死亡告示 の商品レビュー
上巻に続き、バリエーション豊富な短編集。といっても最後の『永遠』は中編的な長さ。どちらかと言えば変化球的な作品が多かった印象ですが、その切れ味は抜群。どの作品でも、何てことのない話が、一つの文章でガラッと、趣が変わる楽しみが味わえました!
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※このレビューにはネタバレを含みます
ニームは人の本能の名残だ。のちにホモサピエンスとなる生物の心理的構成の一部で、生存に不可欠なものだった。初期の原人には、現代なら悪とか、犯罪と認識されるような行動が必要な場面がたびたび訪れた。つまり暴力に訴えたり、怒りや衝動、加虐的な気分、欲に屈服したりせざるをえない場面があった。しかし共同体が生まれ、発展するにつれ、そのような有害な衝動の必要性は薄れた。共同体を治める機関や軍隊、警察機関が、生存本能がそれまで果たしていた役割を引き継いだ。暴力や怒りなどの負の衝動は、不要になっただけでなく、共同体の利益違反するものとなった。
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短編集全6編。どれも捻りが効いていて面白い、さすがディーバー安心して読める。特に中編サイズの「永遠」はシリーズ化して欲しい欲しいくらいである。
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短編集『フルスロットル』に続く『トラブル・イン・マインド』二分冊の後編。前編が、リンカーン・ライムの他、キャサリン・ダンス、ジョン・ペラムなど懐かしの主人公たちが活躍するのに比して、こちらは独立作品がほとんど。標題の『死亡告示』のみがリンカーン・ライムものだが、本書中では最も短...
短編集『フルスロットル』に続く『トラブル・イン・マインド』二分冊の後編。前編が、リンカーン・ライムの他、キャサリン・ダンス、ジョン・ペラムなど懐かしの主人公たちが活躍するのに比して、こちらは独立作品がほとんど。標題の『死亡告示』のみがリンカーン・ライムものだが、本書中では最も短いショートショートに限りなく近い短編。でもライムのアームチェアが表紙を飾っている。不思議だが出版社の意図が感じられ、それもまた理解できる。 最初の一篇『プロット』は、スリラー作家の死を巡る短めの一篇だが、こちらと『死亡告示』は兄弟のような作品に見える。それと書く側の内なる深淵を覗き込んだら、えっ? となるようなひねりプロット。皮肉な真相には喜劇の一面も見える。 次の『カウンセラー』は、オカルト&サイコ風味の語り口で始まる、とても奇妙でスーパーナチュラルな作品。こうした変化球も言わば広義でのディーヴァー節と言えるだろう。聞いたこともないような、全く奇妙なストーリーなのである。 『兵器』はディーヴァーらしい大上段に構えた仕掛けとタイムリミット型サスペンスがブレンドした玩具のような作品である。それにしても結末がディーヴァーらしく後味が良い。 『和解』は、父と子がどのように和解できるのか、はたまた距離が置かれたままの人生で終わるのかを、描くヒューマンなドラマ? さあ、そんなストレートに終わらないのが、ディーヴァーのおもちゃ箱的仕掛け。騙される快感は、本当にどこにでも潜んでいるのだから。 『死亡告示』は、ディーヴァー死す、との死亡告知がタイトルになった実に小さく、かつ興味深い掌編。 さて最後の一作『永遠』だが、これが凄い。本書の半分を占める230ページとなれば短編と言えるだろうか? ぼくの感覚では、限りなく長編に近い中編小説である。そして、長編小説なみにキャラが立っているので、是非、いつかシリーズ化して頂きなくなるような魅力的かつ個性的主人公なのである。 その主人公とは数学の天才。何事も数学に置き換えて解き明かすその徹底ぶりが面白い。別に数学が苦手で嫌いなぼくのような読者でも楽しめたのだから、この主人公は是非再登場して頂きたい。その相棒刑事もなかなかいいやつでバディものとしても行けるし、犯罪者の側も、『カウンセラー』にも似たオカルト的サイコたちなので、この双方のツイストぶりが何とも傑作の匂い芬々といった空気なのである。 短編集の掉尾を飾るこのラスト作品『永遠』を読むためだけでも本書の一読をお勧めしたい。ディーヴァーは、どこまでもディーヴァーなのであった。
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ジェフリーディーバーの短編、中編の作品。どれもこれも、文句なしに面白かった^ ^ 長編、改めて読み直してみたいなと思ってます。
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最初の方のいくつかの短編はディーヴァーらしくないプロットや、フィリップ・K・ディックのような不思議な世界観の話。あれ?どうしたのかなと思って読みすすめた最後の「永遠」は、これぞディーバーの本領発揮といえる作品でした。短編ではなく中編のボリューム。 主人公と仲間のキャラも出来上がっ...
