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文天祥 の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2022/11/14

戦前は忠君の代名詞とされ、良いように利用された感があるが、実感として、良くも悪くも試験秀才の人。確かにすぐ裏切る節操のない人より、好感は持てるが、戦乱の世では生きにくい人という印象。

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2022/06/21

陳舜臣の「中国の歴史」にも崖(やまかんむりはない)山悲歌と正気の歌の二章を割いて文天祥を書いているが、著者との違いが面白い。 著者は文天祥を忠君愛国なドン・キホーテと見るのに対して、陳は悲劇の英雄と見る。この違いは研究者か作家か、という違いからなのか。日本人と華人、或いは片や昭...

陳舜臣の「中国の歴史」にも崖(やまかんむりはない)山悲歌と正気の歌の二章を割いて文天祥を書いているが、著者との違いが面白い。 著者は文天祥を忠君愛国なドン・キホーテと見るのに対して、陳は悲劇の英雄と見る。この違いは研究者か作家か、という違いからなのか。日本人と華人、或いは片や昭和九年生まれの国民学校卒業(国民学校教育の反動として)、片や大正十三年生まれの神戸華僑という境遇の違いからか。 自分は著者の見解に同する。不遇なインテリが科挙主席という一点を拠り所として国家と己が滅びゆく中で気骨を見せた、という印象である。 喜久屋書店阿倍野店にて購入。

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2022/05/31

国家に殉じた忠臣の鑑として喧伝され後世の権力者に利用された文天祥の生涯を小説のような筆致で記述され興味深く読める。科挙に及第して状元となり、その優秀さ・真なる儒教的道徳心ゆえに中央官界では不遇となる中でモンゴル帝国の侵攻にあい、北への連行からの脱出劇をへて抵抗軍活動を行うも中央か...

国家に殉じた忠臣の鑑として喧伝され後世の権力者に利用された文天祥の生涯を小説のような筆致で記述され興味深く読める。科挙に及第して状元となり、その優秀さ・真なる儒教的道徳心ゆえに中央官界では不遇となる中でモンゴル帝国の侵攻にあい、北への連行からの脱出劇をへて抵抗軍活動を行うも中央からはなおも冷遇され囚われの身となり、幾度ものフビライの重用勧誘に応じず命を落としたその時々の状況がスペクタクルに描写されているが、これらは単なる空想ではなく文天祥本人が編纂した詩文集や同時代に近い史料を多く博捜した著者だからこそと言える。これは忠君愛国者と理解・利用された虚像よりも真に迫るものだと思う。

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