ヒルビリー・エレジー の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書は2016年に話題となりましたがその時は読まずじまい。。 2025年1月に第二次トランプ政権の副大統領に就任とのことで今更ながら手に取りました。著者の自伝です。 ラストベルトと呼ばれる衰退した工業地帯に取り残された人々が住む地域で生まれた著者が、そこでの現状を世界に発信した意味は大きいと思いました。 私自身メディア等でなんとなくは知っていたけれど、とはいえ、なんとなく昔のアメリカの印象が抜け切れていなかったので、実際に読んで衝撃を受けました。 例えば、ケンタッキーの一部地域の平均寿命は67歳で、すぐ近くのバージニア州のある地域を15年も下回っています。食事と運動の習慣の違いや、ドラッグなどが原因と考えられます。さらに最近の研究では、アメリカのあらゆる民族集団のなかで、唯一、白人労働者階級の平均寿命だけが下がっていることも分かったそうです。 こんな現実知らなかった・・・ また、海兵隊入隊では規則正しい生活、食事や健康はお金のこと等、生きていく基礎をこんなに丁寧に学べる場だということにも感動したりして。彼がたまたまいい上官の下に就いただけかもしれませんが・・・ 著者自身は海兵隊入隊以外にも、祖父母や姉らまともな身内もいたこと、一流大学へ入学など、運と努力と才能が重なりあうことで現状に至っていますが、それは彼だからこそ出来たことでしょう。今後にも注目していきたいです。 それにしても本書を読んでハリスさんがこれらの人々に支持されないのは当然という気はしましたが、ではなぜトランプ氏に??それはそれで謎。。
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読んでよかった。一気読みだった。トランプに惹きつけられる人々の心がわかった。心でわかった。ヒルビリーのエレジー、白人労働者階級の切実な哀歌。「努力はしたくないけどバカにされたくない」怠け者だと切り捨てられてきた人々、アルコールや薬物や暴力やセックスや不健康や貧困や孤独や親や親族...
読んでよかった。一気読みだった。トランプに惹きつけられる人々の心がわかった。心でわかった。ヒルビリーのエレジー、白人労働者階級の切実な哀歌。「努力はしたくないけどバカにされたくない」怠け者だと切り捨てられてきた人々、アルコールや薬物や暴力やセックスや不健康や貧困や孤独や親や親族や居住地や生まれや遺伝や連綿とどうしようもない生育環境にぎちぎちに締め付けられて振り回されてきたヒルビリー。トランプは初めておれたちの声になってくれた。ありがとう。仕方ない。 著者ヴァンスのサバイブには祖父母の乱暴ながらも絶対的な愛情と、海兵隊での厳しい社会教育かあった。アメリカの海軍のバックアップすごいですね。 自分の仕事と繋げるなら、叱るだけじゃなくどうしたらいいかまで具体的に教えることがまじで大事だと思いました。いや感動まとまらないなー。
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このポストはおすすめできない、あなたはこの仕事に就きたいんじゃなくて「このポストについた自分」を誇りたいだけなのでは?それよりもガールフレンドを大事にしなさいと声をかけた教授がすごいしこのアドバイスをちゃんと呑んだヴァンスもまた冷静だ。 「苦労した人ほど出世する」って昔から言う...
このポストはおすすめできない、あなたはこの仕事に就きたいんじゃなくて「このポストについた自分」を誇りたいだけなのでは?それよりもガールフレンドを大事にしなさいと声をかけた教授がすごいしこのアドバイスをちゃんと呑んだヴァンスもまた冷静だ。 「苦労した人ほど出世する」って昔から言うけど、つまり地獄をどれだけ見てきたか/そこにいたかっていうことなのかなあ。戻りたくないから始まる忌避感情が、火事場の馬鹿力的にその人の能力を引き出すのかしら。
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先日、第2次トランプ政権でアメリカ合衆国副大統領に就任したJ.D.ヴァンスの著書。 自身が育ったヒルビリー文化について、郷愁を含みながら問題提起している。 ヒルビリーの価値観がとても丁寧に描かれており、日本の地方にも共通点があると感じた。(生活環境はもちろん大きく違うが…) アパ...
