美しき愚かものたちのタブロー の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
原田マハさんの作品はたくさん読んでいるが、自分的にはベスト3に入る気がする。 松方コレクションはなんとなく聞いたことがあったが、その熱い経緯を(フィクションが混ざってはいるが)知ることかできて面白かった。 それぞれの情熱がなければ、国立西洋美術館はできていなかっただろうし、意思を継ぐことでなんとか最後までたどり着いたことを知り、今度行く時はよりしっかり見てみようと思った。 また、どの登場人物も誰かのために動いていた。松方のような周りを巻き込みながら夢を叶えていくような人になりたいなー。 日置が悪役なのかとミスリードさせられたが、むしろその逆であったし、日置の戦時中の描写はずっとハラハラで一気読みだった。
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自身の経験を活かした美術関連の小説を中心に、多くの話題作を発表してきた作家、原田マハ。 自分自身も、最初に読んだ『楽園のカンヴァス』以来、この作家さんの作品を読み続けています。 『リボルバー』 https://booklog.jp/users/makabe38/archives...
自身の経験を活かした美術関連の小説を中心に、多くの話題作を発表してきた作家、原田マハ。 自分自身も、最初に読んだ『楽園のカンヴァス』以来、この作家さんの作品を読み続けています。 『リボルバー』 https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4344433068 未読の作品がないか探したところ、美術を題材にしていると思われる、この作品が文庫化されていたので、読むことにしました。 物語は1953年のパリでのシーンから、始まります。 日本を代表する美術史家である田代雄一は、日本政府の特命を受けて、この地にやってきます。 その特命とは、敗戦によりフランス政府に接収されてしまった「松方コレクション」の、返還交渉を担当せよ、というもの。 「松方コレクション」とは、衆議院議員も務めた実業家、松方幸次郎が収集していた美術品のうち、第二次世界大戦時にフランスに残されていたもの。 日仏の外相同士が合意しているとはいえ、戦争の記憶がまだ色濃く残るご時世。 戦争に負けた後、主権を回復したばかりの日本が、戦勝国であるフランスを相手にした交渉は、困難が予想されました。 フランスの交渉担当者が旧知の人物であることに期待した田代ですが、その相手から厳しい条件を突きつけられてしまいます。 敗戦国に対する”申し渡し”のような態度に、憤る田代。 果たして、この状況を好転させることは出来るのか・・・という始まり。 自分自身、国立西洋美術館の常設展を繰り返し鑑賞してきたので、松方コレクションのことについておおよそは、知っていました。 それでも、松方本人や彼のコレクションを支えた人物が登場する「物語」として読むと、彼が集めた西洋美術品の数々を、今の自分たちが鑑賞できているということが、奇跡のように思えてきました。 大きなことを成し遂げるには、中心となる人物の強い思いが必要。 強い思いは時間と空間を超えて、他の人々の力を集める。 実行力を持つ人々が、それぞれの役割を全うしてはじめて、大きなことは実現に至る。 「美術、芸術が持つ力は、社会を変えられる」という、原田マハのメッセージを強く感じた、作品でした。 .
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原田マハさんのアート小説 画家そのものというよりは、どのような経緯で絵画が美術館に飾られ、私たちが鑑賞できるのか本当によくわかった作品である。 戦渦の中、造船業を指揮していた松方であるが、1枚の絵をきっかけに絵画にのめりこむ。「一枚の絵は軍艦一隻に相当する力を秘めているかもしれな...