最初の方のいくつかの短編はディーヴァーらしくないプロットや、フィリップ・K・ディックのような不思議な世界観の話。あれ?どうしたのかなと思って読みすすめた最後の「永遠」は、これぞディーバーの本領発揮といえる作品でした。短編ではなく中編のボリューム。 主人公と仲間のキャラも出来上がっているし、どんでん返しがこれでもかと続く。リンカーン・ライム、コルター・ショウに続く新しいシリーズのお試し版として読者の反応を確かめるために発表したのではないかと思うほどの作品です。 前半の短編があれ?だったことについて、訳者あとがきを読んで理解できました。 「短編集1巻「フルスロットル」の著者まえがきにあるように、書き手がいつものジャンルから離れてみたいと考えたとき(中略)一編や二編よそのカテゴリーにお邪魔しても苦情は来ない」 ディーバーだってたまに違う趣向の話を書いてみたいですよね。でも、読者が納得できるように最後にこれぞディーバーって作品を用意して満足させる。さすがです。
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5つの短編と1つの中編。その中の「死亡告示」はショートショートみたいで楽しかった。「永遠」は中編ながら犯人逮捕に至ってもまだまだ続く不穏な感じが凄く良かった。
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CL 2022.8.26-2022.8.28 短編はよくわからないことがあるんだけど、これはオチがハッキリしていてよかった。 いつものジェフリー•ディーヴァーと違う面もあって楽しめた。 中編の「永遠」は主人公二人のキャラがよかった。
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いやいやいや面白かったぞ! 本人曰く「書き手がいつものジャンルから離れてみたいと考えたとき、長編よりは短編のほうが挑戦のハードルが低い…………(中略)…………短編小説は、長編ほど読者に多くを要求しない。次回の長編はあなたが期待しているとおりの…………作品に戻りますよと長年のファ...
いやいやいや面白かったぞ! 本人曰く「書き手がいつものジャンルから離れてみたいと考えたとき、長編よりは短編のほうが挑戦のハードルが低い…………(中略)…………短編小説は、長編ほど読者に多くを要求しない。次回の長編はあなたが期待しているとおりの…………作品に戻りますよと長年のファンに約束したうえで、一編やニ編、よそのカテゴリーにお邪魔しても苦情は来ない」 言ってるとおりのことを思う存分やってます そして長年のファンを自認する自分もまぁ短編ならねというスタンスだ そして各短編に込められた革新的な取組みは革新的な取組みが常にそうであるように初めは凡人たちの否定的な意見に晒されることになる 凡人代表の自分もそう、これがいつかとんでもない長編の誕生のきっかけになるかもしれないから読んでおこう、まぁちょっとね、面白いかどうかでいったらまぁちょっとあれだけどね なんて思ってたら 最後の中編『永遠』が出色の出来でした! このままの設定で明日から新しいシリーズが始まってほしいくらい いやもうすでに始まっていてもOKだ 登場する二人の刑事がもう魅力的すぎるんです! 中編なのでどんでん返しは軽めだけど脇を固めるキャラクターたちも粒立ってるし ディーヴァーファンなら大きな心で手に取るべき1冊!
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ジェフリー・ディーバの短編集の下巻にあたる一冊。こちらは、ライム登場の短編が1編と短編が4編、中編的なボリュームがある1編という構成。短編はこれまでの作品とは一風変わった感じの作品もあり新鮮。どれもしっかりとオチが付いていてさすが。中編はライムとは違う意味での数学的な論理的思考で...
ジェフリー・ディーバの短編集の下巻にあたる一冊。こちらは、ライム登場の短編が1編と短編が4編、中編的なボリュームがある1編という構成。短編はこれまでの作品とは一風変わった感じの作品もあり新鮮。どれもしっかりとオチが付いていてさすが。中編はライムとは違う意味での数学的な論理的思考で対応する主人公による展開は気持ちよく、最後のほのぼの感も良かった。
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