先日、第2次トランプ政権でアメリカ合衆国副大統領に就任したJ.D.ヴァンスの著書。 自身が育ったヒルビリー文化について、郷愁を含みながら問題提起している。 ヒルビリーの価値観がとても丁寧に描かれており、日本の地方にも共通点があると感じた。(生活環境はもちろん大きく違うが…) アパラチアの白人労働者階層の生活実態をYouTubeで見たことがあるけど、かなりそれに近くて生々しい描写だった。 現在のアメリカの地方と都市部の格差や社会問題を知るためにも、とても参考となる一冊。それでいて、しっかりと「家族のあり方」を読者に訴えるメッセージ性も持っている。 子どもに対して、「逆境的児童期体験(ACE)」(p.377)を体験させずに、しっかりと愛情と教育を与えて育てたいと感じた。 本書が第1次トランプ政権の時に共和党支持者の心理が描かれているとしてベストセラーになったのも納得。 トランプ大統領としては、ラストベルトや南部の白人労働者階級(いわゆるMAGA)の支持を強固にするためにも、今回J.D.ヴァンスを副大統領にしたことが想像できる。 アメリカでは、人種・宗教・所得格差・教育格差など、政治が様々な問題と複雑に絡んでいるため、地方と都市部の分断がますます進んでいる。 共和党政権が向こう4年間でどこまでその分断を解消していくことができるか、4年後に著者のJ.D.ヴァンスが大統領候補になっているのか、楽しみにしたい。
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非常に面白かった。自分が今までいかにアメリカのことを知らなかったのか、思い知らされた。 親のどちらかが薬物依存、逮捕歴あり、離婚再婚を繰り返す…日本でも有名人がそういう経歴を持つと取り立たせるが、ジャクソンではそれらが横行していて、しかもそれが大昔の話ではなく、比較的最近も起き...
非常に面白かった。自分が今までいかにアメリカのことを知らなかったのか、思い知らされた。 親のどちらかが薬物依存、逮捕歴あり、離婚再婚を繰り返す…日本でも有名人がそういう経歴を持つと取り立たせるが、ジャクソンではそれらが横行していて、しかもそれが大昔の話ではなく、比較的最近も起きていることに衝撃を受けた。 当事者のJDヴァンスも、本の出版にあたって嫌な過去を思い出さざるを得ず、また何度も苦しい思いをしただろうな、、 人間が、自分の現状を変えたいという反骨心はものすごい原動力になると思う。 多くの人が最後まで踏ん張れなかったり、理由をつけて中断することもある中、JDがここまで這い上がれたのはただただ尊敬する。 美談で終わらせられないほど辛い思いをしてきただろうから、これからがいい人生であってほしい。 副大統領として、これから注目するのが楽しみ。
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トランプ第二次政権の副大統領として任命される JD Vanceの自伝です。オハイオ州出身の彼が語る、アメリカ東部のアパラチア山脈地域に暮らす白人低所得者階級の生活様式、文化、そしてその苦難が社会システムによるものであることが、彼自身の家族の描写を通じて生き生きとあぶりだされていき...
トランプ第二次政権の副大統領として任命される JD Vanceの自伝です。オハイオ州出身の彼が語る、アメリカ東部のアパラチア山脈地域に暮らす白人低所得者階級の生活様式、文化、そしてその苦難が社会システムによるものであることが、彼自身の家族の描写を通じて生き生きとあぶりだされていきます。 この地域に暮らす人々は、スコットランドやアイルランド出身が多い、とのことですが、その生活は素朴を通り越して、貧すれば鈍する、と例えられる状況です。貧しい食生活と健康問題、薬物依存。マウンテンデューのような炭酸飲料を飲みすぎて歯がボロボロになってしまう人など、身体的ケアもままならない人々の苦悩が伝わってきます。 Vance自身、イエール大学ロースクールに進学して、所謂上流階級の人たちと交流することに対する気後れ、特に食卓でのふるまいに戸惑うくだりは、同じアメリカの白人たちの間にも大きな社会的格差があることを知るきっかけになりました。 アメリカ社会における貧困は、ここ50年で更に深刻化し、2020年時点で、白人の子供の実に40%が貧困地域に暮らしている、とのことです。1970年には25%だったとのことです。アパラチア山脈地域のように、かつて石炭産業で繁栄した地域は、その斜陽化に伴い住宅価格が下落したため、住居を売って他地域へ転出することができず、その地域に囚われてしまう、とVanceは言います。 Vanceが後段で述べた以下の下りが印象に残りました。 "The central conservative truth is that it is culture, not politics, that determines the success of a society".
