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あの図書館の彼女たち の商品レビュー

4.2

39件のお客様レビュー

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2024/08/18

いい本だった。著者の後書にもあったけど、文学への愛と勇気を強く感じた。愛と勇気。そんなキラキラとした言葉だけで戦争が及ぼす不幸を拭うことはできないけれど。私たちの国で戦争はしていなくても、日々は振り回されること、不安にされること、傷つくことでいっぱいだ。 自分を見失いそうな時私は...

いい本だった。著者の後書にもあったけど、文学への愛と勇気を強く感じた。愛と勇気。そんなキラキラとした言葉だけで戦争が及ぼす不幸を拭うことはできないけれど。私たちの国で戦争はしていなくても、日々は振り回されること、不安にされること、傷つくことでいっぱいだ。 自分を見失いそうな時私は本を読む。この没入する時間が、私の心を落ち着かせる。私はオディールやリリーのように勤勉でも勇敢でもないけれど、本にできることはまだまだある。それだけは信じている。 パリのアメリカ図書館。始めはどういうこと?と思ったが、さまざまな国籍や意見が交差するところ。世界の縮図。素敵だな。いつか行ってみたい。 男ってこうなんだ、女の人生って…と男や女を主語にすると今色んな方面に怒られるけど、やはり男の人生女の人生、性別によって巻き込まれるもの待ち構えるものも違う。出てくる色んな女性をみて、私も彼女達かもしれないと、さまざまに重ねた。重ねることは自由だが、どんな時でも、自分に何ができるかを考える。そういう強さをもらった。 リリーの成長や変化からも、爽やかな励ましをもらった。 うっかり言葉が滑るというのは、誰にだってあることなんだ。コップにミルクを注ぎすぎてしまうみたいに。でも思想は言葉に出るということも忘れてはいけない。本にできることはまだまだあると同時に、言葉の持つ力というものも畏れないといけない。自分の中の「カラス」に気をつけなくては。

Posted byブクログ

2024/07/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

‣ わたしたちは愛する者について知ることができず、相手もまた私たちを知らない。悲しいことだが、それが事実だ。でも慰めもある。他者の物語を読むことで、わたしは自分が独りぼっちでないことを知る ‣ 誰かのことを愛読書によって知るのは、すばらしいことだわ ‣ 「どうして留まっているんですか?」(中略)  「本の力を信じているからよ——わたしたちは大事な仕事をしている。知識が手の届くところにあるようにして、共同体を作って。それに信じているからよ」 「神様をですか?」 「あなたやピッツイやマーガレットのような若い女性をよ——あなたたちが世界を正してくれるはずなの」 ‣ 両親から教わったことが一つあるとしたら、それは自分の主張を守るということだった。(中略)主義がなければ意味がない。理想がなければどうにもならない。勇気がなければ何者でもない ‣ 言葉を口に出す前に考えるようにすると、約束してちょうだい。あなたはデューイ分類法を記憶したかもしれない、言葉を慎むことができないと、知識が無駄になる。あなたの言葉には力があるわ。特に今のような時代にはね ‣ ときに、辛い時期を経験したり、裏切られたりしたとき、傷つけた人間を切り離すことがその後を生きるための唯一の手段になる場合がある ‣ あなたに話したのは、あなたに同じ間違いをしてほしくないからよ。嫉妬心をうまく抑えないと、嫉妬心に動かされてしまう ‣ 愛はやってきては去り、また来るものよ。でも幸運にも本当の友人ができたら、大切にしなさい。手放してはだめ ‣ なぜ本なんでしょう。それは、他者の立場から物事を見せるような不思議なことのできるものは、ほかにないからです。図書館は本によって、ちがった文化どうしをつなぎます ‣ わたしの居場所はここだ。わたしたちの図書館が開き続けているために、できるかぎりのことがしたかった ┈┈┈┈┈┈ ••✼ ✼ ✼•• ┈┈┈┈┈┈┈ ✼ 1939年パリにあるアメリカ図書館の司書になった女性が主人公 ✼ ナチス軍の侵略により、図書館の存続が危ぶまれる ✼ 戦中と戦後、二つの時代を行き来しながら描かれる物語 ✼ 価値観の異なる他者を受け入れることで、自分の気持ちもわかってもらえる ✼ 当たり前のように本が読める日常を繋いでくれた人たちに感謝したい☺️

Posted byブクログ

2024/06/07

第二次世界大戦下、ナチスに占領されたパリにあるアメリカ図書館の図書館員たちの話と数十年後の話が交錯しながら進んでいく。 戦時下にも図書館が開館されていたこと、心の支えにと戦地へと本が届けられたこと、ユダヤ人にこっそり本を届けていた人がいたこと… まだまだ知らないことがたくさんある...

