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戦国武将、虚像と実像 の商品レビュー

3.9

15件のお客様レビュー

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正直に「司馬史観批判」でも良かったのでは…?

2022年6月読了。 近著「頼朝と義時 武家政権の誕生」が大変面白かったので、こちらも…と思い、購入。 それにしても著者が大河ドラマの歴史考証から降板した問題は、随分と又くだらない理由だったんだね…。 確かに、著者の言動も決して褒められたモノでは無いけど、コレって、...

2022年6月読了。 近著「頼朝と義時 武家政権の誕生」が大変面白かったので、こちらも…と思い、購入。 それにしても著者が大河ドラマの歴史考証から降板した問題は、随分と又くだらない理由だったんだね…。 確かに、著者の言動も決して褒められたモノでは無いけど、コレって、例えば芸能人がプライベートで酔っぱらって喧嘩したから、ドラマの配役を下ろされたみたいな話で、「ソレとコレとは…」って気が正直しました。あ、本の感想と関係有りませんね…、失礼。 さて本書、好き放題書いたりメディアで訳知り顔で喋ってる「在野の」歴史家さん達の振舞いが目に余るので、「本職の研究者」として、(歴史を)分かった風に勝手に語るな!って思いが沸き上がってきて書かれたのかなw?と云う様な印象を受けました。 自分はたまたま愛読紙で、東大史料編纂所教授である本郷和人先生の連載コラムをいつも読んでいるので、研究者ならではの「そんな事、どの一次史料にも書いてないんだってば!…」と云う忠告(お怒りw?)の気持ちはよく分かります。 確かに、巷間言われている事で「ソレって本当の話?」と聞きたくなるエピソードは、本書に挙げられる人物では良く聞きますよね。それが「史実か?フィクションか?」とは、一々問い質されずに「皆が知ってる話」としてまかり通っている部分は確かに多いと思います。 そして、えてして在野の歴史家の方が仰る「自分なりの解釈」が、いつの間にか既成事実の様に語られていると「その論拠は?」とツッコミたくなる時も確かに有ります。 本書はそういう部分について、「それは自分自身が思い付いたと思ってるかもしれないけど、何百年も前から、又はつい数十年前から言われてきた全然論拠の無い俗説なんですよ」と教えてくれ、そういう事例の影響力が非常に大きい要素として「司馬史観」をターゲットにしています。 これはここ数年で多方面から声が挙がり始めた現象で、人によっては「司馬史観の功罪」等とキツい表現で非難されている方も増えてきましたよね…。 著者は、その点を「ただ論難する」のではなく、「虚か実かをハッキリさせた上で、各自(それを理解した上で)語ろうよ」と云うトーンで教えてくれます。 でもまぁ、個々に見ていくと「そりゃあ確かに今の所は(!)、一次史料は見付かってないけどさぁ…」と、(在野の方を)庇いたく成ってしまう気分に成ってしまうのは、自分だけでしょうかww? 先程上げた本郷先生も「今の所は(!)、それを示唆する一次史料は見付かっていませんが、今後そういった古文書が見付かる可能性も、全く無いとは言えないですね…」と仰る事も意外と多いんですよ。 ですから、逆に「専門の研究者であるが故に」自己規制していると云うか、「滅多な事を言うものじゃ無い」と抑制し過ぎている部分も、研究書などを読んでいて感じてしまう事だってよく有ります。 でもまぁ司馬さんが、徳富蘇峰の著書をネタ本(的にw)読んでいたという話は、この本で初めて知りました。むしろそっちの方がショックと言うか……。 とにかく、歴史を語る時に「その根拠は?」と云う視点を忘れてはいけないんだなと言う事だけは、良~く理解出来ました。ただ、「ソレはほとんど全部嘘だよ!」と本書で指摘している部分が、概ね「創作話」だと既に知っている事が多く、「そうなの?!知らなかった~!!」と云う驚きには余り出会えなかったので、評価は星3つかな…。 最後に、本書の前書きや後書き等を読んでいると、著者ご自身も「GHQによるWGIP」の影響を少なからず受けているなという印象を持ちました。年齢的に自分とそう離れていないので、そういう教育を受けてきた事は理解しますが、「本職の歴史研究者」なら、A新聞やM新聞のシンパの様な発言をしていては駄目だと思いますよ、老婆心ながら…。

左衛門佐

2024/05/05

時代によってどのように人物像が書き換えられていったか、丁寧に分かりやすく説明されている本。ところどころ「司馬遼太郎を目の敵にしてるのか?」と感じてしまうところもありますが、それはそれだけ現代日本人に対する司馬遼太郎の影響が大きいからでしょう(あるいは、単に自分が司馬遼太郎好きなの...