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オトラジシリーズ。 https://youtu.be/q8BkLd35Rnw?si=FV1rdG2zDimzBtDm アメリカの白人労働者階層のリアルな現状。 支えてくれる存在の重要性。 他者を慮るしなやかさ。 過去に苦しみながらも前へ進む姿勢。 ヴァンス氏の半生はドラマよりも...
オトラジシリーズ。 https://youtu.be/q8BkLd35Rnw?si=FV1rdG2zDimzBtDm アメリカの白人労働者階層のリアルな現状。 支えてくれる存在の重要性。 他者を慮るしなやかさ。 過去に苦しみながらも前へ進む姿勢。 ヴァンス氏の半生はドラマよりもドラマティックだった。 こんな人が大国の中枢に居てくれることに少し希望を見た。 願わくば、この本にあるような気持ちを忘れずに政権に関わっていってほしい。 それにしても3年前にこの本を取り上げている石田衣良さんの選書センスに脱帽。 https://youtu.be/d-rDddHRjPE?si=WsmM92j5UeLXshnK
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個人的に、今年読んだ本の中で、一番のオススメです。トランプの支持層である、白人労働者はどんな人達なんだろう?それを知ることによって、トランプが再当選した理由や、今のアメリカをより深く理解できるかと思って読みました。 テレビや新聞では報道していない(というか報道できないような)赤裸...
個人的に、今年読んだ本の中で、一番のオススメです。トランプの支持層である、白人労働者はどんな人達なんだろう?それを知ることによって、トランプが再当選した理由や、今のアメリカをより深く理解できるかと思って読みました。 テレビや新聞では報道していない(というか報道できないような)赤裸々で生々しい現実を窺い知ることができました。多くのアメリカ人も知らないようなアメリカがヒルビリーにはあるようです。 あとがきに書かれているように、50年後、この時代のアメリカがどうだったか?ということを知る、貴重な一冊と思います。
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トランプ政権の次期副大統領と目されているJ・D・ヴァンスの自伝本。 氏は、かつては鉄鋼業で栄え今や荒廃したラストベルトの出身である。 まさにトランプの主要な支持層と言われる人たちだ。 彼が語る故郷の話は壮絶だが、愛にもあふている。衰退し、経済的に厳しい状況に追い込まれているが故に...
トランプ政権の次期副大統領と目されているJ・D・ヴァンスの自伝本。 氏は、かつては鉄鋼業で栄え今や荒廃したラストベルトの出身である。 まさにトランプの主要な支持層と言われる人たちだ。 彼が語る故郷の話は壮絶だが、愛にもあふている。衰退し、経済的に厳しい状況に追い込まれているが故に団結が強まる様子は『最底辺のポートフォリオ』を思い出す。 ヴァンス氏自身はそんな故郷から脱出し、法律家としてのスキルを身につけ、大事務所に就職を果たすというアメリカンドリームを成し遂げた人物だが、そんな彼でも考え方や自身の根本に故郷やその人々と同じく刻まれたもの(まさにヒルビリーエレジーだ)があることを内省する。 苛烈なトランプ政権側の人物でありながら、結構ナイーブであり、貧困者へある種の下見を持った目線を持っているのが面白い。
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トランプを支持し、大統領として生み出した、ラストベルト・ヒルビリーの人々。 その生活と現実。 彼らを愚か者扱いし切り捨てることは簡単だけど、それでは問題は解決しない。
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