第二次世界大戦下、ナチスに占領されたパリにあるアメリカ図書館の図書館員たちの話と数十年後の話が交錯しながら進んでいく。 戦時下にも図書館が開館されていたこと、心の支えにと戦地へと本が届けられたこと、ユダヤ人にこっそり本を届けていた人がいたこと… まだまだ知らないことがたくさんある。 第二次世界大戦をパリから見ることが私にとっては今までにない感覚だった気もする。 戦争は人を狂わせる。 正義が狂い、倫理観が狂い、平和な時期とは全く違った状態になる。 誰が悪いわけでもなく戦争がただただ悪いのだと思う。 戦時下の人間の心の変化だったり、図書館の活動だったりが重くも丁寧に描かれた作品。 読み終えるのに時間がかかったけれど、読んでよかった。

Posted byブクログ

2024/03/09

戦時下のパリでアメリカ図書館の司書として働きながら青春時代を過ごし、本当に戦争に翻弄されて、現代のアメリカで寡婦として過ごす主人公の波瀾万丈の人生を、回想と、アメリカでの隣家の少女の視点から描いた話です。 戦争は何もかも台無しにしてしまう。これまでに読んだ他の作品でも、この時代が...

戦時下のパリでアメリカ図書館の司書として働きながら青春時代を過ごし、本当に戦争に翻弄されて、現代のアメリカで寡婦として過ごす主人公の波瀾万丈の人生を、回想と、アメリカでの隣家の少女の視点から描いた話です。 戦争は何もかも台無しにしてしまう。これまでに読んだ他の作品でも、この時代が描かれていて、それぞれにやるせない想いがしましたが、今回はなかなかキツかったです。 主人公の切なさが辛すぎて、小説は良かったのだけど、何か百点満点の評価にできなかった。…って思わされるくらい描ききってるから、満点なのかなあ?(モヤァ)

Posted byブクログ

2024/02/12

パリにあるアメリカ図書館。 フランスにおいて英語で書かれた書物を所蔵し、アメリカやその他の国々からきた人たちにとって憩いの場になっている。 この図書館は第二次大戦中、フランスがナチスドイツに占領されていた時も、閉館することなくサービスを提供し続けた。 そして、外出や施設の利用を...

パリにあるアメリカ図書館。 フランスにおいて英語で書かれた書物を所蔵し、アメリカやその他の国々からきた人たちにとって憩いの場になっている。 この図書館は第二次大戦中、フランスがナチスドイツに占領されていた時も、閉館することなくサービスを提供し続けた。 そして、外出や施設の利用を制限されていたユダヤ人の人々に対して、密かに蔵書の貸し出しなども行うという抵抗もしていたという。 そんな実在する図書館と、記録に残されている実際に起きた出来事をもとに、フィクションの登場人物と実際に図書館で働いていた実在の人物を入り混じらせながら、戦争中に憧れのアメリカ図書館で働くことになった女性、オディール。 そして、1980年代のアメリカオクラホマ州の街を舞台に、高校生の女性リリーと、その隣人であり、年老いたオディール。二つの時代のオディールと、リリーの二人によって語られる物語。 そこには大人の世界、自立への憧れがあり、恋があり、友情がある。そして、嫉妬があり、裏切りがあり、悪意もある。 ナチスドイツは悪の典型として描かれるが、占領期に様々な理由で、かつての友人や気に食わない人たちを「密告」したフランスの人たち。ナチスドイツが敗れたあと、今度はそのナチスに協力して人たちや、ドイツ兵と親しくした女性を売春婦と呼び、髪を刈り晒し者にしたフランスの人たちも描かれる。 もう一つの時代をレーガン大統領のいた80年代にしたのも、ソ連を極端に敵視していた時代と重ね合わせることで見えてくるものがあるからだろう。 歴史物として読める事ももちろんだが、リリーの、そして若き日のオディールの、若さゆえの過ちの多い青春物語としても楽しめる。

Posted byブクログ

2023/10/14

書店で、タイトル、帯、そして表紙に惹かれて購入し、読了。戦時下で、図書館や本を守るために努力した人達がいること、そして、パリ市民から見た第二次世界大戦が、新たな見方を教えてくれる。兵士や爆撃が表舞台に出ることは無く、市民目線で話が進んでいく。戦時の苦しい時期を読んでる時もですが、...

