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モーメント・アーケード の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2026/02/06

クオンの「韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション」のユン・イヒョン『ダニー』がめちゃくちゃ好きで、同じく同シリーズの女性作家によるSF掌編ということで、ずっとずっと気になっていたファン・モガ『モーメント・アーケード』ようやく読了。 記憶と感情、ありとあらゆる「瞬間」を...

クオンの「韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション」のユン・イヒョン『ダニー』がめちゃくちゃ好きで、同じく同シリーズの女性作家によるSF掌編ということで、ずっとずっと気になっていたファン・モガ『モーメント・アーケード』ようやく読了。 記憶と感情、ありとあらゆる「瞬間」を売買できる空間で、私はようやくあなたに出会えた。 良い…!寝る前にサラッと見てみようと思ったら止まらなくなり一気に読み終えてしまった。そもそも二人称小説が好きで弱点なのに、それをとても巧みに活用していて。訳者解説の通り、「私」<>「あなた」、「私」<>「姉」のとてもパーソナルな関係を、読み手は「私」<>「読み手」から成る読書を通じて追体験できる。まさに本を買い、読む事それ自体が「モーメント・アーケード」。VRを題材にした作品は何作か読んできたけど、読み手まで捉えた世界観の構築をしているものに出会ったのは初めてかも。 そして短いながらもヤングケアラーの社会問題を題材にしているのも凄い。『ダニー』は逆に老孫介護がテーマだったな。チョ・ナムジュの『サハマンション』は格差。凄いわ〜。韓国文学×SF×女性作家は当たりばかりなので引き続き読んでいきたい。

Posted byブクログ

2025/11/24

他人が経験した記憶を売買できるモーメント・アーケード。姉妹の家族愛に感動しました。文章が丁寧で描写がとても綺麗。読みやすかったです。富山県の翻訳家の方とのことで、同じ出身地なので、なんだか嬉しくなりました。他の作品も読んでみたくなりました。

Posted byブクログ

2024/07/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

誰かの目と感覚を通じて、その人の「瞬間(モーメント)」を疑似体験できる、そんな技術が普遍的に使われるようになった少し先の未来。主人公はあるモーメントと出会う。 語り手である「私」は一貫して少し堅い言葉遣いをしている。それは彼女がこれまでの人生において誰かと心を通じ合わせ、心の安らぎを得た経験が無いからなのかもしれない。一人称で自分の人生を語っているにもかかわらず、常に冷めた感覚を与えるこの「です・ます」調の語り口は、小説を読み始めたばかりの読者に「距離感」のようなものを与えてしまう気がする。 これは訳者の問題なのだろうか。それとも元々の著者の文体に問題があるのだろうか。 そうではない。 この文体にはふたつの役割がある。ひとつは主人公である「私」のパーソナリティを表す役割。もうひとつは読者である「あなた」との"交信"の役割だ。 12年間にわたる母親の介護生活の末、心がズタズタになった「私」が出会ったモーメント。それはどこかの誰かが持つ「恋人との記憶」だった。「私」はその記憶に触れることで少しずつ心の傷を回復させてゆく。 この時点では「自分が経験し得なかった経験を知ることが出来るのは素晴らしい!=読書って素晴らしい」ってことがテーマなのかと思っていた。それは最終的にあながち間違っていなかったのだが、ラストシーンに至るまでに、本短編小説はいくつかの展開を用意し、そのテーマを読者にとってより身近で、より切実なものとする。 つまりこの短編は、読書をすることで誰かの人生を、誰かの記憶を、誰かの感情を疑似体験させる試みなのだ。無論、それだけならば、どんな小説でも当てはまることだ。小説を読むことはイコール仮想の人生を生きることに他ならない。 しかしこの小説はそこで終わらない。主人公である「私」のすぐそばに「あなた」という人物を用意することで、まるで読者は「私」と交信している感覚になる。その交信を経て、「私」が見えていなかった誰かの人生を知ったとき、「あなた(=読者)」は「私」を救う手助けをすることとなる。主人公の心が移り変わる様子には、若干物分かりが良すぎるように感じる部分があるものの、この、「読む」ことで「私」を手助けするという感覚は本作の白眉だろう。 本を読むという行為は通常一方通行な行為だ。読者は作者が書いた言葉を受動することしか出来ない。しかし本作は、「私」と「あなた」という人物を、強く結びついた関係性にすることで、苦しみと悲しみと後悔の中で生きてきた「私(=本)」に、「あなた(読者)」が介入しているという奇蹟を用意する。それは、メタフィクショナルでビビットな体験だ。 まるで私が登場人物を救ったかのような、いや、そこまで驕った言葉を使わないまでも、瞬間的にであれ、彼女の人生に”関われた”のだというような、そんな感覚を読みながらにして得る。 読書という行為の一方通行性を打ち壊し、私とあなた、本と読者の関係が”相互作用”によって成り立っているのだと、この短編は謳う。 あなたのおかげで私はこの世界に帰って来られたのだと。だから私は生きているのだと。

Posted byブクログ

2024/04/30

ファン・モガ「モーメント・アーケード」読了。素晴らしかった。バーチャル空間で、切り売りされた人の記憶を感情も含め追体験できるシステム、モーメント・アーケード。何気ない無機質な近未来の一場面から始まり終わってみれば、主人公カリンの情動から訴え掛けられる怒涛の展開に終始圧倒された。

Posted byブクログ

2023/10/18

"괴로운 일, 슬픈 일, 걱정되는 일이 매 순간 이어지는 건 삶의 당연지사. 그 와중에 아주 잠깐만이라도 숨통이 트이는 순간을 맞이할 수만 있다면, 다시 또 살아갈 수 있을거야." (p.019)

Posted byブクログ