資本主義の本質が「生産要素市場を備えた市場経済における、イノヴェーションの創発の恒常化」と定義される。その議論の過程の中では組織や規則を重視す...

スミス、マルクス、ウェーバー、ウォーラーステイン、シュンペーターらの理論を用いて、資本主義を概念分析しその本質に迫ろうとする試み。そこでは資本主義の本質が「生産要素市場を備えた市場経済における、イノヴェーションの創発の恒常化」と定義される。その議論の過程の中では組織や規則を重視するウェーバーの理論は否定とまでは言わないまでも排除される。その背景にあるのは経済学的か社会学的かのアプローチの違いにあるようである。 書名にある「AI時代」に関しては最終章に少々出てくるだけで、労働問題や監視社会といったテーマが語られるが、あまり目新しい議論はされていないように思えた。という意味においては「題名に偽りあり」とも言えるが、そこに至るまでの資本主義を概念分析しその本質に迫ろうとする試みそのものは、著者独特の思考が感じられ、読み応えは充分あるとは言える。

Posted byブクログ

2022/06/18

1 資本主義・対・社会主義 資本主義を克服する社会主義 古典派経済学的把握 現存する社会主義と産業社会論 世界資本主義と世界社会主義 グローバル資本主義・近代としての資本主義 2 資本主義とは何か マックス・ウェーバー イノヴェーションを創発する市場経済 3 仕組み 官僚制資本と...

1 資本主義・対・社会主義 資本主義を克服する社会主義 古典派経済学的把握 現存する社会主義と産業社会論 世界資本主義と世界社会主義 グローバル資本主義・近代としての資本主義 2 資本主義とは何か マックス・ウェーバー イノヴェーションを創発する市場経済 3 仕組み 官僚制資本と資本主義 市場と所有 市場と組織 財産権の多様性 4 核心 知的財産、人的資本 5 AI時代の資本主義 労働なき資本主義 監視資本主義・ギグエコノミー・AI化とバブル おわりに 補論 資本主義と国家:戦争機械 福祉国家論 公共財の理論 国家・公共性

Posted byブクログ