原田マハさんのアート小説 画家そのものというよりは、どのような経緯で絵画が美術館に飾られ、私たちが鑑賞できるのか本当によくわかった作品である。 戦渦の中、造船業を指揮していた松方であるが、1枚の絵をきっかけに絵画にのめりこむ。「一枚の絵は軍艦一隻に相当する力を秘めているかもしれない」と思った松方は国内に美術館を造ろうとタブローを集める。戦中の混乱の中、松方の意向に共感する人たちによって命がけで守り続けられてきたタブロー。そうして現在西洋美術館で鑑賞させていただけるかと思うと頭が下がる思いだ。 「それがなくても生きていける。それがあれば人生は豊かになる。」本当にそうだと思う。日々疲れた時にソファーに座って絵を見ていると疲れが取れる。絵画の力ってすごい。
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やはり原田マハ先生の長編は素晴らしい。登場人物の息遣いが直に伝わってきて471ページに及ぶ大作だが息つく暇もなかった。疾走感が素晴らしい。 緻密なストーリーには百田尚樹先生の海賊と呼ばれた男を彷彿とさせる。終盤読んでて日置、松方の漢意気に泣きそうになってしまった。
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ほぼ実話らしい。胸が熱くなるよい長編。 ボーっと見てたアルルの部屋やモネの睡蓮、次見る時はまた見方が変わるんだろうな。 やはり大切なのは志。画を見られるというのは決して普通のことではないのだ。
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国立西洋美術館がこのような過程があり創立られたのかと思うと、ここでの鑑賞が特別となる。 松方コレクションの絵画を守り抜いた人々の思いを感じながら鑑賞したい。
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今では、美術館が当たり前のようにある時代ですな。そのきっかけを作ったのが松方幸次郎さん。この人が人生張ってくれたおかげで今の美術館があるんだなあと思うと、ありがたく思う。 それに、日本が戦時中にも関わらず、その信念を貫けた人たち、すごいな。ま、そんな人たちの頑張りの物語でした…。...
今では、美術館が当たり前のようにある時代ですな。そのきっかけを作ったのが松方幸次郎さん。この人が人生張ってくれたおかげで今の美術館があるんだなあと思うと、ありがたく思う。 それに、日本が戦時中にも関わらず、その信念を貫けた人たち、すごいな。ま、そんな人たちの頑張りの物語でした…。o(^▽^)o
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「日本にほんものの美術館を創りたい。」その夢を実現するため、絵を一心に買い集めた男がいた。彼の名は松方幸次郎。戦争もあり、彼の集めたコレクションは数奇な運命をたどるが。国立西洋美術館の礎であり、モネやゴッホなどの名品を抱く「松方コレクション」の流転の歴史を描く長編傑作です。
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「日本に美術館を創りたい」という夢を胸に戦時下のヨーロッパで絵画を集めた男。そのコレクションを命をかけて戦火から守り抜いた男。日本敗戦後、フランスに没収されたアートの返還に奔走した男。 国立西洋美術館の誕生の裏側にある、アートに生涯をかけた男たちのドラマ。原田マハさんにしか描け...
「日本に美術館を創りたい」という夢を胸に戦時下のヨーロッパで絵画を集めた男。そのコレクションを命をかけて戦火から守り抜いた男。日本敗戦後、フランスに没収されたアートの返還に奔走した男。 国立西洋美術館の誕生の裏側にある、アートに生涯をかけた男たちのドラマ。原田マハさんにしか描けない世界です。 【それがなくても生きていける。けれど、それがあれば人生は豊かになる。それがあれば歩みゆく道に一条の光差す。それがあれば日々励まされ、生きる力がもたらされる。】 そんなアートに、人生を狂わされ、苦しめられ、支えられ、夢を追い続ける人々の美しさ。アート鑑賞の折には彼らの生き様も頭の片隅に置いておきたい。
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読了。 美しき愚かものたちのタブロー / 原田マハ この小説、胸が熱くなった。 国立西洋美術館の礎となる松方コレクションを収集した松方幸次郎さんと、美術館設立のために奔走した人々のお話。原田マハさんのアート小説はやはり良い。 「ほんものの絵を見たことがない日本の若者たちのため...
読了。 美しき愚かものたちのタブロー / 原田マハ この小説、胸が熱くなった。 国立西洋美術館の礎となる松方コレクションを収集した松方幸次郎さんと、美術館設立のために奔走した人々のお話。原田マハさんのアート小説はやはり良い。 「ほんものの絵を見たことがない日本の若者たちのために、ほんものの絵が見られる美術館を創る」
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