時代によってどのように人物像が書き換えられていったか、丁寧に分かりやすく説明されている本。ところどころ「司馬遼太郎を目の敵にしてるのか?」と感じてしまうところもありますが、それはそれだけ現代日本人に対する司馬遼太郎の影響が大きいからでしょう(あるいは、単に自分が司馬遼太郎好きなのでそう感じてるだけかもしれませんが)。 ともあれ、繰り返しになりますが、人物像はその時代の都合(あるいはその時代の常識)により勝手に書き換えられてきたということを、丁寧に説明してくれている良書だと思います。

Posted byブクログ

2023/07/27

虚像は理解できるが、実像となると新資料が発見されるたびに変わっていくこと、時の権力者への忖度が実像を歪めると言うことがわかる良い本だと思った。

Posted byブクログ

2023/01/14

司馬遼太郎の描く小説は、山岡荘八とか他の歴史作家が描くものに比べたら、すごく客観的で思い入れがあまりなく、その分公平な視点で書かれていて面白いなあと思っていたのだが、それを史実として読んではいなかったように思う。しかしこの本を読んでみると、やはり一定程度、史実として読んでいたんだ...

司馬遼太郎の描く小説は、山岡荘八とか他の歴史作家が描くものに比べたら、すごく客観的で思い入れがあまりなく、その分公平な視点で書かれていて面白いなあと思っていたのだが、それを史実として読んではいなかったように思う。しかしこの本を読んでみると、やはり一定程度、史実として読んでいたんだなところ気付かされた。 結局のところ同じ、家康や信長、秀吉や明智光秀などの評価はその時代時代の価値観によって左右されるとのことなのだけれど、ではつまり、生きる時代によってどう捉えるかは皆んなの自由なのだから、実像と虚像という視点は持たない方が良いんじゃないかなと思った。

Posted byブクログ

2023/01/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私たちが印象を抱いている歴史上の人物に対する印象が、いかにその時代の時勢に影響を受けるものであるかを改めて認識しながら、興味深く読みました。 上記の視点は、どんな本を読む場合も、意識しておくべきだと思います。 惜しむらくは、最新の研究結果による人物評の記載がもっと知りたかったです。

Posted byブクログ

2022/12/20

戦国武将、とあるものの織豊期以降の人物がメイン。近世以降、軍記や説話集、文芸の実例を参照しながら人物像の変遷過程を追い、形成された虚像と実像を比較していく内容。いわゆる司馬史観の源泉やその意味・問題点も理解しやすい。

Posted byブクログ

2022/11/07

メモ 政権の自己保身のための学問統制、外圧などで生じるナショナリズムや、俗流演劇・文学が大衆歴史観に大きな影響を与えた。 妄想戦記やトンデモ本に、学者はいちいち反論・否定しないことから、歴史的真実と思い込むひと多数。

Posted byブクログ

2022/10/25

信長、秀吉、家康。誰もが知っている戦国武将に対するイメージというものが、現代の歴史小説・映画・ドラマなどによって形成されたものであるという事実に気付かされた。 多くの一般人はそもそも、歴史的な一次史料に触れる機会がほぼないのだから、当然と言えば当然の結果だとは思う。 自分が目...

信長、秀吉、家康。誰もが知っている戦国武将に対するイメージというものが、現代の歴史小説・映画・ドラマなどによって形成されたものであるという事実に気付かされた。 多くの一般人はそもそも、歴史的な一次史料に触れる機会がほぼないのだから、当然と言えば当然の結果だとは思う。 自分が目にしている作品の作者の知見・解釈による像であって必ずしも実像ではないかもしれないという意識を持つか持たないか。「歴史に学ぶ」という視点で作品に触れる際に、この点が重要という筆者の考え方に共感した。

Posted byブクログ

2022/10/11

創作と歴史学の狭間。大衆的歴史観の変遷と影響を考察した切れ味鋭い一冊。 江戸時代、明治から昭和そして戦後と日本史上の人物の評価は時に二転三転する。 明智光秀、斎藤道三、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、真田信繁、徳川家康。 古今多くの書籍から論ずるだけに説得力のある内容。良く作...

創作と歴史学の狭間。大衆的歴史観の変遷と影響を考察した切れ味鋭い一冊。 江戸時代、明治から昭和そして戦後と日本史上の人物の評価は時に二転三転する。 明智光秀、斎藤道三、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、真田信繁、徳川家康。 古今多くの書籍から論ずるだけに説得力のある内容。良く作家の「新たな〇〇像」といったものも実は過去の先人の解釈の焼き直しだったり。 良かれ悪しかれ日本史における司馬遼太郎の影響の大きさには何より驚かされる。

Posted byブクログ

2022/09/14

呉座勇一先生の切れ味は決して鈍っていないが、 色々あったから(ググれ)致命傷に至るまでも ないのは感心した・・・大人になったね

Posted byブクログ