書店で、タイトル、帯、そして表紙に惹かれて購入し、読了。戦時下で、図書館や本を守るために努力した人達がいること、そして、パリ市民から見た第二次世界大戦が、新たな見方を教えてくれる。兵士や爆撃が表舞台に出ることは無く、市民目線で話が進んでいく。戦時の苦しい時期を読んでる時もですが、パリが解放されてからの展開に驚きを隠せない。でも、納得せざるを得ない。 戦争が、仲の良かった人々を物理的なだけでなく、心理的にも分断してしまう様を、登場人物を通してありありと感じさせられる。

Posted byブクログ

2023/07/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最後までどうも乗り切れず…。ちょっと残念。 パリのアメリカ図書館が戦時中にどう対応したか、外国籍の図書館職員をどう守ったか、迫害された利用者へどう手助けをしたか、という話を、80年代後半のアメリカに住む少女が隣の老女から聴く、という形式。 戦時中、恋人関係、女性達の苦しい立場とそれによる狂った言動の末、、、。 しかし長い。 戦時中の秘密任務が始まるのがちょうど全体の半分くらい。 面白くなるまでが長くて大変だった。 カラスの手紙からようやく面白くなった。←言い方が悪いけど リヒター三部作は、あの濃さを、あの短さに凝縮していたんだなあ。その凄さもわかった。 どっちが優れているか、という話ではなく。 アメリカのリリーが未来の明るい状況で終わったのでホッとした。 卒業式のスピーチや、義母との関係が良かった。 一方でオディールのパートは消化不良。 父の愛人が母の看護婦になって、謎の連帯感が生まれるのは興味深いところだったけど、マーガレットの部分は初めからもっと焦点をあてて書いて欲しい。 うまく読めなかったせいか、私はラストの展開が理解できず(;ω;) マーガレットが写真の白い服の女性だってこと?これはオディールの若き日の姿? オディールからのプレゼントとして、なんでリリーだけパリに行くのか混乱した。

Posted byブクログ

2023/06/27

パリの図書館司書の、第二次世界大戦下での様子を描いた作品。 戦争が簡単に人を変えてしまう残酷さと、それでも文学が救いになることを噛み締めた……

Posted byブクログ

2023/06/12

「わたしが本書を書いた目的は、第二次世界大戦の歴史の中の、このほとんど知られていない章を読者と分け合い、登録者を助けるためにナチスに抵抗した勇気ある司書たちの声を記録し、文学への愛を共有するためだった。」 ー著者の覚書より 本書は、第二次世界大戦中、オーディルという女性がパリの...

「わたしが本書を書いた目的は、第二次世界大戦の歴史の中の、このほとんど知られていない章を読者と分け合い、登録者を助けるためにナチスに抵抗した勇気ある司書たちの声を記録し、文学への愛を共有するためだった。」 ー著者の覚書より 本書は、第二次世界大戦中、オーディルという女性がパリのアメリカ図書館で仕事に奔走し、恋をし、友情を育み、罪を犯し、引っ越した先のアメリカのモンタナ州で、1980年代に中学生の小さな友達・リリーに出会い、過去を回顧しながらリリーと共に時を進む物語を、史実をもとに描いたフィクションだ。 本への熱意、愛情、それ以上に友人へそそいだ愛情、けれど自身の罪により引き裂かれた友情。 波瀾万丈というのが似合いの人生を、オーディルは生きてきた。 主にオーディルとリリーの視点から描かれる構成で、本書が何を伝えたいか、読み進めるにつれて引き込まれながら分かってくる。 "愛はやってきては去り、また来るものよ。本当の友人ができたら、大切にしなさい。手放してはだめ" という本書の言葉が印象に残る。 それにしても、フランスもまた第二次世界大戦中はナチスに占領され困窮していたことは知らなかった。無知です、はい。 食料も配給制になり、市民は痩せ、困窮するごとに、友人や隣人に嫉妬の念を抱き、恐ろしい行動に走ってしまう人間の悲しい部分も描かれている。 これはまだ戦争は起こっていないけれど、コロナ禍の名残(私はまだコロナ禍中にあると思っているが)や物価高に喘ぎ苦しむ今の日本にとっても、他人事ではないと感じた。凶悪な事件が毎日絶えない。 嫉妬の念に、負の感情に支配された時、そういった感情は誰にでも宿ることを、そしてそんな時にはどうすればいいのか、本書は伝えてくれる。 ぜひ読んでみてほしい。

Posted byブクログ

2023/05/20

パリのアメリカ図書館で司書になったオディールと同僚、家族、恋人とのお話。ナチス・ドイツとの戦争が始まって図書館員たちは負傷者に本を届けるという実話に基づいたお話。 主人公オディールの本に対する熱意がすごい。 いろんな作品の題名が会話などに出てくるので、お話についていくのに時間が...

パリのアメリカ図書館で司書になったオディールと同僚、家族、恋人とのお話。ナチス・ドイツとの戦争が始まって図書館員たちは負傷者に本を届けるという実話に基づいたお話。 主人公オディールの本に対する熱意がすごい。 いろんな作品の題名が会話などに出てくるので、お話についていくのに時間がかかりました。 デューイ十進分類法について知らなかったので勉強になりました。 思いのほか読み進めるのにかなり時間がかかってしまいました。

Posted byブクログ